「綺麗」がいいよね、歯の話


小学生の頃だと思う。新聞のコラムに、以下のような事が書いてあった。

「巨人の王選手は、奥歯がガタガタだ。バットをを振る時、噛み締めるからである」云々。要するに「歯の綺麗な選手はダメ。ガタガタこそが一流の証」みたいな事だった。

王選手と言えば、当時、現役バリバリである。
西川産業の「ムアツ布団」
「ナボナは、お菓子のホームラン王です」
コマーシャルにも出まくって、ばんばんお稼ぎでありました。
丁度756号ホームラン前後だったと思うが、確実に時代は変わりましたな。

芸能人は歯が命。命、までとはゆかなくとも、一般人とて同じだ。
歯の汚い人なんて嫌だろうし、臭い人などとんでもない。
許容範囲迄ならどうにか我慢もできようが、超えてしまうとNGだ。

王選手=わたしの親と同世代。
わたしの親と同世代=さほど日本人が歯に気を使わなかった頃だろう。
歯ブラシなんてものすらなかった。終戦直後、まっことボロゾーキンみたいな世の中で、死なない為に只生きる。死なない為に生きている。生きる目的=死なない為の世の中であったのが、幼年時代の人々だ。

傾向として、そもそも日本人は歯に余り気を使わなかったようにも見受けられる。お歯黒やら一応の歯磨きの習慣があっても、歯並びや虫歯については無頓着であった。
だから日本人=未だに出っ歯。出っ歯なのに気にしない=一寸、信じられない民族、が、諸外国でのイメージの1つだ。

かの手塚治虫は、歯に一生、苦しめられた。
歯並びが悪く、歯の質も悪い。幼少時代から、青年期は元より成人しても。
漫画家となって結婚してまで、歯が原因で高熱を出すことが度々であった。
だから作品には度々、主人公が歯痛だったり、歯医者での場面が登場する。

「八重歯がかわいい」
「キュートな八重歯が光っていて……」
石原裕次郎や石野真子などに代表され、好意的に思われる八重歯も、諸外国ではタブー。彼らにとって、悪しきもの。=吸血鬼を連想させるからだ。
歯並びの悪いのは、親のせい。
就職に関わる大問題。歯並びの悪いのすら気がつかれなかったのか、それほど無関心だったのか、治すのに困る程、経済的に貧窮した家庭だったのかと思われても仕方ない。
だから向こうの芸能人は、矯正器具をしている人が多い。
「人気に響く」
暗黙の了解があるのであろう。

わたしも歯医者に通院するが、
「磨き方すら問題だけど、歯並びもいいし、歯の質もいい」
歯医者さん&歯科衛生士さんから、常に言われる。

先にに紹介した王選手の記事は、考えてみれば間違っている。
だって奥歯がガタガタだったら、イザという時、力が入りませんもんねぇ。けど「根性、根性ど根性」(?)。ぴょん吉どころか、星親子。ひろし&平面ガエルのコンビより、血の汗流せのスパルタ教育。一徹&飛雄馬の親子の世界が支持されていた(?)世でもあったので、平気で書けたのね。

因みに、日本人は平均して50歳で、歯が今迄のようにいかなくなるそうです。切ないわぁ~っ。

「歯並びもいいし、歯の質もいい」
故にわたしは、死ぬ瞬間迄平気です⁉んなわけないじゃん。気をつけやう。

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