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🎨光をくれた画家たち🎨

1月16日まで三菱一号館美術館でイスラエル博物館所蔵「印象派・光の系譜」の展示会が開催されている。初めて日本で出展される絵なので、見ないといけないと思って11月末に行ってきた。😊

クールベ、モネ、シスレー、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ等、有名な画家達の作品が展示されているが、あまり見慣れない絵も多数紹介されている。今回展示の目玉は、クロード・モネの「唾蓮の池」。唾蓮と名の付く絵画は約250枚もある。その内の1つが今回紹介されている1907年の作品。とにかく色!素晴らしい!🌿

クロード・モネ「唾蓮の池」

画家たちは活躍していた時代に笑われたり、展示出来なかったりしたが、その絵から当時の状況を想像するのは難いよね!18世紀からフランスで開かれていた公式展示会「サロン・ド・パリ」に参加出来なかった画家達はなかなか自分の作品を売る事が出来なかった
また画家ルノワールはこんなことも言っていた。“パリでは絵好き15人が作品の価値をちゃんと分かるとしても、8万人は「サロン」で展示されないものじゃないとカンバスの1センチとも買わない”と。印象派の画家達は「サロン」で厳しい評価を受ける事が多く、スキャンダルを好む記者のかっこうの的だった。しかし現在、それらは何億ドルも価値が付く作品となっている。🖼

カミーユ・ピサロ「朝、陽光の効果、エラニー」

でもなによりも、印象派が美術界に「光」を与えた事は大きい。太陽の光や自然の鮮やかな色、空気の透明感が絵で表現されるようになった。“全てのものは色の振動で決まるので、色の振動で表現しなければならない”とフランス詩人のジュール・ラフォルグが言っていた。周囲の環境が変わると見えるものも変わる。それで印象派の画家たちは、同じ場面を何度も描いた。🌞
絵を描くのにとても熱心だったモネは、自然の光を待つために手を休めないといけなかった。彼にとってその時間は苦しかったようだ。絵を描くのに必要だけではなく、光は画家の気持ちも整えてくれていた。🌻

フィンセント・ファン・ゴッホ「プロヴァンスの収穫」

ちょうど19世紀半ばに写真のカメラが開発され、物や場所自体をそのまま描き残す必要がなくなった。自分の気持や印象、考え方は絵を通してより自由に表現できるようになってきていた。同じ時期に科学者ミシェル・シュヴルールは、色彩についての法則理論を発表し、印象派へ大きな影響を与えた。この理論による色合わせと色の使用は絵の描き方自体を変えていた。描き方だけではなく、絵の見方にも変化が起きていた。印象派の絵を近くで見ると分かりにくい事があり、少し離れると全体のシーンがパッと浮かぶ。それは、少し距離を空けることで色彩が認知されるからだ。
また、印象派の時代から混じりけのない黒色の絵具が消えていった。美術コースや学校の多くは真っ黒な絵具をそのまま使う事が禁止されている(少なくとも私の場合そうだった)。🖌

印象派の画家たちは屋外で描く(プレネール)のイメージが強いと思うけど、それは19世紀半ばに開発された絵具用スズ製の筒が大きな影響を与えた。開発される前は、部屋で事前にミックスした絵具を割れやすいガラス容器や漏れやすい動物の膀胱に入れ、持って行かないといけなかった。😲
そのような便利なもののおかげで印象派たちは積極的に屋外で絵を描くようになり、風景画をたくさん制作した。畑では、農家より画家たちの方が多いと言う冗談も広がっていた。🌾

アルフレッド・シスレー「ロワン川のほとり、秋の効果」

その時代に畳んでケースへ入れられるモバイルイーゼルも出来たと言われている。それまでは、工房で使われていたイーゼルが重く大きいものだったので、お手伝いさんがいないとあちこちへ運べないものだった。自体も変わっていた。柔らかい素材に固めの豚毛ブラシが新しく途上した。柔らかい筆でスムーズな塗りが出来、絵具のタッチも気づかないぐらい滑らかな作品が出来ていた。固めの筆のおかげで画家達ははっきりした絵具の跡を残す事ができ、分厚く油で描いていた。それにより画家の腕の動きが見えるようになり、ダイナミックな作品が生まれていた。🖌

左:フランソワ・ブーシェ「四季-春」/右:クロード・モネ「散歩」
左は滑らかで、右は筆の跡がハッキリ見えるよね。🙂

カメラ、色彩の法則、絵具チューブ、コンパクトなイーゼルやブラシ、鉄道等様々な開発は印象派を導いていった。その時こそ新しい芸術が現れるべきだったんだね…🍃

 展示会のテーマ「印象派・光の系譜」から色々な事を思い出して、エネルギーが溢れている絵を見て回るのは楽しかった。展示会で販売されていた本はいつも通り購入。😀

展示会:イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜―モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン

東京

会場:三菱一号館美術館
開催期間:2021年10月15日(金)〜2022年1月16日(日)
開館時間: 10:00〜18:00
定休日:月曜日
住所:100-0005 東京都 千代田区丸の内2-6-2

大阪
会場:あべのハルカス美術館
開催期間:2022年1月28日(金)~ 4月3日(日)
開館時間:火~金 / 10:00~20:00
     月土日祝 / 10:00~18:00 
休館日:2022年1月31日(月)、2月7日(月)
住所:大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F


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