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【日本株】楽天グループ - モバイル事業の「その後」を考えてみた

楽天グループ(4755)の株価が急騰しています。

2/14に発表された2023年の通期決算で、「モバイル(携帯電話)事業は、2024年中に黒字化しそうだ!」という見通しが立ったことが大きいのかな、と思います。

同社の決算説明会資料を読んでみたのですが、「本当の魅力は、モバイル事業を黒字化した”後”なのではないか?」と感じたので、そのあたりのことを書いてみようと思います。

先にポイントを書いておくと、

  • このままモバイル事業が黒字化すると、同社は「楽天経済圏」と「独自の通信網」をあわせ持つ特別な会社になるが、その価値はかなり大きいのではないか?

  • 同社のモバイル事業を除いた部分の企業価値(時価総額)は、2023年決算から推計すると2.8~4.2兆円くらいになるのではないか? よって、モバイル事業が黒字化した「後」の時価総額は、それ以上になる可能性がありそう

といったところです。

では、早速。


モバイル事業を除いた部分の時価総額は、2.8~4.2兆円くらいになりそう!

同社の事業は3つのセグメントから構成されています - ①インターネット事業、②フィンテック事業、③モバイル事業。

そして、2023年決算における「①+②」の売上げは1兆9,374億円、営業利益は1,997億円になります。この営業利益から金融損益を差し引き、それに法人税率を加味すると、当期利益は約1,400億円になります。PER20倍とすると時価総額は2.8兆円。30倍だと4.2兆円です。単純計算ですが、ひとつの目安値です。

※ 現在(2/16)の楽天グループの時価総額は1.66兆円。

また、①と②(および③)の業績推移ですが、過去5年間の売上げと営業利益の推移は以下となっています。

売上げは順調に伸びており、①は平均で年率11.2%、②は10.6%の成長です。

同社の決算短信から数字を抜粋

営業利益は各年度で上下がありますが、5年間で①は907億円 → 768億円に。②は693億円 → 1,229億円になっています。

①はコロナ禍の影響があり、営業利益が大きく上下しています(楽天トラベルの収益は大きく下落した一方、楽天市場は大幅増など)。②は、順調に営業利益を伸ばしています。

同社の決算短信から数字を抜粋

モバイル事業の赤字が大き過ぎて、グラフ全体が見づらくなっていますので、①と②だけのグラフを下記します。②が安定して伸びているのがよくわかります。

同社の決算短信から数字を抜粋

要は、「楽天経済圏は、(まずまず)順調に成長している」ということだろうと思います。

そして、この成長力を考えると、①と②の事業に対するPERは最低でも20倍くらいはつくのではないか、と。

楽天経済圏と独自の通信網をセットで持つことで、ビジネスの可能性が飛躍的に大きくなるのでは?

ここからは、私の個人的な想像です(なので、大きく外れているかもしれませんが、ご容赦ください)。

三木谷さんが、かなり後発なのにもかかわらずわざわざ大きなリスクを取ってモバイル事業を始めたのは、ソフトバンクがヤフー・ショッピングやZOZOTOWN、LINEなどを強化して独自の経済圏構想を推し進めた場合、楽天経済圏が大きな危機になるかもしれない、と感じたからではないかと(勝手に)想像しています。

特に、独自の通信網と自社の経済圏が直接つながっていることによる競争優位性が非常に大きいと感じたのではないかと想像しています。

この場合の「競争優位性」について、(個人的には)まだ十分に理解できていないのですが、以下のようなケースが発端ではないかと想像します(※ LINEヤフーの川邊さんのX投稿を参考にしています)。

以前、ソフトバンクがヤフー・ショッピングのプロモーションのために、「ポイント倍増キャンペーン」をやったとのこと。ポイント還元をソフトバンク(キャリア)側の収益からも行い、トータルとして大きなポイントが還元されるキャンペーンにしたそうです。すると、そのキャンペーンは大成功し、多くの新規会員を集める結果となったとのこと。

このキャンペーンを見た三木谷さんは、「モバイル事業を持っていないと窮地に立つ可能性がある」と感じたのではないか、と(個人的に)想像しています。

そして、そこから構想を広げ、独自の通信網を介して楽天経済圏とつながる一連のサービス空間を創り上げることで生み出される事業の自由度、さらに広がる楽天経済圏内のサービスやコンテンツの将来像といったことに大きな可能性を見い出したのではないか、と。

買い物や株式投資だけでなく、(例えば)スポーツなどのコンテンツ・ビジネスも視野に入りそうです。楽天経済圏におけるサービスやコンテンツを拡大する際、やはり「独自の通信網」を持っていることは、事業の自由度や機動力を上げ、サービスの魅力を高める肝になるようにも思います。

要は、楽天グループのモバイル事業が黒字化した場合、同社は国内に1億人の会員を持ち、グローバルで30兆円以上の流通総額がある楽天経済圏と、そこへつなげる独自の通信網をセットで持つ特別な会社になる。そして、その経済圏内で展開されるサービスのポテンシャルはかなり大きな可能性を秘めているかもしれない、ということなのかなと想像します。

これは、あくまでも「私の個人的な想像」ですので、まったく的外れかもしれませんが・・・。

あと、楽天グループは「楽天経済圏にAIを導入する」ことを大きな戦略として描いているようです。AIの導入は、楽天経済圏で事業展開をする事業者さんにとっては「売上げの拡大」や「事業の効率化」へ。そこで買い物やサービスを利用する会員さん達にとってはより快適で、魅力的な空間づくりになるのだろうと考えます。

例えば、楽天市場に出店する事業者さんの中には、ECが上手くて、売上げを効果的に拡大できている事業者さんから、そこが苦手で、なかなか売上げが伸びない事業者さんまであると思います。

そこでAIの出番となり、(ECに不慣れな事業者さんにとっても)ECに伴う作業が簡単になったり、もっと的確にターゲット顧客に訴求できるようになったりすると、事業者さん達にとって楽天市場はより魅力的な空間になると思います。

楽天グループが高度なAIを開発し、上記したように楽天経済圏の魅力を高める打ち手を継続的に打っていけるならば、同社の将来像はさらに大きくなるようにも思います。

これらはあくまでも「可能性」ですが、なかなか魅力的な可能性のように(個人的には)感じています。

そして、(繰り返しになりますが)同社のインターネット事業とフィンテック事業は堅調な業績であり、企業としての基盤は実にしっかりしているように感じます。

と、こんなことが、同社の決算説明会資料を読みながら頭に浮かんできました。

以上です。

私の個人的な想像にもかかわらず、最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。

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