見出し画像

わたしがnoteを購入した理由について #エッセイ

昨日初めて、noteを購入しました。投げ銭制の記事に、100円をぽちっと、何件か。勢いにのって、以前から気になっていた定期購読も申し込んじゃった。

これまでにもnoteの購入を考えたことはあったのですが、クレジットカード情報の入力が少し面倒だったのもあって、二の足を踏んでいました。

(ただ、noteを始めた当初から自分の振込先口座は入力済だったことを考えると、「面倒で」という理由は、ほんとうは違うのかもしれません。
やっぱり「売る」ことよりも「買う」ことの心理障壁は高いんだなぁ・・)

購入のきっかけは、先日、自分の投稿にサポートをいただいたことです。
金額以上に、書いていることに応援をもらったのが、すごくうれしくかった。
この「うれしい思い」をほかの方にも配りたいと思ったら、すんなりと心の壁を乗り越えて、「いいな」と思ったnoteを購入するにいたりました。

*
この、「自分がうれしかったから、その気持ちをほかの人にも配る」という考え方、映画『ペイ・フォワード』の発想に似ています。

日本版の映画の正式名称は『ペイ・フォワード 可能の王国』。英語の原題は”Pay It Forward”、2000年の映画です。
物語のさわりのあらすじは、以下のような感じ。

(中学1年の主人公、トレバーを含む生徒たちに対して)”先生は「もし自分の手で世界を変えたいと思ったら、何をする?」という課題を生徒たちに与える。生徒達のほとんどは、いかにも子供らしいアイディアしか提案できなかったが、トレバーは違った。彼の提案した考えは、「ペイ・フォワード」。自分が受けた善意や思いやりを、その相手に返すのではなく、別の3人に渡すというものだ。”(Wikipediaより

ちなみに、同じような発想は日本にもあって、「恩送り」や、「情けは人のためならず」という言葉で表現されているんだとか。

“恩送りとは、誰かから受けた恩を、直接その人に返すのではなく、別の人に送ること”(Wikipediaより

今回のエッセイでは、「ペイ・フォワード」や「恩送り」の是非について問うことはしませんが、とりあえず「自分の受けたうれしい思いを、他の人にも配ると、気持ちがいい」ということは実感として言えます。

*
ここまで書いていたら、文化人類学における『贈与』の概念について、ふと思い出しました。

“贈与とは、一般に、人に物品を無償で与えることを意味する。人に物品を有償で与える場合には、それは売買、交換などとよばれ、贈与行為とは区別される。“(Kotobankより、栗田博之

イメージしやすい「贈与」の例は、
誕生日プレゼント、バレンタインのプレゼント、結納、お裾分けなどです。

そして、これらの贈与で与えられたものたちは、「あげっぱなし」で終わるものではなく、「受け取る」べきであり、「お返し」をするべきだと考えられている。そして「お返し=返礼」をすることによって、最初に物をあげた人も損はせず、「互酬性」がある。(マルセル・モース『贈与論』)

民博通信に掲載された岸上伸啓さんのプロジェクト紹介文が、「贈与」概念に関してわかりやすく説明してくれています。松岡正剛さんの千夜千冊での『贈与論』紹介も、おすすめです。)

noteを「購入する」という行為は、一義的には、「創作物」に対して金銭を払うという「売買」行為なのだと思います。

ただ、その行為が「自分も同じ場(コミュニティ)でものを作る/書く」人同士を中心に行われている、ということで、どこかで「贈与」に近いものが生まれている。

「購入してもらえたのだから、もっといいもの書けるようにがんばろう」や、「私もほかの人の創作物でいいなと思ったものは積極的に購入しよう」という感覚には、「購入してもらった相手」や「売った場(コミュニティ)」に対する「恩返し」や「恩送り」のような、互酬性が強く働いているように思います。

あまり詳しくありませんが、SNS上の「いいね」「スキ」のやり取りや、同人誌の販売会で、互いに作品を購入し合ったりするのも、この感覚に似ているのかもしれません。

*
話がそれました。

とりあえず、noteのサポートは、100円からできます。コンビニコーヒーの値段です。

それをもらうだけで、人は結構うれしくなれるし、もっと良いものを書きたい!他の人にもこの思いを配りたい!というポジティブな思いを抱きます。
(「人は」という一般化が適切でなければ、すべて「わたしは」という言葉に置き換えてください。わたしは単純なので(笑))

ちなみに、今回わたしが購入した作品の特徴は、
・長らく「この人の書くもの面白いな、応援したいな」と思っていたもの
・強く共感して、「もっと書いてほしい」と思ったもの
・心を揺さぶられ、深く考えさせられたもの
でした。
自分の今後の創作にも生かしていきたいと思います。

*
お読みいただきありがとうございました。
文中にもあるとおり、サポートいただけると大変よろこびます(笑)
各種リアクションやコメントも、ほんとうにうれしいです。

おそらく、これが年内最後の更新になりそうです。
寒い年末ですが、体に気をつけてよいお年をお迎えください。

サポートは、自分と家族のほっこり代に使わせていただきます。 本当にありがとうございます。うれしいです。