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感想:「踊る阿呆/オカワダアキナ」をよみました

お迎えしてから随分たってしまったが、オカワダさんの「踊る阿呆」を拝読したので紹介させてください!

作品情報

タイトル:踊る阿呆
著者:オカワダアキナ
書籍URL:https://okwdznr.booth.pm/items/678426
試し読み:http://privatter.net/p/2791893
twitter: https://twitter.com/Okwdznr
作品の傾向:だらしのない男子大学生・現代・麻雀・BL要素あり

作品の概要

休学中の大学五年生、三熊拓磨(みくまたくま)は、雀荘のウェイターを始めた。店で出会った打ち子の"奥さん"は、魔女だという。奥旭日(おくあさひ)、みんなから奥さんと呼ばれるおとこはビルの屋上に住むつかみどろこのない五十歳。
ある朝、拓磨は奥さんの布団で目を覚ます。
二日酔いで記憶がないが、どうやら奥さんを抱いてしまったらしい。混乱しつつも無敵感を感じ、拓磨は調子に乗る。
「俺は最先端のラブ&ピースを手に入れられる?」
奥さんは魔法で拓磨をツキノワグマに変え、八月の町をアガリにみちびく――。

「出典:作品名/踊る阿呆 著者/オカワダアキナ の裏表紙より抜粋」

※ネタバレについての注意点

結末についてはなるべく触れないスタンスで記述していますが、それ以外のネタバレは多く含まれますので、お気をつけ下さい。
(ネタバレの急所は外しているつもりですが、あくまで尺度は私です)

作品の感想

主人公の拓磨くんは自身の気持ちにとても正直なため、本能のままに行動をする大学五年生である。
快楽主義者……とはちょっと違うと思っている。
その場その場の状況で(おそらく)一番したいことをしているので、快楽を追い求めているようには見えない。
そう、僕は、拓磨君からは快楽を求めているという意思を全く感じないのだ。
直面した状況に対して、流れに身を任せている姿こそが、この作品の肝になっている、なんとも言えない浮遊感を味あわせてくれる。
この浮遊感を更に演出している要素としては、奥さんにも似たようなことが言える。
奥さんは登場からずっと、掴みどころがない人物……いや、魔女として描かれている。
そのくせ、奥さんにはどこか自我のなさを感じる。感情がオモテにでないからこそ、拓磨君とは種別は違えど、どこか他人に身を任せている節がある。
(拓磨君のような快楽主義者(に近いなにか)ではない)
更には、この作品ではコミュニティに特徴があって、登場人物のほとんどは、感情というよりも「利害関係の一致」しているからこそ、成り立っているように見える。
これがしっかりと徹底されているからこそ、めちゃくちゃリアルな人間関係が構築されている(だいたいセックスが絡む気がする)。
上記三点が強く結びついているから、このなんともいえない「浮遊感」が演出されているのだと思う。flow感、漂う、流れに逆らわないというか、鮭の産卵シーズンと真逆というか(?)。
僕なりに言語化してみたけれど、皆さんはどう思っているだろう。「浮遊感」を感じたかを是非聞かせて頂きたい。

さて、前述では主要人物は「流れに身を任せている」としたが、これも二人の関係性が構築されていくにつれ変化が訪れる。
拓磨君は、ある事件がきっかけで明確な意思を持つことになる。これには僕もびっくりした。
そして奥さんもある出来事がトリガーになり、自分の感情に初めて気づきを得る。
このタイミングで、二人の意思が明確になるところは僕が「踊る阿呆」に置いて一番見て欲しいところであり、僕が一番好きなシーンである。
浮遊していた二人は、地に足をつけることで、見えなかったものが見えてくる。

作品情報

タイトル:踊る阿呆
著者:オカワダアキナ
書籍URL:https://okwdznr.booth.pm/items/678426
試し読み:http://privatter.net/p/2791893
twitter: https://twitter.com/Okwdznr
作品の傾向:だらしのない男子大学生・現代・麻雀・BL要素あり


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