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ブランコにのりたい大人の行方

ブランコにのりたい、とたまに思う。
座ってキーコキーコものうげに黄昏たいんじゃない、思いっきり両足で反動をつけてグワングワンしたいんだ!

そこで悩みどころなのは、自分がしっかり大人であることだ。
年齢的にも、社会的にも、まぎれもなく大人だ。間違えようがない。
のっても問題ないとは思うが、大人がブランコで黄昏れるのはドラマで見たことあるけど、本意気でグワングワンしてるのはドラマでも現実でも見たことない。なんなら、キーコキーコ黄昏れてるのも、現実では見たことなんてない。

気にしすぎかもしれないけど、人の目が気になる。変な人だと思われたくないし、職務質問デビューしたくない。

自分が公園に通りかかるのは、子供達が遊ぶ時間帯ではないので、子供の邪魔になる心配はないと思うが、夕方すぎ、もしくは夜間の人がいない公園で、充分な大人がブランコをグワングワンするのは、大丈夫な行為なのだろうか?

しかも、自分はブランコが大好きなので、こぎながら満面の笑みを浮かべているはずだ。薄暗い公園で、ひとりニッコニコ。それを誰かに見られたら、不審者情報が出回って看板が立ちやしないか?それか、新たな怪談が生まれるかもしれない、それは避けたい。

大人になったら、自然とブランコに興味がなくなるんだと思っていた。遊び方が変わって、公園の遊具のことは忘れてしまうんだろうと。
でも今、しっかり大人になって、変わらずブランコが好きだ。シーソーも。できればのりたい。

そんな大人はどのくらいいるのだろう?
そして、どうしているのだろう?
自分のように人目を気にして控えているのか?
完全に隠れて実行しているのか?
自分が見たことないだけで、大人が本意気で公園で遊ぶ世界線がどこかで普通に存在しているのか?

そんなパラレルワールドを想像しながら、今日も人気のない公園の横を、何食わぬ顔で通り過ぎた。



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