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腰は体の要〜腎の話〜

今年のお正月の出来事。
主人の実家の福島に帰省中、重たい石油ストーブの場所を少し動かそうと、えいっと力を入れて持ち上げた瞬間に、じみーに腰の奥ににぶい痛み。「あ、やっちゃった…」と思ったときには、時すでに遅しでした。ぎっくり腰までいかないけど、ここ数年で痛めやすくなってきている腰をまた自分で雑に扱ってしまったと思いました…。
 以前、漢方薬局でいただいていた腰痛のお薬を飲んで、症状が軽くなってほっとしたのですが、改めて自分の弱いところ、自分の体を大事にしないとなぁと思った出来事でした。

「腰」という字は、「体」という意味の「にくづき」に「要(かなめ)」と書きます。腰は、文字通り体の要です。ぎっくり腰や腰痛にお悩みの方は、腰を悪くしたときの自分の体幹の心もとなさを感じられた経験がある方もいらっしゃると思います。

中医学では腰は、五臓の「腎」というところにつながりがあります。
 そして「腎」には、様々な働きがあります。例えば、余分な水分を尿として外に出したり、体の水分代謝を管理したり、骨や骨の中にある髄という物質を作ったり、呼吸の吸う息に関わるなど、五臓の中でもじつに働き者の臓器です。そして特に中医学的な独特の考え方だなぁと思う腎の働きは「生命力の源を蓄える場所」というものです。

■今日は五臓の「腎」のお話。

イメージしてみてください。
一本の木があります。その木はしっかりと土に根を張っています。しっかりと根を張った木の幹はどういう感じでしょうか?枝や葉や花はどういう感じでしょうか?おそらく、土にきちんと根を張っている木の幹はとてもしっかりしていて、枝もしなやかに大きく伸びて広がっていて、葉は青々とつややかに花もきれいに咲いていると思います。

この木の根っこの部分が、五臓でいう「腎」になります。腎は私たちの体の文字通り根幹を担っています。生命力の源を中医学では「」と呼びます。腎は精を蓄える器のような存在です。腎の精が十分に蓄えられていることで、体の大本がしっかりするので、私たちは元気な状態を保つことができます。腰は体の要と言われているのも、腰と繋がる腎が生命力の源、つまり要となっているのです。

そして腎は、体の様々な部分に関連しています。腎は、骨、脳、歯、耳、腰、髪の毛と繋がりがあります。腎が元気な時は、骨が丈夫、思考がクリア、記憶力がよい、歯が丈夫、聴力もしっかり、腰もしっかり、髪の毛もつややかとなります。

腎がおつかれになると、骨がもろくなる、思考がぼんやりする、忘れっぽくなる、歯がもろくなる、耳鳴りや耳が遠くなる、慢性的な腰痛や腰のだるさ、髪の毛が細くなる、抜け毛、白髪などが表れ始めます。

これって程度の差こそあれ、だれもが経験する年齢を重ねると出てくる不調ですね。つまりは老化…。涙。私たちの体は、腎に蓄えられている精(生命力の源)を使って生きているので、歳を重ねるとどうしても腎の精は少なくなっていきます。しかし日々の養生で、この腎の弱りをゆっくりにさせることができます。腎を養うこと、腎を大事にすることは、つまりはエイジングに繋がるのです。

例えば慢性的な腰の弱さを感じるということは、腎がちょっと弱ってきているサインです。中医学では、女性は7の倍数の歳に、男性は8の倍数の歳に体が大きく変化すると言われています。(女性は28歳で身体がとても充実、35歳頃からだんだんと老化が始まる。男性は32歳で身体の充実、40歳頃からだんだんと老化が始まる、といわれています…)つまり、男性も女性も40を過ぎたら腎の養生を考えて過ごしたほうがよさそう、、ということです。

■腎のお疲れのサイン

□物忘れがふえた
□頭がぼんやりする
□集中できない
□腰や膝がだるい、痛い
□白髪や抜け毛が増えた
□髪の毛が細くなった
□耳鳴り
□耳が遠くなる
□歯がもろくなる
□頻尿、または尿が出ずらい

■腎の養生は次のようなものがあります。

1)冷やさない

腎は冷えに弱い臓器です。冬の寒さが腎に影響し、腎が弱り、それによって腎や腎と繋がる場所に不調がでやすくなります。寒さが腎に負担をかけるので、冷えを常に感じる人は加齢が早く進むこともあるかもしれません。普段から冷えやすい人は、衣服や暖房器具を上手に使って体を冷やさないようにしましょう。

2)ウォーキング、散歩

腎は骨と繋がります。ウォーキングは足から適度な刺激や振動が骨に伝わって、骨を強くすることを助けます。寒い季節はとくに太陽の光にあたって陽の気を体に取り入れるのも大切です。今の時期だったら日中の暖かい時間に軽いウォーキングや散歩はおすすめです。体力がある人はランニングなどもいいと思います。

3)腎を元気にする食材

①黒い食材

黒色の食材は、腎を元気にしてくれると言われています。黒豆、黒米、黒ゴマ、黒きくらげ、黒酢。あとは海藻類(わかめ、ひじき、昆布、海苔など)も腎に届くと言われています。

②腎に届く食材

その他に腎に届く食材として、
○温性
…えび、にら、くるみ、羊肉、ナマコ、フェンネル、シナモン、クローブ

○平性(温めも冷ましもしない)
…山芋、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、うなぎ、すっぽん

涼性
…豚肉、牡蠣、ホタテ、桑の実、クコの実
などがあります。

4)甘いものやお砂糖は適量に

甘いお菓子や糖分のとりすぎは、腎を弱くして骨をもろくしたり抜け毛を増やしてしまうことがあります。これは、薬膳中医学のベースの考えにある五行論で、土(脾)が過剰になりすぎて水(腎)の力を弱めてしまうことによっておこります。(五行論の詳しい話は今日は割愛…)

5)目を休める

眼精疲労という言葉には「精」の字が使われます。目は五臓の腎に蓄えられた「精」を使って目を養っています。目を酷使すると腎に蓄えらえていた精を消耗し、そこから腎の不調に繋がることもあります。パソコン、スマホで現代人は目を常に使っているので、目を休めてあげる時間を意識して作ってみてください。


年始の腰の不調から、改めて腎の大切さを実感し、養生しなきゃーと思い、腎の働きたちと養生法を今回まとめさせていただきました。先日は腎の養生ご飯として、エビチリを☺︎エビは腎の働きを助け体を温めてくれます。

 気づけば40代にも突入しているので、腎の養生を大事にしたいと思います☺必要な方に届きますように。