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春の五臓「肝」の働きと養生

今日は春の五臓「肝」についてのお話です。

中医学では、中国の昔の思想の五行説という考え方がベースになっています。世界のいろんなものを「木・火・土・金・水(もっかどこんすい)」という5つのグループに分け、それぞれが助けあったり、抑制しあったりしながら、バランスよく循環しているという考え方です。この五行説では、春と春の五臓「肝」は、木(もく)のグループに属します。

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1.木(もく)はどんなグループ?

木の特徴は、

・のびやかに広がる
・上へ上へと成長する

です。春の草や木は、冬に蓄えていたエネルギーを上へ外へとぐんぐん成長させますね。

2.春に活躍する「肝」

五臓「肝心脾肺腎(かん・しん・ひ・はい・じん)」の中で、春は特に「肝」が活躍します。肝は、からだの中でどんな役割があるかというと、

1) 血をからだのそれぞれ場所に送る量を調節し蓄える
2) 全身にエネルギー・栄養・水分を巡らせる

があります。

3.肝のがんばり過ぎのサイン

肝が活躍する春は、肝に負担がかかりやすい季節にもなります。

肝は、からだ全体の非常事態に備え、血を蓄えています。また、血流量の分配もしています。例えば、目を使うときは目に、運動で手足を動かせば手足に、考えごとをすれば脳にという具合に、血をそのときどきで必要なところに分配しています。そして、夜、横になると全身をめぐっていた血は、肝に戻り明日に備えます。

この肝の機能が低下すると、血不足により、頭痛・めまい・耳鳴り・手足のしびれやけいれん・爪が割れやすい・疲れ目・かすみ目などのサインがでます。

また、肝は、全身にエネルギー・栄養・水分を巡らせる役割もあります。この機能が低下すると、イライラや、抑うつした気分、怒りっぽい、感情の起伏が激しいなどの、精神面に出やすくなります。

肝は、目・爪・筋とつながりが深いので、これらの場所の不調は肝のおつかれのサインとして出やすいです。また感情は「怒」に関連しているので、肝の不調は、怒り・いらいらとして現れやすくなります。

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春は「木」の特徴にあるように、上へ上へとのびのびと成長していく陽のエネルギーです。そのエネルギーがポジティブに表れれば、やる気や活動力につながります。反対にネガティブにあらわれると、イライラや気持ちがあせる、などにつながります。

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(絵心なくてすみません…ww)


春は、気温も暖かくなり活動もしやすくなり、新年度として新しい1年の始まりで、やる気に満ちてくる季節でもありますね。

その反面、ささいなことでイライラしたり怒りやすくなる季節でもあります。もし自分がそうなったときも、これは春のせいだから仕方がないと自分を責めすぎないようにしたり、またまわりにイライラしている人がいたとしても、春のせいだからしょうがないと、穏やかに受け流すのも、自分自身にストレスをためないための防御になりそうですね(^^)

4.肝のおつかれの原因と養生

肝のおつかれの原因はおもに二つ。

1)肝の血不足
2)肝の気の滞り

です。

■1 肝の血不足の原因 

・病後、産後、術後などの血不足
・血を作るパワー不足(気血を作る脾が弱まっている)
・スマホ・PC・テレビなど目の使い過ぎ

現代人は、日常的に目をよく使っていますね。仕事や日常生活で、スマホもPCもなくてはならないものですが、使わなくていいときはできるだけ控え、目を休める時間を作りましょう。

目にいい食材は、肝を養ってくれるクコの実がおすすめです。お茶などに加えたり、サラダやスープのトッピングや、おかゆに加えて食べるのもおすすめです。

そして、血を作るパワー不足の方も多くいらっしゃいます。消化吸収をしエネルギーを作りだす脾の力が弱まっていると、血を作ることができず、肝血が不足してしまいます。まずは血を作り出す脾を元気にしてあげることが大切です。脾の養生はこちら


■2 肝の気の滞り

肝の気の滞りの養生は、ストレス発散がなによりも大切です。前回の記事、春はののびやかに過ごすことも気の滞りを解消するために大切です。食養生では、香りのある食材が滞る気を巡らせてくれるといわれいます。三つ葉・セロリ・春菊・紫蘇・パクチーなど香りのある葉物、柑橘類などがおすすめです。また好きなアロマをたいて気分をすっきりさせることも、ストレス緩和につながります。

5.肝は女性の先天

また、「女性は肝を先天とする」と言われ、女性にとって肝はとても大切な臓器です。肝は月経にも大きく関わり、ストレスや過度なダイエットは、肝の気の巡りを滞らせたり、肝の血不足をまねき、月経トラブルに繋がることがあります。春はもちろんですが、日頃から肝を養うことは、女性にとっての健康にもつながります。


6.肝を養う「セロリと蓮根の味噌和え」

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お弁当の副菜にも入れているおかずレシピをご紹介します。気を巡らせて、いらいらを穏やかにし肝を養ってくれるセロリを使ったレシピです。セロリと蓮根のしゃきしゃきした食感も噛むことでストレス緩和につながりますよ。

[セロリと蓮根の味噌和え]

材料
・セロリ 1本
・蓮根 2節

調味料
・味噌 75g
・味醂 大2

1 蓮根は、角切りにし、火が通るまで茹でる。
2 セロリは葉とすじをとり、細切りにする。
3 調味料を混ぜ合わせる。1、2を和える。

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