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一応朝起きて昼寝してバイト行く

 言わずもがな朝遅くに起床ののち、お昼ご飯を食べ一休み。スマホを開いてはインスタグラムのストーリーを流し見。詳しく見なくても大学生の夏休みストーリーはたかが知れています。真夜中に酒を飲んでいるかBBQ、あとは淡路島にドライブです。幸せのパンケーキの空に浮かぶ階段が悪天候だったら、家の中にいる私の勝ちだなぁと思いながらまた寝ます。

 今日はアルバイトです。私は地元の本屋さんで書店員をしています。外観の特徴は宇宙船を半分に切ったようなもので老若男女に人気な見た目です。そのため毎日開店と同時に指で数えられるほどの人々が波のように押し寄せてきます。
 本屋さんと言えば最も人気のある棚が存在しています。そう、アダルトコーナーです。そのため私がレジでサンバを踊りながら時間をつぶしているとエロ本を購入されるジェントルじいさんが来てくれます。レジに商品を渡す際、さまざまな技を繰り出しまるでLEONを買っているかと錯覚させようとしてきます。どんな技なのかは書店員になった者のみぞ知ることができます。

 とはいうものの一切教えないというのはあまりにもいじわるなことなので今日のジェントルじいさんの技を見てみましょう。まず商品をレジに渡す時点で週刊誌にサンドされた状態です。素晴らしいです。私は商品をひとつづつバーコードを読み取らなければなりませんが見事なスライドを披露し爽やかな読み取りができました。バーコード速やか読み取り選手権があれば入賞は確実でしょう。
 続いてレジ袋の有料化によりレジ袋の有無を尋ねるマニュアルをこなします。返事なんていらねぇ、といったところです。ここまで完璧な流れにより効率的なお会計が進んでおります。さあここでジェントルじいさんの技が発動です。袋に読まないであろう週刊誌を詰めている間私の顔をしっかりと見て”世間話”をぶち込んできました。私はこのアルバイトで培った愛想笑いを「ははっ、」という発声と共に全力でお返ししました。もちろん速やかが取り柄の私はこの間に商品を渡しています。聞くところによると台風が近づいているようでなんだか形がギザギザらしいです。なんともほほえましいお話を聞くことができました。ですが私には少し難しい話だったのかもしれなく、無意識のうちに「ありがとうございました」と深々としたおじぎをしていました。まるで次のお客さんがいるかのように退店を促す対応をしてしまったことを申し訳なく思います。ジェントルじいさんなわけですので笑顔を絶やすことなく最後の最後まで最新の台風情報を届けてくれました。ありがとう。

 ギザギザの台風てなんやねん。

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