「魔の山」読書メモ②
こんばんは、ぴょんきちです。
今日からオンラインで講義が始まりました。教科書も無事に届き、机の傍らに静かに積まれています。静かな彼らですが、僕に「早く読め」と無言の圧力をかけてくる感じがして、今もなんだかソワソワしています。
ただ、オンラインであっても講義が始まると自分の時間が短くなるのは事実。大変だと思いますが、noteの更新は何とか続けたいものです。
さてさて、「魔の山」の感想の続きです。
⇩前回の感想はこちら
主人公のハンス・カストルプがショーシャ夫人に恋をしている描写が続きます。「魔の山」というタイトルからは想像もつかないような、かわいらしくて、中学生くらいのカップルがやりそうな駆け引きを繰り広げる二人を見ていると何だか笑えてきます。
例えばこんなシーン。
ハンス・カストルプの恋心は食卓で隣に座るエンゲルハルト女史にバレてしまいます。そのことを遠巻きにハンス・カストルプはからかわれるのですが、そのことについて彼はこう捉えるのです。
「何かに縋りたい気持から、彼は第三者から、ショーシャ夫人が魅力的な女であることを保証してもらいたかった。~(省略)~ 外部から激励してもらいたかったのである」(本文p.285)
この気持ち、わかります(笑)
誰かを好きになったら、誰かに話したくなる。そんな気持ちと共通していると思いました。そんな描写をドイツの文豪であるトーマス・マンがしていると考えると、僕も彼も似たところがあるのだなと、思ったりします。
ただ、どうしてハンス・カストルプがこのような恋心を抱くようになったのか、については今後考える必要があると思います。なぜなら、彼はドアを閉める無作法な動作から彼女のことを知り、その後も彼女に関する描写は詳しく描かれていないからです。さらに、彼女との会話シーンすらまだありません。もう少し読み進めてこれについて考えたいです。
また、「魔の山」の舞台ダヴォスのサナトリウムについて。
そもそも、サナトリウムの意味知っていますか?実際、僕は町の名前だと思いました。
サナトリウムとは、長期的な療養(結核など)を必要とする人々が集まる施設のことである(Wikipediaより)
ダヴォスがそうであるように、人里離れた閑静なところに立てられることが多い。そして僕は、この雰囲気「ノルウェイの森」の直子が入所した施設の雰囲気と限りなく近いなと思いました。おそらく「ノルウェイの森」でワタナベが「魔の山」を読むシーンが多く登場したのはこれを伝えたかったからではないか。マンの「魔の山」と同じような世界観がここにあるということを伝えたかったからなのではないかなと思いました。
「ノルウェイの森」では最後まで施設の意義と直子の抱えていた問題について明らかな答えはもちろん明示されませんでした。
しかし、「魔の山」と「ノルウェイの森」の世界観、少なくとも施設の世界観は共通するところがあるように思います。それについても考えを巡らせることができたら良いなと思います。
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