日本料理の楽しみ-「円覚」より

和食への注目が、益々高まってきました。
日本文化を語る中で、食べ物を通して、日本人の知恵が、広く世界に発信されています。
我々和食に係わる者たちは、伝統的な技術の伝承にとどまらず、体に良いとされるその背景を知り、知恵として共有することが求められています。

鎌倉は、宗教都市とも言われますが、日本初の禅の都です。
達磨大師を始祖とする禅思想は、鎌倉時代中期以降に日本に伝わり、料理にも大きな影響をもたらし、今につながる和食のルーツを形づくってきました。

今、世界中の人たちが、SDG`sに沿った和食の価値を愛で、日本文化としての和食を感じています。そしてそれは、日本をより深く知る糸口に繋がることでしょう。

この2年間、創刊より340号を超える、大本山円覚寺様の冊子「円覚」に料理のコーナーを作って頂き、不肖藤川譲治が精進料理をレシピとともに掲載して参りました。円覚寺教学部のご了解を得て、ここにご紹介させて頂きます。

*****季刊 円覚より転載******
円覚 精進料理の代名詞 胡麻豆腐

真塗平椀に胡麻豆腐

胡麻豆腐と書きますが、大豆とにがりを使った豆腐とは似て非なる料理。

胡麻と葛の根の澱粉そして水だけで作る最強のコンビは、身体を芯から温めます。

葛の根は、古来より漢方薬の葛根湯の主材料として、風邪薬として珍重されてきました。

お膳に盛り付けられる胡麻豆腐は、とてもシンプルかつ、

理にかなった精進料理の代表格です。

我々は、流し缶に流し入れ、それを等分に切り分けて器に盛りますが、

蕎麦猪口等に直接流し入れ、スプーンで召し上る事もお勧めです。

一品としても、時に椀種としても、胡麻豆腐のコクのある味わいが

料理店でも四季を問わず端正な表情をもち、提供されます。

盛り付け時に、胡瓜のスライスやクコの実等を添えると、アクセントになり

おもてなしの気持ちも伝わるでしょう。


葛の花

日本中に自生する葛は、夏に紫の花を付け、そのつるは、樹木に

巻きつき時に太い木を倒す、林業家には手強い生命力の持ち主のようです。

 奈良 吉野で四百五十年の歴史を守り、20代にわたり隆々と事業を継承する

「森野吉野葛本舗」さんは、今も上質な本葛粉を製造し続け、

 当店でも長く使用しております。

https://morino-kuzu.com

ごま豆腐 

4人分として

●材料 

本葛粉………25g

白ごま…… 45g 又は市販の白胡麻ペースト

水…………….300cc

わさび…… 適量  

旨味醤油 ……適量  昆布を漬けた醤油

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[ 作り方 ]

①葛粉を水300ccで溶かす。

② ①にペースト状の胡麻を加え、細かな茶こしなどで濾しながら、

ざらざら感が出ないようにする。

③ ②を鍋底に木のへらが当たる様な形状の鍋に入れて、

よく混ぜながら中火にかける。

④ゆっくり攪拌し、55℃位で固まり始めたら弱火にして、へらで鍋底を

こそぎとるように、手早く練りこんでゆく。(澱粉の ダマが出ないように)

⑤温度が上がり、10分程練り込んだら火を止め、更に1〜2分混ぜる。

⑥用途により、適当な容器(ステンレスの流しかんや銘々の食器)に移し、

あら熱をとり、表面が乾かないように、落としラップをする。

⑦旨み醤油と山葵を添え、器に盛り付け出来上がり。

 クコの実他トッピングで彩りを整えると更に美しく楽しめます。

 又、醤油ベースの他、味噌ベースでも美味しく頂けます


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