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少しでも、良いと思ってもらえるようにひっそりと頑張っています。 現在は、自分のペースで…

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少しでも、良いと思ってもらえるようにひっそりと頑張っています。 現在は、自分のペースで短編作成中 ※物語は恋愛系しか書きません。苦手な人は回れ右 ※本当にくだらないような、自分の気持ちの整理整頓のために、はけ口にすることもあります。

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2日間の奇跡

大切なひとを失った悲しみは、そう簡単には消えない。 その人がいるのことが私の日常だったから、いなくなった途端に私には"非"日常が襲いかかった。 去年の秋、付き合っていた彼氏が事故に巻き込まれて19歳という若さでこの世を去った。 朝起きて電話で彼を起こすことから始まっていた私の一日は、かけても繋がらない電話から始まるようになった。 もう彼はいないのに。 毎朝、電話をかける。『おかけになった電話は電波の届かないところにあるか、電源が入っていないためかかりません。』 毎日聞くこの

    • 自覚

      きっかけは本当に些細なこと。 でもその一言で、 明日が少し楽しみになって。 話すのが楽しみになって。 体のせいで、嫌いだった寝ることも次の日を迎えるために好きになった。 絶対に会えない存在。 そう思ってて。 だからこそ、名前とか少しプライベートなことも言えるようになってて。 気づいたら、相談だって、今日あったこと、昨日のこと、苦しいこと、全部言えるようになってた。 「今忙しい?」「今何してる?」そんなことも言えるようになってきて、さらに仲良くなれると思ってた。 区切りを

      • ありがとう。

        最初は全然そんな気持ちなくて。 たくさん話しかけてくれる。話の話題が合う。同じ趣味があった。たくさん授業担当してくれる。声が好き。顔も好き。性格も好き。なにより教え方が好き。分かるまで教えてくれて、何度も同じところで「ん?」ってなっても繰り返し重要点教えてくれて。たくさん応援してくれて。たくさん話聞いてくれて。たくさん褒めてくれて。 いつからか、すごく大好きな先生になって。 受験ギリギリで、しかもとんでもない成績で飛び込んできた私に絶対諦めずにたくさんのことを教えてくれ

        • 桜並木と私と君と。

          春、校舎の中から見える景色に校門まで続く桃色の桜並木が追加される季節。 そんな季節が今年もまた、近づいてきていた。 校庭に降り積もる雪が溶け、蕾が目に見えるくらい成長し自分の出番を今か今かと待ち続ける並木たちに囲まれた校門まで続く道は、学校の誇れる場所で私のお気に入り。 私ももうすぐ先輩かぁ、どんな後輩が入ってくれるのかな。 誰もが進級するときに思うことを私も考え、その日もまた同じように校門を出た。 今年の春が私の大切な春になることなんて知ることも無く...。 「つ

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        2日間の奇跡

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑬

          エピローグ 「香澄くん!見て!香澄くん!」 『ん?瑚々、何?......って、わっ!』 「つかまり立ちした~!」 『まって、そのまま......!今、動画をっ......。ああ~!やばい。可愛い。すごいの撮れた!』 「すごいね~瑚春!上手だったよ。」 目の前で撮ったものを再生して満足してる香澄くんを、つかまり立ちが終了して膝の上にいる天使と一緒に見つめる。 大学を卒業し香澄くんと結婚してから早3年。 私と香澄くんにはもうすぐ1歳になる愛娘の瑚春(こはる)がいる

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑬

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑫

          11th world 月日が経ってもたくさんの愛を 成人式という一大イベントも終わって看護師になるための勉強に励んでいる今日。 虹丘中学校でタイムカプセルを掘り出す集まりのお知らせがきた。 そういえば、私も、華鈴ちゃんと書いたな~。病院でだけど。 なんて書いたんだっけ。 確か、20歳の自分に宛てた手紙だった気がする。 日にちは1ヶ月後の土曜日......に、虹丘中でって書いてある。 気になるし、行こう。 参加に○をつけてハガキを送り返して、また勉強。 どう

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑫

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑪

          10th world 願い続けて縮む距離 私には、意識がなかったときの記憶がうっすらと残ってる。 毎日、隣にいてくれた女性。これはきっとお母さん。 お医者さんっぽい人もいた。 それと、どんな人だったかは思い出せないけど、毎日ではなくてたまに、病室に来ては私の手をずっと握ってくれてた人。 でも、その人のことは起きてからは思い出せない。 その代わりに、クラスメイトの宮槻くんという子が週に1度会いにきてくれて、学校のお便りを持ってきてくれる。 華鈴ちゃんという仲良しの子もいて、

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑪

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑩

          9th world 生きててさえいてくれれば 香澄side   3日前の日曜日、俺が帰ってから数時間後の夜。瑚々の病状が悪化したと電話で瑚々のお母さんから連絡を受けた。 「急に血圧がおかしいくらい下がって呼吸が止まりかけた。」 その一言で俺の心臓が異常なくらいの速さで鳴り始め頭がおかしくなったような気がした。 「さっきまで、楽しそうに今日のこと話してたのに......。今は意識がなくて血圧もさっきよりは上がってきたけどまだ安全な状態ではない。」 電話の向こうで瑚

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑩

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑨

          8th world 再会と白いアザレア 『おっ!今日は彼氏さんも一緒か。見せ付けてくるね~。瑚々ちゃん。』 診察室に香澄くんと一緒に入って最初に言われた言葉は私の心をくすぐった。 『すみません。一緒でも良いんですか?』 後ろの椅子から申し訳なさそうな声で確認をとる香澄くんに対して、ほし先生は 『ダメな理由なんてない!』と即答。 面白くて、ふふっ。と笑うと『あ、でも......』と、ほし先生が口を開いたので、香澄くんは真剣な顔で聞こうとした。 『心音とか聞くとき

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑨

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑧

          7th world 幸せの自覚 香澄くんと付き合い始めてから1週間、今日から待ちに待った冬休み! ......の予定でした。 冬休みが3週間ある虹丘中学校はこの辺では一番休みが長いことでも有名だったけど・・・。 休みが周りの学校より長い理由が今、分かった気がします。 何かって言うと......。 通信簿で9教科中4つ以上評定3がついていた生徒は2週目の1日目と2日目、3週目の1日目と2日目に補習があるのです。 まあ、オール3や3以上の評定が付いていた人の補習はも

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑧

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑦

          6th world 大切って何? ガチャっと開かれたドアから入ってきたのは華鈴ちゃんと香澄くんだった。 「瑚々、大丈夫......ってその顔じゃあ大丈夫そうだね。あっ、それ先生からの手紙?受け取ったんだ。良かった。」 「えと......なんで2人はここにいるの?」 色々なことが重なりすぎてパニックになりそう。 「瑚々が倒れて、動かなくなっちゃったから騒ぎにならないうちに皆を落ち着かせようとしたら宮槻が先生のこと呼びに行ってくれたの。ね?」 そう華鈴ちゃんに言われて

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑦

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑥

          5th world 神様はすぐそこに 避難訓練で4校時目がほとんど無くなってそのまま給食だったらしいけどずっと保健室にいた私には恐怖と授業に出れなかった罪悪感しか残っていなかった。 学校が終わって私は部活に行かずに家に帰った。きっと、お母さんに連絡がいってるはずだから、早く大丈夫な姿をみせないと。と思って。 「ただいま。」 「おかえり。って瑚々、部活は?もしかして調子悪いの?」意外にも、お母さんに連絡はいっていなかった。今日のことを話そうか迷ったけど酷く心配するだろうから「

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑥

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑤

          4th world 崩れる日常と心の春 次に目を開けた時は朝だった。 私......話聞いたあと寝ちゃったんだ......。 でもなんだか昨日より調子がいい。体が軽い。 んー。と背伸びをして1階に降りるとお母さんと鉢合わせた。 「おはよう。お母さん」 「おはよう瑚々。急なんだけど今日学校を休んで病院に行かない?」 「え?私元気だよ?」 「昨日、起きてる時に発作が起こって、瑚々にも病気のことを話したでしょう?これ以上、お母さんたちの口から話すより診断してくれたお医者様から聞

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜⑤

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜④

          3rd world 笑う悪魔と負け天使 ドキドキを隠せない私に次の日はすぐやってきた。 「みんなー!席についてー!」 先生が声をかけた合図でクラスの子が続々と席に着く。 「今日は話していた通り来週からみんなと過ごしてくれる臨時の先生を紹介します。」 その一言でみんなが息を飲んだのがわかった。 『失礼します。』 そう言いながら2-2の教室に入ってきた一人の男性。 わっ、......若い。見ただけで若いと100人中100人が断定できる優しそうな男性。 「じゃあ、自己紹介をお願い

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜④

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜③

          World2 行方不明な気持ち 最近、香澄くんがおかしい。 「おはよう。」と声をかけたりすると、やたら顔を赤くして、まるで珍しいものでも見ているかのように驚いたような表情になり『おはよう』と小さめの声で言う。 今までは教室にいる人みんなに聞こえるくらい大きな声で挨拶しながら入ってきていたのに初めは私の顔色が悪くて心配しているのかと思っていたけど薬を飲んだか念入りに確認するようになっていたが、きちんと確認をしていた日も尚、香澄くんの様子は変わらなかった。悩みがあるなら....

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜③

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜②

          World1 光が灯った場所 名乗るのが遅くなりました。私は松森 瑚々(まつもり ここ)。今日、中学2年生になります。 前の学校で色々あった私は虹丘中学校に転校して2年2組になった。 でも、まだ皆、クラスの子達には会っていない。 一応、転校してきたから自己紹介を学年集会でするらしく、その時に"初めまして"になる。 今はその原稿というか集会でなんて言うかを考えてくるよう先生との顔合わせで言われたので少しずつ作業を進めている。 自己紹介なんて本当はしたくない。 友達が欲しい訳で

          箱の世界〜愛が導いた奇跡〜②