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寄稿♯11:クラブ主催のリーグ戦でフットサル育成年代の環境整備~東急SレイエスFCの挑戦~

こんにちは!今週は寄稿の11回目です。

私事ですが、今年1月末にツイッターを始め、2月にnoteを開設してから、フットサル関係の皆様と多くの交流が生まれました。

その中でもツイッターで発信し始めてすぐに興味を持って頂いた指導者がいました。それから寄稿者のブログを読み始めてやがて日課になり、多くのことを学ばせてもらっています。

今回はフットサル育成年代の環境整備をテーマについて書いて頂きました。

筆者紹介

冨成 弘之(とみなり・ひろゆき)さん

1983年8月生まれ、東京都出身。22歳でフットサルに出会い、フットサルクラブ「LEYENDA TAMA」や「小金井ジュール」でプレー。現在、東急SレイエスFCフットサルU-15監督、フウガドールすみだバッファローズ監督。サッカーB級ライセンス、フットサルA級取得中、イングランドサッカー協会公認レベル1ライセンス。バッファローズを2年連続で全日本フットサル選手権本戦に導くなど注目を集める指導者。東急SレイエスFC公式HPTwitterブログ

それでは本文です。

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究極の二足の草鞋を履く指導者として

小学校から兄の影響でサッカーを始め、高校まで没頭した。都立国分寺高校時代には公立校としては42年ぶりに東京都大会を優勝し、関東大会に出場。高校選手権では、東京都決勝にてPK戦の末、負けてしまい、夢であった全国の舞台へはあと一歩届かなかった。

そこでの敗戦が、指導者へのきっかけとなった。母校が全国大会に出場する夢を叶えるには自分が指導者として在籍して残り、「その思いを後輩に託すしかない」と。

しかし、その後2年間外部指導員として在籍したものの全国大会への夢は叶わなかった。やはり指導者としての学びが必要と強く感じた時期でもあった。大学に入り、選手と並行して指導の勉強を始めた。

19歳で掲げた人生の目標は「フットボールで飯を食う」「一生フットボーラー」であった。指導者と選手の両立を目指しながら、22歳の時にフットサルに出会う。

2005年の第10回全日本選手権決勝、ファイルフォックスvsエマーソン。その試合でフットサルというスポーツに心奪われ、サッカーから転向することになった。22歳から「LEYENDA TAMA」に所属し、フットサルのイロハを学ぶ。

6シーズン所属した後に、古豪小金井ジュールへ移籍。同世代の選手たちが中心となっているチームで切磋琢磨したことにより大きな成長を遂げることができた。

所属3年目からは選手兼監督として、キャリア初の監督を担う。当時はカテゴリーが異なるこの両チームが現在、東京都TOPリーグで相見えていることは非常に感慨深い。

そして、17年に選手を引退し、フウガドールすみだバッファローズにて監督として現在に至る。全日2年連続全国大会出場、東京都リーグで優勝し、関東リーグ2部参入を成し遂げた。

一方、仕事に関しては19歳で掲げた人生の目標を達成すべく、大学に通いながら20歳で東急スポーツシステム株式会社に入社。ジュニアスクール指導を入社した20歳から16年間継続している。それと並行して27歳からフットサル施設責任者を7年半務め、マネジメントに関して大きな学びを得た。これは今でも自分の強みとなっている。

その後、本社運営部に配属となり、俯瞰した立場からクラブ発展に微力ながら努めてきた。19年度より東急SレイエスFC フットサルU-15監督に就任。今後、東急SレイエスFCが日本でベンチマークされるクラブとなるように日々奮闘している。

仕事とプライベートは別のものである。しかし自身がフットボールの世界で生き残るため、生業としていくためには公私に渡り学びに当てないといけないと19歳の時に覚悟した。

自分は凡人である。選手キャリアも指導キャリアも優秀なものは何もない。そんな人間が厳しい世界でに身を置くことは学ぶ質と量を高めないといけないと強く感じた。

そこで選んだのが二足の草鞋だった。フウガドールすみだ、東急SレイエスFCという究極の二足の草鞋を履く指導者。公私共に指導者としての学びを得ても学び足りない。そんな感覚である。

今回は、自分が履いている二足の草鞋のうちの1つである「東急SレイエスFC」について自分が目指しているものを発信できればと思う。

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偉大なハビエル・ロサーノから受けた影響

サッカーU-15、U-18、フットサルU-15から構成されるクラブチームの運営会社は東急スポーツシステム株式会社だ。フィットネス、スイミング、ゴルフ、テニス、そしてフットボールの5事業からなる。

東急沿線を中心にスポーツを通して人々の生活を幸せにすることを志として運営している東急グループ企業である。今後はサッカーTOPチーム、フットサルU-18、 TOPチーム増設を視野に入れて運営している。

「more than FOOTBALL」

クラブ哲学である。レイエスに関わるすべての人々に成長を届け、それぞれが思い描く以上の姿、思っている以上の未来を届けるクラブを目指す。クラブの働きかけのすべては「それよりも、今よりも」を目指した考えで成り立つ。

フットボールを通してフットボールよりも大切なフットボールを伝える。フットボールよりも価値のあるフットボールがある世界を体現する。これは個人的にも共感できる内容だと思っている。

フットボールには人生を設計する全てを学べる要素があると感じている。フットボールを通じて人間力、競技力を成長させていく。そんな思いで日々選手と向き合っている。

創造・挑戦・調和

クラブにおける大切にしている価値観。そして、そこから紐づけられた行動指針が掲げられている。

① "0"から"1"を生み出し、"1"を"2"へかえる。

~偶然を待たずにアクションを起こし、スコアを動かしに行くこと~

② つまづいても構わない。歩き始めて続けること。

~失うのは攻めているから。大切なのは一歩でもボールをゴールに近づけ続けること~

③ One for club, Club for all.

~あなたの1プレーで、クラブは"すべて"に貢献できる~

コート内外において全ての関係者に紐づいています。リアクションではなく、アクションを取り続けること、失敗を恐れずゴールを目指すこと、個人でなく、チームであり続けること。そのようなことをコート内では価値観をベースに選手へ伝えている。

東急SレイエスFCクラブアドバイザー「ハビエル・ロサーノ・シド」

役職:FIFA FUTSAL インストラクター、UEFA FUTSAL COMMITTEE委員、96~06年スペインフットサル代表監督、02年 日韓W杯サッカースペイン代表 コーチ、レアルマドリード 育成部長、スペインフットサルリーグ 会長、スペインプロリーグ協会 会長、東急SレイエスFC クラブアドバイザー

彼との関係は14年前に遡る。とあるご縁から弊社が新規事業として立ち上げたジュニアスクールであるJ-フロンテッジフットボールスクールテクニカルディレクターに就任していただいたことがきっかけである。

その関係性は長年継続され、19年より東急Sレイエスフットボールスクールとブランド名を変更した際に、新たにクラブアドバイザーとして就任していただいた。

コーチングスタッフ養成、マネジメント、ブランディング、プロモーションなどビジネスサイドに関しても多くの助言をいただいている。そんな彼からいただいた好きな言葉がある。

「フットボールのゲームでは二度と同じ場面はやってこない。それは人生とよく似ている。もしも決められたことしかプレーできなかったら、ゲームの局面が変化した時に対応できるだろうか。“ゲームで活きるプレイヤー”・“自ら人生を切り開ける人間”の育成。その探求こそ、我々の目指すフットボールのテーマである。選手自ら考え、決断し、内省するサイクルを生み出すフットサルは、サッカーの世界を広げ、それはやがて人生を豊かにしていくのである」

フットボールのトレーニングが、いつしか人生を生きるためのトレーニングになる。レールがひかれた機械的な選手ではなく、主体性を持った選手が一人の人間としても大きく成長するということ。素晴らしい選手になることは、立派な人間になることでもある。自分が指導者として彼から与えられた影響は計り知れない。

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東京SレイエスFCが担うフットサルの可能性

東急SレイエスFCは2000年創設のフットボールクラブである。現在、サッカーU-15、U-18、フットサルU-15の3カテゴリーに加え、ジュニアスクールとして3200名を越える会員を抱え東京、神奈川を中心に12スクールを展開している。

サッカーU-15では関東リーグに所属し、毎年全国強豪クラブと切磋琢磨させてもらっている。またより質の高いクラブ運営をしていくためにクラブスタッフをコーチングユニットとビジネスユニットに所属を分けている。

ビジネスユニットは、フットサル施設の運営、イベントの企画・運営、スポンサー営業、広告宣伝、ブランディング、プロモーションなどを統制しており、自分が担当するコーチングユニットにおいては、サッカー、フットサルカテゴリーのプレーモデルの構築、クラブ内コーチングスタッフの養成、研修の企画・立案・実施、チームスタッフの意志統一などが業務内容となっている。

その中で、19年4月より活動を開始したフットサルU-15監督に就任。選手育成はもちろんのこと、フットサルの競技環境改善、カテゴリー増設に向けての準備などフットサルカテゴリーの統括をしている。

フットサルU-15は創設1年目ということもあり、中学1年生のみとなり、14名の選手が在籍。神奈川県フットサルリーグU-15に所属しており、週4、5日の活動の中でフットサルと真摯に向き合っている。年間2、3回の遠征、週末の試合経験などを経て、チーム強化を図っている。

近年、フットサルは人気が下降傾向にある印象がある。しかし、個人的にはフットサルに大きな可能性を感じており、その感覚は14年間変わっていない。

多くの方に、①フットサルを認知してもらうこと②フットサルの魅力を知ってもらうこと③選手育成環境を整えることーー東急SレイエスFCフットサルカテゴリーとしてのミッションだと思っている。

①フットサルを認知してもらうこと

フットサルに関する情報を広く発信していくこと。そのために組織を整え、拡大していき活動範囲を広げることが求められる。先に述べたビジネスユニットと協働し、どんな情報を、どういったタイミングで、どのように発信するかを議論しながら一人でも多くの方にフットサルに触れてもらう回数を増やしていきたいと考えている。

また情報量としては、活動頻度が多ければ多いほどフットサルに関する情報を発信できることになる。よって現在U-15のみの活動ではあるが、U-18、TOPチームのカテゴリー増設は既に視野に入れて活動している。幅広いカテゴリーで多くの情報を発信していくことがフットサルを認知してもらうには必要なことだと考えている。

②フットサルの魅力を知ってもらうこと

本来、フットサルが持っているスピーディでアグレッシブでエモーショナルな部分をコート内で存分に発揮すること。それにより、観ている人がどのカテゴリーでも東急SレイエスFCを観るとフットサルの魅力を感じてもらえるようにすること。

そのためにクラブが掲げるプレーモデルをどのカテゴリーでも体現していくこと。弊クラブをきっかけにフットサルを始める選手が増えたり、Fリーグ、代表戦などを観に行く人が増えることに派生するのが理想である。

③選手育成環境を整えること

神奈川県を中心に活動しているが、まだまだトレーニング場所、頻度、公式戦頻度など育成環境としては改善できる部分が多くある。インドア環境の整備、各カテゴリー、各学年の緊張感ある試合経験の確保など整えていきたいと考えている。

それは、東急SレイエスFCだけでなく、神奈川県、関東、全国の各クラブ全体の環境面を整えるという意味でもある。育成年代から整ったトレーニング環境、競技環境があることで競技人口が増え、多くの選手がフットサルを体感できると考えている。

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独自リーグ戦の発足

19年7月から開幕した「Reyes FUTSAL League U-13 -presented by KIRIN」は、競技フットサルにおいて入り口にあたるU-13年代を対象にしている。

現状U-13年代が切磋琢磨しながら試合を経験できる場は限られている。そこで東急SレイエスFCが主催となり、キリンビバレッジ株式会社様のサポートを受けリーグ戦を立ち上げた。

まだまだ選手としての入り口という時期でもあるので、敢えて選手にも審判をやってもらうレギュレーションとしている。ルールを学ぶ、選手の動きを見る、自分の意思を持つという点では大きな意味を持つものだと思っている。

参加チームは、東急SレイエスFC、エスタジオ横浜、ペスカドーラ町田、P.S.T.Cロンドリーナ、バルドラール浦安バセ、フウガドールすみだウイングスの6チーム。

レギュレーションは、前後半20分ランニングタイム、タイムアウトあり、総当たり5試合+トレーニングマッチ3試合、休憩のチームからコーチングスタッフ1名+選手1名が審判を行う。これは競技環境整備に向けたファーストフェーズとして捉えている。

今後、規模拡大、インドア環境の整備、カテゴリー増設など視野に入れ、引き続きキリンビバレッジ株式会社様のサポートを受け、20年以降の企画に反映させている。今後は、東急SレイエスFC主催のカップ戦も企画していく予定だ。

神奈川、関東が中心の大会だが、長期休み期間にフェスティバルとして開催し、全国各地域から参加クラブを募りながら育成年代の環境を整えていきたいと考えている。

日本フットサル文化の構築と貢献

何よりもフットサルをプレーできるチーム、環境にしていくことを継続的に5年、10年、20年と続けることが重要だ。そうすることによりフットサルが地域に根ざし、サッカー同様、育成年代に欠かせないスポーツになると信じている。

東急SレイエスFCを始点に、神奈川から関東へ、関東から全国へ、その風潮が広がり、長く愛されることで日本スポーツ界の1つの文化となっていくのだと思う。これはクラブとしての大きな「挑戦」だ。

文化は1クラブだけが努力して創り出されるものではなく、関東、全国のクラブを巻き込むことで「創造」されるもの。そしてその多くのクラブとの「調和」を図り、フットサルというスポーツを価値あるものへと日本全体に波及していきたいと思っている。

それにより、日本フットサル界へ微力ながら貢献していきたい。後ろ向きなことも言われるが、14年前に観た目の前で繰り広げられた試合に衝撃を受けた自分としては、今でもフットサルに大きな可能性しか感じていない。

夢物語で終わらせない。自分を信じて、クラブを信じて、フットサルを信じて、邁進していきたい。今後とも東急SレイエスFC、冨成をよろしくお願い致します。

冨成弘之

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来週も土曜日更新する予定です。

それではまた。

フットサルの観客を増やし、競技環境を少しでも良くしたい。僕がnoteを書く理由です。サポートは取材費(交通費など)にしますので、支援して頂けると嬉しいです。