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【読書記録】2023年8月6日〜8月12日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 毎日暑い日が続いていますが、気がつけば暦の上では秋。
 空を見上げると、モクモクの入道雲が猛烈に自己アピールしているウラで、空の色はなんとなく秋っぽい色合いに変化してきたような気がします。
 台風も近づいてきているようですし、これから少しずつ秋に向かって季節が進んでいこうという今日この頃、皆さん読書してますか?
 私はといえば、教科書の文学以外では人生初の「海外文学」に手を伸ばすという、貴重な経験をしました。

 …と言うことで、早速、今週出会った、そして再開した本たちをご紹介します。

【2023年8月6日〜8月12に出会った、再会した本たち】

⚪️始まりの木

著者 夏川草介

【内容紹介】
 藤崎千佳は、東京にある国立東々大学の学生である。所属は文学部で、専攻は民俗学。指導教官である古屋神寺郎は、足が悪いことをものともせず日本国中にフィールドワークへ出かける、偏屈で優秀な民俗学者だ。古屋は北から南へ練り歩くフィールドワークを通して、“現代日本人の失ったもの”を藤崎に問いかけてゆく。学問と旅をめぐる、不思議な冒険が、始まる。

裏表紙より

【感想】
 まずはじめに、夏川草介さんといえば〝神様のカルテ〟シリーズが有名ですが、この本は医療小説ではありません。
 夏川さんが自然の雄大さとその自然とともに生きてきた人々の文化、地域に根ざした神様に対する畏敬の念と、それらを蔑ろにする我々現代人に対して警鐘を鳴らす物語です。
 国立東々大学文学部で民俗学を研究する偏屈な学者・古屋神寺郎と、そこで学ぶ学生・藤崎千佳が、青森、京都、高知、長野など全国各地を巡りながら、人と人、人と自然の関わりの大切さ、日本人の宗教観などについて語っていきます。
 一番心に残ったのは信濃大学教育学部の永倉教授のこの言葉

「世の中には、いくらコインを積んでも交換できないものが、結構たくさんあるものなのよ」

本文より

⚪️八月の銀の雪

著者 伊与原新

【内容紹介】
 憂鬱な不採用通知、幼い娘を抱える母子家庭、契約社員の葛藤…。うまく喋れなくても否定されても、僕は耳を澄ませていたいー地球の中心に静かに降り積もる銀色の雪に。深海に響くザトウクジラの歌に。磁場を見ているハトの目に。珪藻の精緻で完璧な美しさに。高度一万メートルに吹き続ける偏西風の永遠に。表題作の他、「海へ還る日」「アルノーと檸檬」「玻璃を拾う」「十万年の西風」の五編。

裏表紙より

【収録作品】
八月の銀の雪
海へ還る日
アルノーと檸檬
玻璃を拾う
十万年の西風

【感想】
 この本は2021年、第18回本屋大賞第6位で、今年(2023年)5月に文庫化されました。
 まずは書影の美しさ、ダイナミックさ、そして切なさに心が震えます。この書影、そのままTシャツにプリントして着て歩きたい。
 読み終えてまず感じるのは伊与原さんの優しさと温かさ。科学というと私は無機質というか型にハマったようなイメージが先行してしまうのですが、扱っているのが主に自然科学だからなのか、とても心地いい開放感を味わうことができました。
 そして何より科学の説明がくどくないので、途中で物語の雰囲気が断ち切られることなく自然なカタチで寄り添ってくれます。
 どの話も甲乙つけ難いですが、書影にもなった子育てに行き詰まってしまったシングルマザーの物語〝海へ還る日〟が一番おすすめです。

⚪️ナンバー

著者 相場英雄

【内容紹介】
 警視庁捜査二課。殺人などの凶悪事件を担当する捜査一課とは違い、横領や詐欺といった狡猾な知能犯と対峙する。その二課に所轄署から配属された西澤警部補は、独特の捜査方法や同僚をライバル視する捜査員に戸惑いながらも眼前の犯罪に立ち向かっていく。人はどんな時に人を騙し、裏切り、真実を隠蔽するのか。細かく作り上げられた事件と、人間の奥深い心理を圧倒的なリアリティーで描くこれまでにない警察小説。待望の文庫化!

裏表紙より

【収録作品】
保秘
十二桜
あたり
へそ

【感想】
 警察小説といえば、まず浮かぶのが、殺人事件などを捜査する「捜査一課」。次に主に思想犯を取り締まり、その絶大な権力ゆえに警察内部からも嫌われる「公安」ですが、この物語の舞台は詐欺や横領、汚職などのいわゆる知能犯を取りしまる「捜査二課」。
 表に見える派手な事件ではないので捜査もいたって地味。横山秀夫さんが得意とする警察の事務方同様、こういう一味違う切り口が興味を惹きます。
 一番の読みどころは、所轄署から捜査二課に転属となった西澤刑事の成長物語でもあるところ。
 一般の犯罪に比べ、二課が捜査する事件は、とにかく奥というか闇が深い。だからどうも「ズバッと解決!」とはいきません。

⚪️トラップ

著者 相場英雄

【内容紹介】
 警視庁捜査二課の警部補・西澤は、ある汚職事件を追っていた。捜査がやや行き詰まりを見せる中、上司から“土管”という捜査方法を教えられる。その“土管”を駆使し、捜査対象者に迫る西澤。だがその裏で、警察官を監視する監察が動いていた(「土管」)。-横領や詐欺を担当する捜査二課を舞台に、警察捜査と犯罪の真相を描いた「ナンバー」シリーズ第2弾。ラストの“ひねり”を読み逃すな。

裏表紙より

【収録作品】
土管
手土産
捨て犬
トラップ

【感想】
 詐欺や横領、汚職などが捜査対象の警視庁捜査二課が部隊の物語の第2弾。
 今回も主人公は西澤。この西澤、エリートではなく、飛び抜けたセンスも技量もない普通の警察官というところに親近感が湧きます。しかも着実に成長しているというのが嬉しい。なにせ前作〝ナンバー〟で、容疑者の行動確認(尾行)が下手で散々どやされていたのに、今作では若い警察官にそのノウハウを指導するまでになっています。
 事件はやはり単純な殺人事件と違って一筋縄ではいかない。いくら追い詰めてももっと上の権力から圧力をかけられたら…。
 最後はまさかの展開。だからこのタイトルだったのね。

⚪️リバース

著者 相場英雄

【内容紹介】
 捜査において、痛恨のミスを犯した警視庁捜査二課の第三知能犯捜査係(三知)は解体され、捜査員はそれぞれ所轄署に異動となった。その一人、目白署に配属された西澤は、万引き犯の話から詐欺事件の手がかりをつかむ。捜査を進めると、別の犯罪の影が見えてきた。それは、あまりにも非道な犯罪だった…。警察小説「ナンバー」シリーズ初の長編。

裏表紙1

【感想】
 〝ナンバー〟、〝トラップ〟に続くシリーズ3作目。
 前作の最後でバラバラになった面々が、再結集して巨悪に立ち向かう展開はまさにムネアツで、アドレナリン、いや読書好きが分泌する脳内麻薬「ヨミパミン(by 寺地はるなさん)が止まりません。
 おまけに前作で、上司のイジメからココロを病んでしまい、二課に転属になったキャリア警視の小堀さんが拾った柴犬が、「メジ郎」なんて名前つけられて、なんと警察犬の訓練まで受けてるし。
 これは次回作の主人公は、メジ郎で決まりでしょ!
 …冗談はともかく今回の案件は「被災地支援詐欺」に始まり、とてつもなく大きな事件に発展します。まさかこんなこと実際にあったりはしないよね!?
 最後の真藤さんの号令に胸が震えました。

⚪️アルジャーノンに花束を

著者 ダニエル・キイス
訳 小尾芙佐

【内容紹介】
 32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリイ・ゴードン。そんな彼に夢のような話が舞いこんだ。大学の先生が頭をよくしてくれるというのだ。これにとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に検査を受ける。やがて手術によりチャーリイの知能は向上していく…天才に変貌した青年が愛や憎しみ、喜びや孤独を通して知る人の心の真実とは?全世界が涙した不朽の名作。著者追悼の訳者あとがきを付した新版。

裏表紙より

【感想】️
 1950年代アメリカSFの傑作と称される本書。
 確かに噂に違わぬ読み応えと感動でしたが、やはり小尾芙佐さんの翻訳が素晴らしいのだと思います。なにせ日本語には漢字とひらがな、そしてカタカナまであるので、特に最初と最後の表現は、単純に英語を日本語に訳すだけではなく、これらを駆使した効果的な表現についてかなり試行錯誤されたのではないかと想像します。
 手術により「知恵」を手に入れたチャーリィは幸せだったのか?
 私にとっては、人間が手を出してはいけない領域というものが存在することを教えてくれる物語でした。
 最後の「追伸」が本当に切なくて、グッときます。

⚪️シャーデンフロイデ

著者 中野信子

【内容紹介】
 「シャーデンフロイデ」とは、他人を引きずり下ろしたときに生まれる快感のこと。成功者のちょっとした失敗をネット上で糾弾し、喜びに浸る。実はこの行動の根幹には、脳内物質「オキシトシン」が深く関わっている。オキシトシンは、母子間など、人と人との愛着を形成するために欠かせない脳内ホルモンだが、最新の研究では「妬み」感情も高めてしまうことがわかってきた。なぜ人間は一見、非生産的に思える「妬み」という感情を他人に覚え、その不幸を喜ぶのか。現代社会が抱える病理の象徴「シャーデンフロイデ」の正体を解き明かす。

裏表紙より

【感想】
 シャーデンフロイデ。簡単にいうと「人の不幸は蜜の味」的感情とも言い換えられるか。
 この感情は生育歴や社会環境によって醸成されるのではなく脳内物質のオキシトシンの影響によるらしい。
 このオキシトシン、一般的には「幸せホルモン」とか「愛情ホルモン」と言われるホルモンだが、これが効きすぎると、自分がいる幸せで安全な空間を守ろうという方向に働くとのこと。つまり子供を束縛する毒親も、ネットの有名人叩きもその延長線上にあるということ。
 正義感が強く、ルールに厳格な人ほど他人を陥れやすいという話にはドキッとしました。気をつけねば。
 できれば最後にこの感情とどう付き合っていったらいいのかについても触れてほしかった。決して自慢できないけど、自分はこの「シャーデンフロイデ」に結構振り回されるので。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 今週の目玉は、なんと言っても〝ナンバー〟シリーズですね。
 感想にも書きましたが、警察といえばまず浮かぶのが、殺人をはじめとする凶悪犯罪を扱う捜査一課だと思うんですね。でもそこをあえて外して、一見地味な知能犯を扱う捜査二課に焦点を当てるという着眼点が、とても新鮮でした。
 そしてもう一つの目玉「海外文学」ですが、今まで幾度か外国人作家の物語にチャレンジしては見たのですが、我々日本人とは宗教観や社会背景が異なるし、比喩表現や冗談にピンと来なかったりで手に取らずにきましたが、今回手に取った〝アルジャーノンに花束を〟で、かなり印象が変わりました。これを機に少しずつ、「名作」と言われる物語くらいは読んでみようかと思います。

最後に、
 読書っていいよね。


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