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誰かの寂しい夜にすべりこむ

今日は1冊ご紹介してみようかな!こんばんは黒猫です


私は25歳まで小さなクリニックで受付嬢をしていたんですが、暇な時はとんと暇でよく小説を読んでました。
ちなみに好きな作家さんは乙一、市川拓司、恩田陸、あさのあつこ、雪乃紗衣(敬称略)とめちゃくちゃ偏ってるんですけども笑


特に本当に好きなのが桜庭一樹さんという女性の作家さんで、荒野、砂糖菓子の弾丸は貫けない、赤×ピンクなどオススメは沢山あるんですがその中でいちばん抉られるような衝撃を受けたのがこちら

ファミリーポートレート/桜庭一樹著


文庫本で購入したんですけどめちゃくちゃ分厚い、なんと500ページ超え。
「コマコ、逃げるわよ」美しい母と2人、逃避行の中で巡る街と駒子の成長が第一部、消えた母の面影を追いながら夜の中で生き始める駒子を描いた第二部の二部構成となっています。


第一部は私、目の見えない大家さんのいる街が好きなんですけど、第二部で駒子の才能を見つける編集者が出てくるんですが、ひょいっと出てきてあっという間にいなくなるのにすごく印象的なサブキャラクターなんですね。
ちょっと子供を産んでから読めてないのですっかり忘れてしまっているんですが、彼の台詞に「誰かの寂しい夜にまた会いましょう」という感じのワードが出てくるんです


私にそのワードがものすごくしっくり来て、お気に入りのシーンで付箋をはって何度も読み直すほどでした。


作品のテーマは母娘の共依存なんですが、読むほどにコマコの痛いほどの愛や孤独が自分と重なって、気持ちが辛くなるほどでした。
あと真田の台詞で「お母さんといた幸福から立ち直らなくてはいけない」というのもあるんですが、本当にこの一言がああ、そうだなあ…とストンと胸に落ちてくるような感覚を味わいました。


共依存て傍から見るとすごくいびつなんですけど、当人達は本当に幸せなんですよね
いい時もあるからのいい時にものすごく執着してるというか、それしか見えなくなってるので


すごく重いテーマに感じるんですが、読みやすいぶんすごく引き込まれる作品です。
ちょっと重いかなあという方は荒野から手を出してもいいと思います。1人の少女の3年間の成長物語です。


あなたの寂しい夜にすべりこむ素敵な作品になりますように

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