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日曜8時、ガストにて。

今朝、早起きをして本を読みにガストに向かった。
今日は近くのスーパー銭湯に開店と同時に行くことに決めていたので、
その前にガストモーニングがしたかったのだ。
どうしてよそで食べるトーストはあんなにおいしいのだろう。家だとなんだか味気ないのに。

最寄りの駅近辺にガストはないので、なんだか久しぶり。
7時から開いているとは、なんて働き者。
とりあえず適当なボックス席を確保し注文を済ませると、ドリンクバーへ直行。そこには慣れた様子でコーヒーマシーンのボタンを押すシニア男性がひとり。少しだけ待って私もコーヒーマシーンをぽちり。今日はカフェラテの気分。
温かい飲み物を体に注ぎながら、仕事で必要な本を広げる。これがなかなか進まない。

読んでいるのか読んでいないのか、ネコ型ロボットが運んできたトーストをかじりつつページを弄んでいると、通路を挟んだ向かい側に座っていたさっきのシニア男性の隣に花柄のあでやかなブラウスと大きめのイヤリングをつけたおしゃれなシニア女性が挨拶をしながら席に着いた。「〇〇さんは今日は来ないのかね」「先日長野に行くっておっしゃってましたわね」「そうかそうか」
そうこうしていると、1人、また1人と同じ世代の方が集まり、男性3人と女性1人のシニアの集いが始まった。ガストは、今は通常タッチパネルで自分で注文する方式だが、「いつもありがとうございますー」と店員さんがやってきて、「こちらのトーストのセットでいいですか?」とタッチパネルを代わりに操作してくれた。

私はなんとなくその集いに耳を傾けていた。もうすでに本は読んでいない。

令和何年は西暦何年なのか。
明治元年ならすぐに答えられるのに。
あそこのお寺では座禅が組める。精進料理も食べられるのよ。
Eテレで脳科学の番組がんばって見てたけど一つも理解できなかった。
etc

すみません、結構聞いてて。会話のかけら、端っこをちょっと拝借していたのだが、なんだか心地よかったのだ。なんか、嫌な感じがどこもなかったのだ。
私が思うに、それは1人の女性の手腕だ。彼女は、相手を立てながらもちょっとだけいじったり、時に新しい話題を振り、そして自分のことも必要以上に下げたりせず、そして声が通る。そう、この集団はこの女性を中心に成り立つシニアの集いなのだ。
それを裏付けるように、女性は1時間ほどすると、おそらくいつもそうなのだろう、おもむろに上着を羽織り、「では私はここで」と去っていき、残った男性たちは彼女を見送った後、すぐに散り散りになった。

帰り際、その女性は店員さんに声をかけ「いつもお世話になります」と伝え店員さんも「こちらこそありがとうございます」と言っていた。顔は見ていないけど、2人とも笑顔だった。

私は、この女性みたいな人になれるだろうか。
自分がご機嫌で、周りの人もご機嫌にしてくれる。彼女を取り巻くおじいさまたちはもちろんのこと、あの店員さん、嫌なことが続いてもうやめようと思っているそんな時にあんな風にありがとうと言われたら辞めるのを辞めるかもしれない(妄想)。そして、サウナ前の早起きアラサー女にもあたたかい時間をくれた。


そして、私の親にも、こんな集いがあったらいいなと思った。

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