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わたし、いまめまいしたわ

 はじめに断っておくと、タイトルは回文になっていて、これは確か安西水丸さんの書いた文章の中で見たものです。記憶に間違いがなければ、つくったのは和田誠さん。うまいですよね。

 数日前に、ほとんど一日中めまいがしていた日があった。朝、目が覚めて体を起こす前から意識がくるくると回っている。あれれ、と思いながら起き上がって、そのままわんわんとしたまま朝の身支度をして仕事に行った。歩いていても電車に乗っていても事務所に着いて座っていても、ぐるぐるがおさまらない。ちょっと動くだけ、例えば振り向くくらいの動作だけでもふらふらする。
 年に数回、こういうことがある。

 次の日は治っていて、さらに1日あけて鍼灸整骨院に行った。その日、指圧が久しぶりに院長先生だった。どこか気になるところはありますか、といつも通りの質問があったので、このめまいのことを伝えたら、心臓ですねと言われた。
 このときの私のケースみたいに、動作のありなしに関わらないめまいの場合は、心臓が弱っているんだそうである(立ちくらみみたいなのは腎臓とのこと)。心臓にくるのはどんな時なのかというと、強めのストレスにさらされた場合などが多く、他の症状としては頭部から首の後ろにかけて汗が出る、手が冷たくなる、菱形筋りょうけいきんという脊椎から肩甲骨にかけてくっついている筋肉が張る、その辺りだと教えてもらった。菱形筋のあたりを治療してもらっているとき、そこが痛かった。
 ストレス、思い当たることがありますか? と訊かれ、まあ、あったのでイエスと言った。心臓は気をつけないといけませんよ、脳梗塞や脳出血とかになりますからね、と先生が言っていた。

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 一般的にストレスは良くないとされていて、私もそうおもっていた。でももしかしたら、とおもうこともあって、それは適度なストレスはある場合には有効に働いたりもするんじゃないか、ということ。緊張感と言い換えてもいい。
 ストレスをなくすため、居心地の悪い環境を避けたり、肉体的にも精神的にも緩ませるための何かをしたりするのは、現代社会においてイイコトとされているフシがある。ココロを癒すもの、たましいをよろこばせること、リラックスするような環境、そういったものに関する書籍や商売やグループ活動など、思い出してみると色々とあって、どちらかというと推奨しているような世の中である。
 だけどあまりにゆるゆるの方向に行くと、何かそこにはぬるま湯的というか、そういう場所に辿り着いてしまって、その先は精神の退化とか、どうもそうなる気がちょっとしている。ストレスに対する一定の耐性をつけておかないと、ゆるゆるのよわよわになってしまって何かあったときの対応に困りそうである。それに人というのは追い詰められたときに意外なチカラを出すこともあるし、そういうことを考えるとあまり緩めてばかりというのもどうかな、などとおもうのであった。

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 まあでも数日前の私から生まれ出たものはめまいのみ、自分がしんどいだけでクリエイティブなものなんて出てこなかった。例えばタイトルに使わせてもらったような洒落た回文のひとつでも思いついたらいいのだけれど、そういうセンスも私にはないみたい。残念である。

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今日の「季節のたべもの」:りんごが好きです。いま出ているものだと紅玉がわりと好きで、これはぎゅっとした歯ごたえときゅっと酸っぱいところが魅力です。アメリカにはマッキントッシュという、紅玉に似たおいしいりんごがあるらしいのですが、日本で見かけたことはない。食べてみたいなあ。ちなみにりんごのマッキントッシュの綴りはMcIntoshで、Apple社のコンピューターはMacintoshです。

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