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ちらし寿司によるしあわせ

 3月3日は桃の節句で、長崎では「桃カステラ」という郷土菓子があちこちの菓子屋さんで盛大に売られます。初節句の贈り物にしたり、季節のお菓子として親しまれている桃カステラだけど、上掛けのすり蜜が得意じゃないので私の心はときめかない。

 仕事のボスから「桃カステラとちらし寿司どっちがいい?」と聞かれました。どちらかをくれるつもりらしく、私はちらし寿司と答えました。

 ちらし寿司と聞くと思いだすのは村上春樹氏のエッセイです。これによりちらし寿司にも東西があることを知りました(村上ラヂオ「人はなぜちらし寿司を愛するか」)。
 今もあるのか知らないけれど、以前はよく「すし太郎」のコマーシャルが流れていました。あれって西のちらし寿司ですよね? 母が作るちらし寿司もああいったものか、または郷土料理の大村寿司(おいしいんですよ)のどちらかでした。

 関東のちらし寿司は「江戸前ちらし」と呼ばれるらしい。酢飯の上に、握り寿司のたねが並んでいます。海鮮丼の類と違うのは、酢飯である点くらいでしょうか。

 私も村上さんの意見に1票です。江戸前のちらしもいいけれど、ちらし寿司と聞くとこの関西風のちらし寿司が頭に浮かびます。そして、食べたくなる。あの酢飯の香りは、やわらかいけれどしっかりと人の心をつかまえて離さないものがありますね。

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 ボスから受け取ったちらし寿司は、ボスのひいきの寿司屋さんのものでした。目に賑やかなこのちらし寿司の酢飯に具材は混ざっておらず、寿司ねたの一部も入っているものでした。江戸前と関西風のあいのこってところでしょうか。旨いものに目がないボスのひいきの店ですから、それはもうおいしかったです。

 ごちそうさまでした。

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