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できれば守られていてほしいもの

 気になることがあったので、ときどき訪ねる外海そとめに行ってきました。数日前のことです。いつもたいてい仕事のうちで行くため、つい時間を気にしてしまいがちなんですが、今回はとても久しぶりに、思いたって行ってきたんですね。
 そう言いつつも気になることというのはどちらかと言えば仕事に関わることだったし、いつもの訪問先で、お世話になっている方々にお会いして、あれやこれと話をしたり、いつも通りといえばいつも通り、そういう時間でした。

 復活祭を控えていることから、今の時期の教会堂にはお花が飾られていなかったり、黙想会が行われていたりと、信徒の方々にとってはたいせつな期間です。
 私が関わる教会のうちのいくつかは、世界遺産の構成資産のなかにあります。そういったこともあって、見学に、観光にといった来訪者もあるんですね。
 黙想会などといった行事があるときには、そういった来訪者に対し、御堂に入るのは遠慮してもらうよう声かけをしています。また、中に入らないといっても建物の外側をぐるりと歩いて眺めるようなことも、物音や話し声といった騒音となることから、遠慮していただきたい。
 遠方から目的を持ってスケジュールをしてこられた方々のうち、こういうことがあると不満を口にされる人もあります。
 その気もちはわからないでもないけれど、これは地域の方々の日常生活なのであって、そういうところはできるだけ守られてほしいと、ささやかな思いが私にはあります。

 せっかく来たのだからちょっとぐらいいいでしょう。わざわざ足を運んだのです。少しだけでもいいから。
 そのような言い分をなさる、したくなる気もちもわかるけれど、これはその人たち側の都合です。自分たちの都合をもう一方に主張するのならば、相手方の都合にも理解を示すのが道理だと思うのですが、こういった方々はまずそんなことは考えませんね。

 自分でも別の土地を訪ねたとき、例えば国内の世界遺産に関わるところではほとんどと言っていいほど何かしらの工事をしています。保存や保全に関わるもので、大掛かりになると足場が組んで建物が見られなかったり、国宝が見られなかったり、景観的に見栄えのしないことが多い。だからといって世界遺産に登録されてしまったことで、保存のため修理は義務となるから仕方がない。
 こういうとき、どんな態度を取るかで旅のおもしろみも変わってくると思うんですよね。見られなかった、残念、悔しい、そんなネガティブな思いを持ってしまうと、旅そのものさえ思い出としていいものになりません。
 私が行ったときの宮島・厳島神社の鳥居は足場に覆われていたけれど、そんな姿を見られるのだって滅多にできない体験といえば言えるわけなので、そういうおもしろがりかたの方を選びたいです。
 自分が訪ねたときにしか見られない季節の花や植物、その土地のその時期の物産品やたまたま出合った人など、なんでもいいから「来てよかった!」に捉えられたらいいと思います。

 まあ、私だってどこかで道理の通らないことをやっているかもしれないので、あまり大きい声で言えないのですが。

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 この地区は、ここ数年イノシシによる被害や脅威に晒されています。(人間の方を優先して「被害」ということについては、ここでは脇において話を進めますが)この地区に限らず、五島列島のそれぞれの土地でも同じような状況にあるんですけれど、今日は外海の話をします。
 ひとつの教会堂の敷地内に、最近イノシシ対策として忌避剤を施しました。敷地をぐるりと取り巻いて、薬剤を入れた容器を配置したんですね。その様子が気になったのがひとつでした。到着して、それを見た。
 イノシシのことについては、何年も前から行政に相談してきて、やっと対策が行われたのが今回だったのですが、設置して1週間くらいで大人のイノシシがやってきたということでした。春だし、風が強くて薬剤の匂い(イノシシが嫌いな匂い)が吹き飛ばされてしまったのかもしれません。やっとのことでしたが、はじめから残念なこととなってしまったわけです。敷地に入ってこないのももちろん、数が減るような対策が取れたらいいんですが。

 もうひとつの気になったことについて見回りをして話を聞いたり、当番のOさんと一緒になって来訪者の方と短い会話をするなどして、次の目的地に行きました。

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 次の目的地も教会堂でした。休日だったこともあって、来訪者がわりとあります。こちらの当番の方とも、その来訪者の合間をぬって会話をして過ごしました。夕方になっていて、すると造園会社のトラックが入ってきました。定期的にくる業者の人で、行政からの委託部分の植物の世話をしにきたんですね。
 当番の方は顔見知りだから、気安く言葉を交わしています。ひとりは年配の女性、もうひとりも年配で男性でした。おばちゃんの方が、まだ冷たかねえと言いながら、植え込みの花の様子を点検します。口も手も動かして、一見きれいな花の中から萎れたものを除いています。
 ふと、ああこうやって、私のいま目の前にあるものの全ては誰かの世話が入っているんだな、という気分になりました。その日たまたまこの人たち(造園の人たち)が世話をする場面を見たところに立ち会ったけれど、見ていなければその植え込みの植物たちが保たれているところにまで、なかなか気もちが及ばないものです。
 当たり前ではないこと、そういった色々のことを思うと、なんだか込み上げてくるものがありました。そして、誰かの手の携わって保たれているもの、地域の人々の日常が守られ続けてほしいです。

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 いくつか写真を撮ってきたので貼り付けておきます。

この子はさくら猫ですね
山吹色の水仙
芽が・・・

 私は、春という季節をちょっと苦手としているため、こうやって木々に芽がいっぱいついているのを見ると少しだけ落ち着きをなくします。春が来るんだ、と身構えるというか。

うぶ毛だ
白い水仙からはドナルドダックを想起する(といいつつこれは山吹色)
マリア様です
これは別の日に別の場所で
ユキヤナギかあ

 トップ画像とこの2枚は、外海に行ったのとは別の日に撮りました。まだほころびかけでしたが、風が強い日でゆさゆさ元気いっぱいに揺れていました(だから撮るのがむずかしかった)。
 明日はまた外海に行きます(にっこり)。

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今日の「空模様」:満月ですね。土星の移動もあって、節目感のある週なのだそう。私はといえば、アレルギー薬の影響か口がカラカラに乾いています。関係なくってすみません。

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