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モータドライバのお話

アイデアオリンピックの大原則は2つあって、①動力を有すること②子供が乗れること、となっています。動力に関しては、自動車をそのまま改造するような作品でない限り、電動車が主流です。ちなみにこの書き方だと自動車を改造する作品が少ないように感じますが、(他部署の)過去作品を振り返るとけっこう多いです。さすが自動車会社。ただこれもまた、その年のテーマ次第でしょうね。近年はテーマが「モビリティ」と広義になっていることや、世間的にモータやバッテリのコストダウンが進んでいることから、電動車作品が増加傾向にあります。

さて、この電動車の作り方も様々で、過去に紹介した"骨組み"が出来たのであれば、あとはモータとドライバを適切に選定し制御すれば、誰でも簡単にモビリティを製作することができます。モータの選定に関しては、作りたいものによって大分変わるので、ここではドライバの話を軸に、モビリティの動かし方をお話ししていきます。ちなみに、ホールセンサ付きのブラシレスモータを使用する前提です。

私自身、あまりモータ周り詳しいわけではありませんので、もしかしたら誤った知識も含まれているかもしれません。ここでは、経験談的な視点でお話しますので、参考がてらに読んでくださいませ。

それでは、色々ご紹介。

1. 既製品ハック

既存のモビリティを購入してきてハックする手法。早い話が、電動キックボード買ってきて、モータ周り、スロットルを自分好みの配置に組み替えれば、それだけでオリジナルモビリティが完成します。さらには、スロットルの信号を解析すれば、自分で入力I/Fを変更することもできますし、最も簡単な方法でしょう。

課題は製品状態での購入なのでコスト高な点と、複雑なことをしようとすると難しくなってくる点でしょうか。回路・制御がブラックボックスなので、トラブルシューティングにも難あり。他、部品の分解工数、不要品の廃棄あたりがネックかもしれません。

個人的には、自作した感が薄くあまり好きではないです。ハード設計に自由度を持たせられないのも嫌ですね。また、将来的に商品化を想定するような作品であれば、やはり部品単位で購入したいところです。

2. 付属モータドライバ

私はいつもAliExpressで足回り部品を購入しますが、モータにドライバが付属されていることが多いです。その場合、スロットルも付属されている為、電源供給するだけで動きます。とても簡単。

課題は回路がブラックボックスなので、トラブルシューティングしにくいこと。また、取説がない場合があり使い方が分からないことがあります。

アイデアオリンピックだと、この方式のチームをよく見かけます。我々の過去作「ExoWheel」も付属のモータドライバで動かしていました。

ただ、近年は付属のモータドライバも「VESC」ベースであるものが増え、使いやすくなってきました。VESCについては最後にご説明します。

3. 中華ドライバ

上記と類似していますが、ドライバ単品で販売されているケース。最大のメリットはとても安価な点。350Wのドライバが2000円で、しかもAmazonでも買えるという。

ZS-X11Aという品番らしいです。中国でやたら出回っています。他、ZS-X11Bというものや、対応する電圧が低いものもあるようです。

これ、私一時期好んで趣味の工作で使っていました。しかし、ハズレを引いたことがありますのでお気をつけください。なにがハズレか?回路ショートしていて煙がでたことがあります。ハンダ付けの品質が悪いんですよね。まあ、値段相応かもしれませんが。

4. 完全自作

ロボコンやってる学生がよくやってますよね。買うと高いから自作!という考え方。Twitterでもチラホラ見かけます。

私はやったことないし、そもそもアイデアオリンピック視点で見ると、自作するのは微妙。コストを下げれても、工数が足りなくなりますもんね。また、これまで中華ドライバの話してきたので、言うほど高くもないですし、個人的には買った方が良い気がします。

あと、ロボコンやってる学生は勉強も兼ねてますから、それはそれで良いのかもしれません。私もいつかは勉強がてらやってみたいのです…。

5. ラジコン用ESC

これは結構オススメかも。ドローンが流行ってることもあり、近年ESCは安価で種類も豊富です。ちなみに、ESCの正式名称は「エレクトリック・スピード・コントローラー」です。

最初に既製品ハックの話をしましたが、既製品のモータドライバの解析は難しい為、ESCのみ、自分が扱いやすいものに変えてから動かす、という手段も有用です。

これらはヒートシンクも予めついている製品が多いですし、とりあえずAmazonやラジコン屋さんで色々調べると良いものが見つかると思いますよ。

6. VESC(オープンソースESC)

私はこれが本命ですね。3年前から、我々はVESCを使用しています。VESCは海外で作られた、回路から全てオープンソースのESCです。オープンソースゆえに色々なメーカーから販売されていますが、私はMaytech製を扱っています。

とにかく高性能!オープンソースなので開発も活発なのです。自動パラメータ推定できますし、多くのインターフェースを提供していて、シリアル、CAN、PPM、USBなどが使えます。定格50Aくらい流せます。

下記サイトに色々書いてありますので、興味がある方はご一読下さい。

英語なのがしんどい…。日本でもVESCの勉強会みたいなのあれば良いのに…と思う今日この頃。

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