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独身女性、寒くて痛くてメソメソする。

風邪をひいた。

熱は38℃台〜微熱を行ったり来たり。
若干アレルギーのような違和感はあるものの、鼻水や喉の痛みはなし。
何より寒い。そして身体中の皮膚がピリピリと痛い。

発熱に気づいたのが今朝の5時。
元気に動ける間に、マンションのエントランスからダッシュ5秒で入店できるコンビニへ買い出しへ行く。
UberEATSでお薬まで宅配してもらえる時代、女ひとり逞しく生き抜くことは別に難しくない。

体調不良は、守るべき存在がいる方がしんどいと思う。

妹家族が関西に住んでいた頃。
妹が駅で倒れてしまったという連絡を受け、駅に引取りにいったことがある。生憎その日、妹の夫は仕事で遠くにいた。

幸い妹も大事には至らず。
駅員室で休ませていただいているということだったが、当時姪っ子達は2歳と3歳。
まだオムツも外れていない、言葉もままならない小さな子どもたち。

特に当時の下の子は恐ろしく人見知りだった。
未知の状況に出くわすと、全身をガタガタと震わせて怖がる臆病な子。
ああ、大丈夫だろうか。

わたしも焦っていた。
自宅から妹たちのいる駅までは、タクシーと電車でどんなに急いでも1時間弱はかかる。随分長く感じた。
駅に着いて、何をどうやって妹たちの元にたどり着いたか思い出せない。

駅員室の奥の、医務室のような部屋に通された。
嫌に静かだった。もしかして、子どもたちはベビーカーで寝てるかな。

「やっほ〜。」

できるだけ明るく、できるだけ小さい声でそう言いながら扉を開ける。
わたしの顔を見るなり、体に不釣合いなパイプ椅子に座っていた3歳が一目散に駆けてきた。
おえかきしてたよ、なんでいるの、ママはねてるんだよ、シールもらったよ。
そう、えらかったね、大丈夫だよ。大丈夫だよ。

ベビーカーを見ると、2歳児が今にも潰れそうな目で静かにうとうと横になっていた。
きっと怖くて眠れなかったのだろう。駅員さんによれば、泣いたりぐずったりもせず静かにしていたらしい。
そのあと少しお茶を飲ませて抱っこしていたらすぐに眠ってしまった。

妹は横になったまま、わたしの顔を見て珍しくボロボロと泣いていた。「情けない、迷惑かけてごめん。」と。
ああ、どれだけ恐ろしかったことだろう。
よく頑張ったね、もう大丈夫。帰ろう。

駅員さんたちにできうる限りの感謝を伝え、わたしも妹たちと同じ電車に乗る。
最寄り駅に着くとちょうど同じタイミングで、妹の夫が到着していた。よかった、これで安心だ。

わたしの大切な妹に、温かい家庭があってよかったなぁ。
この時、心の底からそう思った。
そしてまたひとり、帰路に着く。



30代独身は、体調不良も気まま。
勝手に寝込んで勝手に治す。誰にも知られず、そういうことの繰り返し。
いつも元気だね、いつもちゃんとしてるよね。そんなことを言ってもらえる機会も増えた。

そう見えているならば、今はそれが一番いい。

そして、わかっている。
わたしのこういう可愛げのない弱さこそ、他人と温かな信頼関係を築くことができない一因なのだろう。
自分でもわかってるから。好きでやってるから。



とはいえ、誕生日を目前にして地味に堪える。
堪えてなければこんなことわざわざ綴らない。
今日一日でカタをつけたい。がんばれ、免疫。

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