愛への距離

親友に彼氏ができたらしい。

久しぶりに電話がかかってきて、何があったんだと尋ねたらそういう報告がてら近況を、といったようで。

彼女の新鮮な恋の話を聞いていたら、これが幸せの音かと思った。と同時に、今年別れた元カレのことを思い出した。わたしが彼と付き合っていた頃の生活と重なり合うものを感じ、そして淡い光景を簡単に思い浮かべることができた。

彼と別れてからのわたしは、安っぽい話に出てくるような、人をなかなか好きにならないといった理解しがたい現象が訪れている。そのせいで、出会いはあるのに恋に落ちない。そして恋に落ちたいとも思えない、悲しくて強靱な心が続いている。

親友の幸せそうなあの声は、今のわたしには寄り添えないもの。わたしは満たされているけれど、人に対する愛とはちゃんと会話をしていない。物には同じように皆命があると思っているから、その子たちに対しては常に愛を捧げて愛をもらって生きている。けれど、人間には。

誰かをまた愛したい、愛されることは求めないけれど、また誰かに恋をして、また愛を心で触れてみたい。なかなか人に恋心を抱かなくなってしまったけれど、絶対また人に愛を捧げられると信じたい。愛と適当に生きたくはない。

自分の中でもう一体何がなんなのか分からないといったことが解答ではあるけれど。親友の話すあの幸せの景色は、今のわたしにはひどく眩しい。占いの恋愛にめっきり興味を示さなくなったけれど、わたしもいつか、同じ空を見て星を見て言葉を交わさなくとも同じ温度を分かち合えるそんな人と生きてみたい。

でもやっぱり、当分はよくわからないままかもね。まぁ、それでいい。もう朝になるし、いい加減寝る

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