御室桜をみにいった話
今日は案内してもらいながら仁和寺の桜を観てきた。
仁和寺の桜は御室桜といってみんな背が低い。
御室あたりの土は粘土質で桜が根をはれないから、地上に出る部分もおのずと小さくなるんだとか。
近所のソメイヨシノは幹が太く背も高く、見上げるもの、という感じだけれど、仁和寺のソメイヨシノはこじんまりしていて手の届くところにその花があった。だから仁和寺は昔から花見の名所なんだって。
同じ生き物でも環境によって姿かたちは変わる。そして外部に与える影響もまた変わり、土地の色をつくっていったりする。人間と同じだ。
そんな桜たちの大半は里桜といって、山桜を元に人間の手でつくられた品種で、人間が手をかけなかったら自然と元の山桜の姿に戻っていくらしい。戦争や何やかやで手をかけられなかったせいで、江戸期にあった里桜の種類のうち二千種はもう現代にはいないそうだ。
消えてしまった桜たち。それもまた人間と同じみたいだと思った。
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