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『自省録』

私から私へ

1 書けないときはノートに「書けない」とだけ書き続ける。それを笑う者は書く喜びを知らない者である。

2 手の感覚を大事にせよ。今触れているものがすべてである。

3 近くに疲れたら遠くを見よ。

4 自分の毒を見逃すな。逃げるな。宝である。

5 書きつぶせ。己のくだらぬ思想などいらない。恥部のみを書け。

6 誰かの批評をするな。いつまでも批評される者であれ。

7 線をひけ。周りは止めるであろう。「その線から先へ行ってはいけない」と。行くなら行け。そのかわりひとりで行け。そのためにも、いつもひとりでいろ。

8 スポットライトの当たらない、誰にも知られることのない、その隙間を書いてみろ。己の、あなたの、細くて深い、その隙間を書いてみろ。

9 病院の窓から車椅子の父と見た朝焼けを思い出せ。「きれいだな」と言った父の横顔を忘れるな。

10 泣いてもいい。死ぬな。

11 今はその時ではない。

12 ならば生きよ。

13 続けること。続けること。

14 どれだけの多くの本を読んでも何も解決しない。それに気づけたのは、多くの本を読んだからである。

15 そして君、自分の空くらい、自分で決めろ。

16 もっと純粋な何か。純粋な何かが流れているはずだ。

17 雪が降る前の世界の静けさ。無音を体感し、肚にとどめよ。

18 今生で達成できないのであれば来世でもいい。来世とは明日のことである。明日とは今日のことである。今日とは今のことである。今とは永遠である。来世は永遠にやって来ない。

19 人生は終わりなき主観。

20 君よ。己の不器用を売りにしてはならない。それはただの傲慢である。不器用を売りにするその器用さこそ恥じるべきである。

21 数本しか入っていないペンケースの中で、ペン同士のぶつかる音がする。静かな夜の闇。生きてる。

22 偶然という名の沼は連続している。ドロ沼にハマったが最後、われわれは息をすることさえままならない。

23 何度も書き直すこと。上から書きつぶすこと。
大丈夫。消えない。

24 君の幸福を他人に預けてはならない。

25 いずれ来る収まるべき場所。君よ、そこで安らえ。

26 外に出ることと外に出ないこと。両方大切である。

27 それは本当に欲しいものなのだろうか。今必要なのだろうか。君よ。腹の底から欲するものを知れ。

28 もうこの世に存在しない者こそ、すべてに存在する者である。

29 長いと感じるのであれば人生は地獄である。

これから先、いくつも付け足し、何度でも書き直すこと。

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