将来の夢は赤ちゃんになること





最近の将来の夢は、赤ちゃんになることだ。







私には生後10ヶ月になる娘がいる。

私と旦那が晩酌をする中、隣でベビーチェアにちょこんと座り、お気に入りのおもちゃでご機嫌でひとり遊びをしていた。


が、 ガシャン と音を立てておもちゃが床に落ちた。どうやら手が滑って放り投げてしまったようだ。

5秒ほどフリーズしたあと、娘は大粒の涙を流しながら泣き始めた。おもちゃを落としてしまったことが余程ショックだったらしい。

すかさず旦那がおもちゃを拾い上げ、娘に渡した。すぐ泣きやんだ娘は何事もなかったかのようにまたおもちゃで遊び始めた。



娘の泣き声を聞いて、半年前のことをふと思い出した。








娘がちょうど生後4、5ヶ月の頃だ。 

それまで夜は5時間程度まとめて寝てくれていた娘が、1時間おき、ひどいときは30分おきに目覚め、夜泣きをするようになった。


添い乳がうまくできなかった私は毎回毎回、まだ寝ていたいよと悲鳴を上げる身体を起こし、座って授乳をしたり、ミルクを飲ませたり、抱っこをしてゆらゆらと揺れたり、ありとあらゆる手段で娘を寝かしつけていた。










旦那は隣でスヤスヤと眠っていた。  



あんなに娘が大声で泣いているのに。






仕方ない、明日も仕事があるのだから。






そう自分に言い聞かせ、旦那のいびきをBGMに娘をあやしていた。



現に旦那は激務といえど、産前よりは早く帰ろうと努力してくれているし、休みの日は晩御飯を作ってくれたり、家事や育児も手伝ってくれ、本当によくしてくれている。


夜泣きは働いていない私の仕事だ。そう言い聞かせていた。




まとまって眠れない日々、夜の孤独感、娘が寝付いたあとも「どうせまた30分後に起こされるんだろう」などと考えてしまい、最後には不眠症になってしまった。

最後には何もしていなくても涙がとまらなくなったり、逆に些細なことでイライラするようになったり、心のバランスは不安定になっていたように思う。




極めつけには胃腸炎にかかり、夜中に病院に駆け込んで点滴を打つ羽目になった。

その日は旦那が気を利かせて娘をつれて義実家に帰ってくれた。


1日、娘から離れてのんびりと過ごすことができた。

夜泣きのことを考えなくてもいい。睡眠を邪魔されない。自分のペースで動くことができる。まとまって寝ることができる。


嘔吐や熱はまだまだ続いていたが、とても幸せだった。






次の日、旦那と娘が帰ってくる頃にはすっかり元気になっていた。


回復してよかった、と安心する旦那の顔を見て、思わず涙が溢れてきた。





「夜泣きの対応、私がやらなきゃって思い込んでたから今までずっと一人でしてたけど、これからは少し手伝ってほしい。

旦那さんも仕事があるから無理にとは言わないけど、3回に1回くらいは、頼めるかな」





「いままで俺は手伝っていいのか、どうしたらいいか分からなかったから、言ってくれて嬉しい。

もちろん、できる範囲で手伝うよ。ミルクならあげれるからね。」






よくよく話を聞くと、ずっと手伝っていいのか悩んでいたという。ミルクを飲ますのか、授乳をするのか、抱っこであやすのか、タイミングが分からずに声をかけられなかったのだという。








「しんどいときは素直に甘えてくれていいんだよ いまみたいに泣いていいんだよ」




そういう旦那の言葉でまた泣いた。









母親だから、しなくてはならない。


母親だから、夜も寝れなくても大丈夫。


母親だから、みんなやっていることだから。





母親だから、母親だから、母親だから、自分に自分で呪縛をかけて追い込んでいたのは自分自身だった。





それからは甘え上手になろうと努力している。




赤ちゃんみたいに、嫌なことがあったら素直に泣いてもいいんだと思うようになった。



いっぱいいっぱいになる前に周りに助けを求めるようになった。



そうすると次第にメンタルも落ち着いていった。






弱音を吐かないことが良い母親とばかり思っていたが、

素直に助けを求めれる母親の方が人間味があっていいじゃないか。そう思えるようになってきた。





娘のように嫌なことがあったらすぐ涙を流して泣き、嬉しいことがあったらニッコリ笑う、喜怒哀楽の感情をストレートに出せる母親になりたい。


娘と一緒に、母親もまた、成長していくのだと思う。










将来の夢は赤ちゃんになることだ。


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