いつもと変わらないラインの通知音。その音を聞くと自動で手に取るのを設定されているかのように、右手で携帯を裏返して画面を見る。「元気？」という他愛もない、どこか薄っぺらい連絡をしてきた正体はとても懐かしい人でした。

「いや、そういうのって男が女にするもんじゃないの？女の子の方からすることあるん？」とか思ったり。瞬間的に色んな考えを巡らしてしまう。なんで？え、久しぶりだな。なにしてんだろ。元気なんかな。いや、やっぱなんで連絡してきた？いやいや、そんなことはどうでもいい。なんて返そう。　みたいな。

最近は、自分の人間関係がわりかしうまくいってて生活自体も綺麗に流れていた。そんな時に限って起こるこの現象。なにか自分の中でスムーズにいっていたリズムがプツンと切れてしまったような感じ。別に悪いことでも嫌な相手でもない。でもなんなのだろうかこの感じ。長年連絡を取っていなかった知り合いから連絡が来るのとは訳が違う。変に意識もしてしまうし、悔しいけど昔のこと思い出したりしてしまう。

それで済めばいいんだけどさ。冷静に考えて、相手はどんな心境で連絡しようと思ったのだろうか。復縁とかが出てくるようなタイミングでもないしいま住んでる県ですら違う。なんならそういう連絡をするような性格でもない。

あーもう、考えすぎる。なんならムカついてきたかも。なんでこの出来事を一言で表す方法がないのだろう。同じようなことが起きたことのある人なんてこの世に五万といるだろうし、名前があれば簡単に気持ちを共有できるのに。

いや、でももしかしたら、そうすべきじゃないから名前がないのかな。その出来事を自分自身で解釈し、楽しみ、迷い、時には思い出に浸り、考えすぎるなということなのかな。

無理にでも自分を納得させた。そうさせたからには何か無駄じゃない事言ってきておくれよ元恋人さん。こっちは動じない準備は万端だ。いっそのことあえて時間置いて返信してみようかな。なんてつまらないことを考え携帯を置く。

無意識に落ち着きたかったのかな。一旦コーヒーをすする。

一味違うコーヒーブレイクなこと。