Swans の『The Seer』を聴いてみた編

こんばんは、内山結愛です。

今回は Swans の『The Seer』を聴いてみた編をお届けします。

精神を削る低音ボーカルと、ヘヴィで催眠的なサウンドに乗る猟奇的な歌詞。

迫り来る轟音が魂をたぎらせ、重厚な暗闇へ引き摺り込む。

是非読んでみて、聞いてみて下さい!

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DISC 1: 
1.Lunacy
小刻みに鳴らされているのはオルガン?ギター…?不気味な旋律を奏でるピアノ。何かが“来る”と思った瞬間にはもう遅い。うめき声。0:37〜生命の誕生。獣の吠えている声に聞こえてくる。2:09〜訪れる静寂。教会で誓っているような荘厳雰囲気。3:15〜取り憑かれたかのように繰り返えされる"Lunacy"。悪夢を聞いている。逃げたい…迫力が凄い。一度入ったら抜け出せない森。

2. Mother Of The World 

生々しい吐息と、振り下ろされる感情のない冷徹なギター。執拗な繰り返しが怖い。段々と何も考えられなくなってくる。2分を過ぎたあたりでオルガンが聞こえてくるけど、ひたすら繰り返されている。どういう気持ちなの…。4:34〜ダメ!怖い!ドラムの激しさは格好良い!7:13〜声めちゃくちゃ低くてよく響く。ピアノの怪しさ。曲調の変化が思いの外激しい9分間。醜い「世界の母」に対し、恐れ敬う様子が歌われている。

3.The Wolf

やはり声がどこまでも低い。優しく語りかけている感じがするけど、ついて行ったら危険な目に遭う気がする。…多分バラバラにされる。0:40〜突然の騒音。終始何が起こっているのかよくわからなくて怖い。

4.The Seer

始まった瞬間に「バーーーーー」って沢山の音がぶつかってくる。様々な楽器が蠢いている。金色。インドっぽい音。本作で最大規模の楽器隊を投入して演奏されているらしい。エッ…待って、この曲30分もあるの…?4:03〜静寂と強いビート。怖いのに体は揺らしてしまうの何。7:55〜「ラッセラーラッセラー」に聞こえるから和んだし、ちょっとホッとした。10分超えてからの爆発寸前な演奏、迫力満点。11:40〜溢れた。爆発。轟音。大火事。破壊してるのに誕生してる。13:44〜緩やかな鎮火。叩きつけられるドラム。一撃一撃が強い。ドラマチックすぎる展開。22:25〜ここまで来ると大自然を感じ始める。美。23:56〜寂れたハーモニカ。27:55〜サバンナへ。怪しげだけど動物のドキュメンタリー。不気味なファルセットが恐ろしい。32:14〜あれ…終わった…。


5. The Seer Returns 

ジリジリ。どことなくセクシーな雰囲気。0:48〜めっちゃ格好いい…。ダークヒーローみがある。声なのか楽器なのかわからないことが多い。このボーカルずっと聞いていると催眠にかかりそう。3:57〜決め台詞みたいで格好いい。呪文のようなコーラス。

6. 93 Ave. B Blues 

開いちゃいけないドアが開いてる音はホーンらしい。0:40〜一瞬ネコの鳴き声に聞こえる時ある。予期せぬタイミングで破裂するドラム。「あぁ…あぅ…ああ…」みたいな声が聞こえる。幻聴だったらどうしよう…。黒板引っ掻いてるみたいなキーキー高音が怖い。竜が居る。4:11〜ドラムの情緒がぶち壊れる。破壊破壊。この世の全てをぶっ壊す勢い。

7. The Daughter Brings the Water 

寂しげなギターの音色。声の渋さ低さがより際立つ。アコースティックな雰囲気。穏やかで怖美しい。切なく静かに終わっていく。



DISC 2:
1. Song For a Warrior 

穏やか。どういうこと…?何が起こってるのかよくわからない。女性ボーカルなのも驚く。自然体で艶めかしい歌声。柔らかなピアノとギターの音色。安心してしまう…安心しちゃっていいのか…?2:30〜声を二重にしだしたの不思議。美しい。3:14〜壮大。低音の効いた男性ボーカルと重なることでより美しさが際立つ。Yeah Yeah YeahsのボーカリストKaren Oをゲストに迎えた曲。

2. Avatar 

キリキリと緊張感高めていく。リズミカルな学校のチャイムの音みたいなイントロ。曲の振り幅にぶんぶん振り回されている。徐々に漆黒に飲み込まれていく感じ。3:15〜力強い攻撃を開始。怪しげなメロディ。ちゃんと怪しくて逆に安心する。歌声の低音やっぱり凄い。7:46〜スーパー爆走タイムに入る。ピアノが忙しそう。

3.A Piece of the Sky

キャンプファイヤー…?薪の上で炎がパチパチいっているような音。1:27〜徐々にノイズへと変化している。めちゃくちゃブリブリなノイズ。1:52〜無の境地。美しいボーカル。そもそも声なのかよくわからない。3:48〜祓いの儀式。悟りを開きそう。音が一つになろうと蠢いては混ざって、複雑になっていく。6:59〜降り注ぐ金色の雨。9:40〜金色の雨止む。14:50〜雰囲気が一変。可愛らしくなる。穏やかで爽やかな曲調に乗る低い声が面白い。怪しげな笑みを浮かべていそう。

4. The Apostate
サイレンのような音が引き伸ばされ響いている。1:40〜来るぞ…来るぞ…。鈴みたいな音が不安を掻き立てる。うねりあげ、脈を打つドローン。ノイジー。4:25〜変化。重さが増す。5:59〜心臓潰されそうになった。爆音で聴いていると寿命縮む。暴力的。8:31〜叩き潰すかのような演奏。まだ暴力的になれる余地があるというの…?11:10〜気づけば爆発が始まっていた。粉々になってしまう。12:54〜不穏さの最骨頂。目を閉じて聴くと危ない。13:26〜めちゃオシャレ。不思議なテンションのボーカルが入ってくる。民族感。次第にハイテンションになっていく。飛び交う雄叫び。動物の威嚇か求婚みたいな鳴き声。18:20〜完全にテンションがおかしくなっている。野生に帰る。22:00〜「狂」の打撃音。濃密すぎる23分間。

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アルバムのアートワークは、サイモン・ヘンウッドによるもの。テンペラのオオカミの絵に基づいており、オオカミにはボーカルMichael Giraの歯が描かれている。(怖い)

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Michael Giraによって1982年に結成されたアメリカのエクスペリメンタルロックバンド。サウンドの残忍さと人間不信の歌詞を特徴としている。
本作は、元swansの女性シンガーJarboe、Low の Alan Sparhawkと Mimi Parker、 Karen O、 Akron/Family、Big Bloodら豪華アーティストが参加している。

CD2枚組かつ、11曲で1時間59分と、ボリュームたっぷりの一枚でした!

ボーカルのMichael Giraは、このアルバムを作るのには30年かかると言っていたらしいです。
「これまでのSwansすべてのアルバムと私がこれまでに作った他の音楽の集大成」であるとも…!

流石すぎる…完全にお腹いっぱいになりました。

Swansはサウンドだけでなくライブパフォーマンスも過激みたいで、あまりの爆音演奏に警察がショーを停めたり、ボーカルのMichael Giraらステージ上で休んでいる人の指を踏んだり、人の髪を引っ張ったり、群衆のヘッドバンギングに巻き込まれた人を物理的に攻撃したり…(攻撃…?)

とにかく、よく観客と対立していたらしいです。面白すぎる…

一曲30分は長すぎる…なんて最初は思っていましたが、案外聴けてしまうのも驚き!

終始かなり本気で怖くてゾクゾクしたのも楽しかったです。


次回は Devo の『Q:Are We Not Men? A:We Are Devo!』を聴いてみた編をお届けする予定です。お楽しみに…!

最後まで読んで下さり有難う御座いました。

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