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ある朝の話

 現在3331ArtsChiyodaのアキバタマビ21で開催中の「コーヒー片手におにぎり」のエピソードを少し。

 展示作業中、1人朝から会場に入った私は、岡村さんの音楽を流しながら展示風景を想像していました。

 ささきさんの絵や陶器、喰田さんの写真、常間地さんの映像、岡村さんの音楽、それぞれがどう影響し合うか。おおよその配置は決まっていましたが、まだビスを壁には打っていないし、まだまだ配置を変えられる余裕がありました。

 当初、喰田さんの写真を各作者の作品と混ぜたりということもイメージしていましたが、混ぜすぎてしまって見る人が混乱したり、作品が干渉しあってイメージを固定してしまうことの危惧はあり、躊躇していました。

 ただ、この五人で展示をする上で、関係性をどう考えるべきか。作者ごとに領域をハッキリと分けてしまっては意味がない。搬入2日目に初めて全員の作品の全貌がわかり、そこで初めて作品の関係性を考えるわけです。搬入3日目のこの日、展示初日まで後1日でしたができることはしたい。そんなことを展示室でズルズルと考えていました。

 

岡村さんの音が静かに流れる展示室。

 それを1人、早朝に聞きながら、セブンイレブンで買ってきたコーヒーを飲む。床に寝かせられた自分の作品を横目に、自然と音楽が耳に流れていく。

 ふと、岡村さんの音楽はとても抽象的にそれぞれの作品を横断する感じがしました。どの作品を前にこの音を感じるかによって、作品自体のレイヤーをもう1枚増やすかのようなイメージです。

 それぞれの作品を作家別に見てももちろん良いですが、そこから少し距離を離して各作家のイメージを合わせて鑑賞するのも面白い。

例えば私の作品と、岡村さんの音を重ねて見る。

常間地さんの映像と音声をささきさんの作品と重ねてみる。

喰田さんの写真と岡村さんの音を重ねて見る。


 となれば、作品はあまり混ぜたりせずに、ある程度区分けをして、その隙間を風のように岡村さんの音楽が流れていくのが良いのではないかと考えました。

それが展示作業中に考えていたことです。

 それぞれの作品が別のイメージと重なる時に広がるものがある。そこのきっかけになるのが岡村さんの音楽です。これができるのも、メディアは違えど、根底ではテーマを緩やかに同じくするこの5人だからこそ、なのではないかと思います。

 展示期間も折り返しを過ぎましたが、これから展示にお越しの際は、是非、各作品を作者別に鑑賞するのはもちろんですが、それだけではなく、岡村さんの音楽を感じながら、各作者のイメージを重ね合わせながら、様々に思いを馳せていただければと思います。


「コーヒー片手におにぎり」
会場 : アキバタマビ21
会期 : 2022年12月3日(土)〜2023年1月9日(月・祝)
12:00〜19:00(金・土は20:00まで)火曜休場
年末年始の休場はHPをご確認ください。
参加作家 : 岡村さくら ささきえり 喰田佳南子 常間地裕 根本篤志

http://www.akibatamabi21.com

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