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お粥と不思議な説得力

 今年の七草粥はお米からお粥を炊くことになった。炊飯器が壊れてからというものうちでは土鍋を使っている。母が、見つけてきたレシピはお水をお米の5倍の量にし、沸騰してから50分弱火にした後10分蒸らすというもの。念入りに調べていたわけではなく、いつもの通り「そろそろご飯の準備でもしよか」というタイミングで1時間以上かかることを知った我々は少し戸惑った。それでも「七草粥は今日なのだ」からと和物を食べたり卵焼きを作ったりしながら待った。ついに出来上がって口に入れた後、感想は全員が一致した。「これは、おいしい」。それは小さな感動だった。今まで食べたお粥の中で抜群に美味しい。食べながら、「でもこれ、お店で出すには時間がかかりすぎるよねぇ」「だから台湾とかでは大鍋で作ってあるんかなぁ」「一つ一つ炊くには入ってきてすぐにオーダーしてもらわんとあかんよなぁ」とか言っていたのだけれど、お酒好きな父が一言。「お酒出しとったらええねん。酒呑みは呑んどったらすぐや」。「おー」、なんだか光景が浮かんだ。

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