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下駄と歩き癖

「下駄が1番ええんや」
と言ったのは今年卒寿を迎えた祖母であった。何が一番いいのか結局のところ聞きそびれ、この場合、今から「どうして?」と聞いても、「そんなんゆうた?」となりそうで未だに聞いていない。きっとバスケットをするには下駄よりもエアジョーダンの方が、スケートボードをするならVANSの方がいいんじゃないかなぁ…。と思ったりするのだが、その時の話題は着物の裾捌きについてだったから、それに関しては祖母の「下駄が1番ええんや」が私の心へ妙に響いてしまって、理由を聞き忘れてしまったのである。そんなわけもあって、先日、船場へと新しい駒下駄を買いに行った。浴衣を着るときはもちろん、嬉しがって履いているのだが、今日は朝から洋服で出かけていて、昼から出直すとき、予定がうまく合いそうになく行けないと思ったが大阪は天神祭である。そんな気分も相まってジーパンに駒下駄で歩くことにした。駒下駄は左右対称のため、歩き方によって歯の減り方に差がある場合は左右の下駄を入れ替えることによってバランスを取れる。ようし、今日で左右のバランスを合わせよう!と勇んで歩くこと5分。ふと足元を見ると、和服の時には狭い裾の中、着崩れないよう、内股気味になっているはずだが、今日はジーンズ。カツカツと外股で歩いていた。

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