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川面に映る空

 百貨店のギャラリーで開催していたバルビゾン派絵画展。聞いたことあるなぁ。と思いつつも、いつもはおそらく何かと一緒に見ていたんだろう。今回は、バルビゾン派だけを落ち着いて見るのは初めてだ。バルビゾンはフランスの村の名前で、派はそこに滞在したり住んだりして制作した画家たちのことである。農作業などを描いた風俗画や自然を描いた風景画や多い。ミレーの有名な「落穂ひろい」もバルビゾン派絵画の代表作だ。多くの画面には山や野が広がり、川が流れている。川面。去年のアートクラスでは風景画が描きたくて、夕暮れ時、人々が散歩したり川辺に座っておしゃべりしているセーヌ川を描いた。仕上げ間際で川面に筆を入れていたとき、先生から「あつこさん、空は映っていますか?」と指摘があった。私は色付けに集中するあまり、川面だけを一心に見ていた。実際に撮影してきた写真を見ても、穏やかに波打つ川面にはっきりと「この雲がこれだ」という具合に空が映っているわけではない。けれど、確かにこの画面の中で、空と川は独立しているわけではなくて一緒に存在している。互いに影響し合いながら存在しているはずである。バルビゾン派の風景画を見ていると川面には空が映っていた。

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