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新領域でゼロから成果を出す”学習戦略”

こんにちは、須郷です。「あたらしい旅行を、デザインする。」をミッションに掲げる令和トラベルの事業開発責任者として、新規事業やアライアンスを頑張っています。

突然ですが自分、勉強が好きです。勉強といっても「●●学」みたいなものだけを対象としているのではなく、広い意味での学習体験全般に強い関心があります。「あらゆる物事を学習体験として捉えることが好き」と言い換えてもいいかもしれません。

興味関心の幅は、良くも悪くもかなり広いです。これといった一本柱が確立されているわけではありませんが、新しい領域の学習や、新しい物事に対する好奇心、試してみる柔軟性は割と高いんじゃないかなあと思います。

3日に1冊くらい、年間で100冊くらいの本を読んでいますが「何のジャンルの本を読むの」と聞かれても驚くほど一貫性がありません。気の赴くままに買い漁り、ただひたすらに読み続けます。

LINEヤフー会長の川邊健太郎さん(これ)やメリカリ会長の山田進太郎さん(これ)のようなすごい方がネット上でおすすめ本を紹介しているのを見ると、とりあえず無心で全て読みます。そこに「努力」という要素はほとんどなく、どちらかというと「喜び」「快楽」に近い世界です。Z世代がTikTokをスクロールするのと同じ感覚で読んでいるのだと思います(急なおじさん感)。

自分のことを平凡なビジネスパーソンだと自認していますが、そんな性格と習慣が功を奏したのか、ありがたいことに"スタートアップの事業開発"という、自分の性格に割とフィットする機会に恵まれてはいます。しかも、前職が大手HRコンサル会社⇨現在はコロナ禍の海外旅行スタートアップの事業開発という、謎のジョブチェンジw

ということで、恐縮ながら「新領域でゼロから学習し成果を出すための”基本のキ”」くらいは身につけたんじゃなかろうかと思い、こんな記事を書いてます。昨今の時代は、過去の自分の経験やスキルに固執せず、新たな領域への挑戦が常に求められている時代だと言われています。それが本当かどうかはさておき、新しいことへ挑戦する人の一助になればと思っています。

こんな人におすすめ💡
・未経験の物事へ新たに挑戦するか悩んでいる人
・心機一転、新たな職場や環境へ飛び込んでみた人
・これまでとは毛色の異なるプロジェクトを任された人
・今のコミュニティとは異なる人とのつながりを作りたい人
などなど


学習に対する基本姿勢

新領域の如何に関わらず、学習にはいくつかの基本とすべき姿勢があると考えています。中でも自分が最も意識している3つをピックアップ紹介。

《基本姿勢1》 対象物を吟味する

冒頭で読書量をひけらかすような表現をしましたが、実際は読むべき本はかなりこだわって精査しています。なぜかというと、質の低いインプットのために費やす読書時間は本当にもったいないからです。

1冊の読書に費やした数時間は、イコール、他の本の読書に費やせるはずだった数時間です。何かを読むという決断は常に、何かを読まない(あるいは読むのを後回しにする)という決断と隣り合わせです。私は常に「今日読むべき本は、他にもっとあるのではないか」と考えながら、目の前の1冊と向き合っています。これは読書に限らず、学習すべてに言えることであり、「この学習時間をもっと質の高い学習に当てられたのではないか」という疑い(というよりもはや恐怖心?)は常に持っておき、より良い学習対象を吟味する眼を養う必要があります。

信頼する人のレコメンドなら一旦なんでも学んでみる

《基本姿勢2》 すべての体験を学習に変える

「基本姿勢1」と真逆のことを言っているようですが、すべての体験は学習機会となりますので、無駄な体験は無いです。学習なき体験というものは、私の経験上ではほとんど存在しませんでした。ただしそれは私自身に「目の前の体験から得られる学習を最大化したい」という意欲があり、その意欲に基づき注意を凝らしてきた結果です。漫然とセミナーに参加したり、せっかく読んだ本も内容を忘れてしまっては、それは確かに「学習なき体験」に変わります。

サッカー選手、中村俊輔さんの「察知力」という本があります。とても好きな本です。その中にこのような一節があります。

細かいことを感じるか、感じないか、考えるか、考えないかで、人の成長は違ってくる。 何も考えずにサッカーをやっていても上手くはならない。そして、海外のサッカーをたくさん見たとしてもうまくはならない。 同じ映像を見ながら、なにを察知し、感じ、自分のものにするかというのが大事だと思う。

学習姿勢のロールモデル

まさに学習姿勢のお手本のような一節です。同じ体験をしていても、そこから何を感じとろうとしているかによって、学習効果は大きく変わります。

《基本姿勢3》 ”効率”ではなく”深み”で捉える

短期的な目的による学習は、その寿命も短期的であるケースが多いです。目先の業務に活かすことばかり、現状の収入に反映させることばかりを目的とした学習は、それ自体を否定するつもりはありませんが、少なくとも自分の経験上は長持ちしたことがありません。

私の学習後の感想は「自分の人生全体に豊かな視点を与えてくれそうだな」「世界の捉え方を今より面白くしてくれたな」「いつ役立つかはわからないけど、先々まで自分の中に持っておきたい大切な考え方だな」といったまとまりであることが多いです。

必ずしも「効率的な学習」と呼べるかわかりませんが、少なくとも「深みのある学習」だと思っています。深みのある学習とはつまり、自分の中に深く知識が沈澱し、意識せずとも自分の思考や行動に反映され、ときに沈殿物同士が混ざり合って予想外の結果を生むようなイノベーティブな学習です。これからも、学習は「効率」ではなく「深み」で捉えたいと思います。

GPTが作成した「知識の沈殿物の融合」のイメージ

もっと書きたいだらけなのですが、特に大事なことに絞ってまとめたいので、パッと浮かんだ最重要の3点を書きました。

ゼロから成果を出す5つの学習戦略

本題です。この記事は、私の以下ような体験に基づいて執筆しています。

・”大手×HRコンサル”から”スタートアップ×旅行の事業開発”への転身
・コロナ禍で完全ストップの旅行業界に身を置いてから約3年、新規事業やサービスを日々考え実践する日々、その結果としての通期数億円単位の流通創出(その影に消えていったボツ企画の数々…)
・多方面にわたる仕掛け、その結果としての30を超えるPRリリース企画

今もなお「この転職は成功だったぜイェイ」みたいなテンションにはまったくなっていないのですが、未熟ながらも約3年で、自分が納得できるような結果の1合目には辿り着けたような気も、そうでない気もしています。そう思えるだけの結果を出せた要因、つまり学習戦略を棚卸ししていきます。

《戦略1》 常に「相手視点」で考える

この要因は「学習の優先順位を間違えない」とも言い換えられます。どういうことか。新たな領域に挑む時に陥りがちなのが、漏れなく全てを学習しようとする姿勢です。真面目ですばらしいのですが、あれもこれも学習して備えようとしてしまうと、とてもスタートアップで求められる成果速度には追いつきません。異業種からの挑戦だろうと、私たちは”スピード”を武器に変えて勝ち上がっていくしかないのです。

そこで重要になるのが「より優先順位の高いインプットは何か」という問いです。中でも特に新領域でビジネスを行う場合、その領域に登場するステークホルダー(顧客やカスタマー、協働する仲間など)と相対できるような学習を最速で行う必要があります。裏を返せば、その相手から見て、取るに足らないような情報の学習に時間を費やしてはなりません。相手視点がとにかく重要です。

言うは易く行うは難しですが、「相手が欲しい情報は何か」とアンテナを立てるだけでも学習成果は飛躍的に向上します。中でも特に、この3点を意識すれば、基本的に領域の異なるどんな相手であっても、素早くコミュニケーションが開通する感覚を持ちました。

1)相手が求めている状況や成果はどのようなものか?
2)その状況を作るために相手がいま困っていることは何か?
3)その状況を解決するために相手が今すでに持っている選択肢は?

この3点を素早く掴めば、相手にとって価値のある情報が何なのか素早く理解し、学習できるようになっていきます。これは必ずしも顧客だけではなく、新たなコミュニティ、新たな領域で協働することになった仲間に対するコミュニケーションでも、同じことが言えます。

《戦略2》 潜在的な類似点を見出す

このジョブチェンジをして驚いたことは、表面的に新たな領域への挑戦であったとしても、その深層には数多くの共通点が存在するということでした。この潜在的な類似点を見つけることができれば、新たな領域での成果創出は格段に早くなります。

たとえば私は前職時代、特に「採用」という領域で数多くの経験を積んできましたが、今の仕事を通じて以下のようなことを感じています。

・”採用”と”営業”はいずれも「目の前の相手の課題解決手段を提示するソリューション活動」である
・”採用”と”商品開発”はいずれも「自分たちの魅力や優位性に共感を集めるための編集活動」である
・”採用”と”事業提携”はいずれも「両者の欲しているものを提示し、すり合わせ続ける関係構築活動」である

一つ一つを詳細に説明するつもりはありませんが、こうした共通点を把握し、言語化できれば、目の前の新しい(ように思えている)領域での成果創出は格段に速くなります。

《戦略3》 検証機会にさらされる

根性論的ですが、本当に意味のある学習は、生きるか死ぬかの緊張感無くしては得られないというのが私の持論です。学習自体はとても楽しいですが、そこには「絶対に負けられない戦いがあること」とセットでないと、楽しいだけの娯楽活動で終わってしまいます。これは感覚的ですが、本当に、そう思います。

アオアシで最も好きなシーンの1つ

もちろん「生きるか死ぬか」というのは比喩ですが、実際に学習成果を高めようと思ったら、その成果物を人目に晒す必要があります。それもできるだけ、自分が緊張する相手(価値を届けたい顧客、成果を認めて欲しい上司、より広い社会全体など)だと、学習の緊張感はグッと高まり、自分の学習成果を高めてくれます。

このような「晒し」によるメリットを言語化するとこんな感じです。
1、緊張感ゆえに生まれる学習への熱量
2、恐怖心ゆえに生まれる学習成果の自己研磨
3、フィードバックされることで得られる更なる学習

ちなみに自分が定期的にnoteを書くのもこの理由からです。定期的に読み返し、数ヶ月前の自分の未熟さに恥ずかしくなっています(マジで)。

《戦略4》 ”同質性”と”差別性”を兼ね備える

新しい領域に身を置けば、当然ながら、その領域の住人に出会います。その住人達は、その領域ならではの習慣、常識、文化、考え方、マナー、ルールを持っています。それらの知識をなくして領域に飛び込めば、途端に締め出されてしまう恐れがあるため、学習する必要があります。

一方で、それらを学習しただけでは、あなたは単なる「追加住人+1」でしかなく、「未知なる領域で成果を出せるイノベーター」にはなりえません。そこで重要になるのが、その領域において、自分を差別化させる何かを持つことです。

これは「新しい自分流のスキルを身につけろ」という話ではなく、むしろこれまでの自分に対する理解、つまり「自己への学習を深めよ」という話です。先ほど、採用と現職の潜在的類似性について触れましたが、これまでの自分の活動や経験について学習を深めるほどに、新たな領域での自分の尖らせ方のようなものが見えてきます。

この自己学習を掘り下げる鍵は「抽象化しないこと」だと思っています。たとえば、これまであなたに営業プレイヤーとして数々の顧客と話し、数々の相談に乗ってきた宝物のような経験があるとします。その経験を「私は営業が得意です」と表現したら何が起きるのか。あなたにしかなかった魅力的な経験が、途端に「世の中で多くの人がしている、よくある経験」に変わってしまいます。

そのため、この自己学習のフェーズでは、経験してきたことをできるだけ抽象化せず、むしろどれだけ具体的に細かく書き出せるかのほうが重要です。それでいて、今の領域に活かせる要素を見つけ出していく方がよほど、希少なイノベーターとして活躍できる可能性は高い気がします。

HR畑出身の、旅行事業開発者。謎です。でも希少かもしれません。

《戦略5》 驚くほど振り返る

学習は振り返りが全てです。同じ体験をしても、振り返りをしなければすぐ忘れるか、そこで得られた学習は表面的なもので終わってしまいます。1つ1つの体験に対し「こんな意味もあったのではないか」「こんな捉え方もできたのではないか」「こんな方法をとればもっと良かったのではないか」と、病的なくらい振り返って初めて、真に意味ある学習になると思っています。100冊の読書を浅くするより、10冊の読書を徹底的に振り返った方が、絶対良いです。

AI時代に求められる学習戦略

Chat GPTなど、とんでもないAIがすさまじい速度で社会を書き換えようとしています。ふとした拍子に「これだけ精度の高いAIが出現する中で、私の学習にはたして意味はあるのか?」と考える瞬間が訪れます。どうすれば、自分は、AIが生み出せないようなイノベーティブな思考ができるのか。

繰り返しになりますが、そこには学習を単に「効率」で捉えるのではなく、むしろ「深み」で捉える姿勢が必要だと思っています。またその前提として、どんな物事から得られる学習も、いつの日か必ず自分に活きる日が来ると信じ、心を開いておく姿勢が重要になると思っています。

再掲:”効率”ではなく”深み”で捉える
私の学習後の感想は「自分の人生全体に豊かな視点を与えてくれそうだな」「世界の捉え方を今より面白くしてくれたな」「いつ役立つかはわからないけど、先々まで自分の中に持っておきたい大切な考え方だな」といったまとまりであることが多いです。
必ずしも「効率的な学習」と呼べるかわかりませんが、少なくとも「深みのある学習」だと思っています。深みのある学習とはつまり、自分の中に深く知識が沈澱し、意識せずとも自分の思考や行動に反映され、ときに沈殿物同士が混ざり合って予想外の結果を生むようなイノベーティブな学習です。これからも、学習は「効率」ではなく「深み」で捉えたいと思います。

おわり
Azusa Sugoh(
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