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一般社団法人エビデンス共創機構設立趣意書

2023年2月2日、一般社団法人エビデンス共創機構が設立されました。
この記事では設立の背景や当機構の目的を紹介します。


近年、「エビデンス」「エビデンスに基づく政策形成(Evidence-based Policy Making、EBPM)」といった言葉やその理念が浸透し、広く使われるようになりました。勘や経験、身近な少数のエピソードに頼るのではなく、科学的な作法に則り創られたエビデンスに基づき、公的な事業を立案・実施すべきという考え方です。

そのようなEBPMに関する制度設計や効果検証など具体的な取組は中央省庁や地方自治体などで広く行われ、民間企業やNPO法人などでも事例を確認することができます。

私たちは、今現在のEBPMをめぐる流れを加速させ、EBPMの定着をより強固なものにしながら、取組の質を上げていくことに寄与したいと考えます。

それは、EBPMの一層の普及と定着のためには、さらに多くの実践と、その実践の中で得られる学び、そしてその後の取組の見直しが必要不可欠と考えるからです。学術的な専門性や知見を最大限活用し、EBPMの中でも主に政策・事業等の効果検証、エビデンス創りへの支援に特化し、「EBPMの実働部隊」の一翼を担いたいと考えています。

当機構の目的は、「より良い政策・事業」を実施するために、信頼性の高いエビデンスの創出や活用を支援することにあります。

ここでの「より良い政策・事業(以下、政策等)」とは、政策等実施者や一部の利害関係者にとって都合の良い事業ではなく、政策等の受益者である一般市民や子どもたちの幸福や厚生、福祉、ウェルビーイングに資する事業のことを指します。したがって、当機構の活動の最終目的は国民全体の幸福、すなわち公益に貢献することにあり、政策ありきの効果検証、政策に基づくエビデンス形成(Policy-based Evidence Making)には加担しません。

一般社団法人という非営利法人を設立するに至った理由はここにあります。営利目的でないからこそ、政策等実施者の利益を超え、公益のためのサービスを提供できると考えます。

私たちはこれまで培った専門性を活かし、エビデンスの創出や活用を支援してまいります。しかし、質の高いサービスを提供するには私たちだけでは限界があります。

政策等実施の背景に詳しい実務者や、政策等の分野の研究成果に精通している研究者の協力が不可欠です。また、時には労働集約的な地道な作業が必要であり、多くの人的リソースが必要になることもあるでしょう。

当機構の名称に「共創」という語句を用いたのは、質の高いエビデンスの創出や活用のためには、さまざまなバックグラウンドの人々が結集し、それぞれのリソースを提供し合い共に活動することが何よりも重要と考えたからです。

これから多くの方々と共にEBPMのさらなる進展と一般市民や子どもたちの幸福のために活動してまいります。ご協力ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

2023年2月2日
一般社団法人エビデンス共創機構
代表理事 伊芸 研吾(慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科特任講師)
理事 高橋 遼(早稲田大学政治経済学術院准教授)
理事 中室 牧子(慶応義塾大学総合政策学部教授)