見出し画像

事業紹介①:効果検証実施の支援

皆さん、こんにちは。一般社団法人エビデンス共創機構代表理事の伊芸です。先日、当機構設立のご案内をさせて以来、たくさんの反響をいただき、ありがとうございます。

2023年3月6日には、Twitter spaceにて理事3名による設立趣意説明会を開催しました。たくさんの方にお聞きいただいており、感謝申し上げます。

これまでご案内のように、当機構では以下の5つの事業を実施します。

これから何回かに分けて、一つ一つの活動の詳細を紹介していきたいと思います。今回は、事業①:政策・事業の効果検証実施に関する支援についてです。

公益に資する効果検証

一つ目の事業である政策・事業の効果検証の実施の支援は、当機構の柱となる事業です。

支援対象は、公益につながる政策・事業を行っている団体です。具体的には、中央省庁や地方自治体、民間企業、NPO法人などを想定しています。社会や一般の方々を対象に事業を実施しており、その事業が一般の人々にとって良いこと、幸福につながることであることが支援の条件になります。

団体の事業内容や分野について、当機構からの要望は一切なく、何でも受け入れるつもりですが、内容や状況によっては効果検証にそぐわないこともあり、支援できない場合もあります。

具体的な業務内容は、効果検証のための評価デザインの設計や調査設計、質問紙の作成、データ分析、報告書の作成などで、効果検証の最初から最後までを請け負います。

想定外の結果が出たときこそチャンス

業務方針として、依頼主の意向に配慮しつつも、最終的には政策・事業の受益者である一般の人々の利益を第一に考えます。

効果検証を行う際、事業実施者としては「事業に効果があったことを示したい!」と考えるのが自然です。そのお気持ちを尊重し、本当に効果があった場合にその効果を見える化できるように評価デザインや調査設計をします。

ただし、当機構は良い結果を出すことを事前に約束したり、良い結果に見えるように結果を無理やり解釈することは決してしません。設立趣意書の記事にも書きましたように、それは政策に基づくエビデンス形成のための効果検証はしないという考えからであり、端的に言うとこのようなエビデンス形成は最終的な受益者のためにならないからです。

効果検証によって事業に効果があることが示されれば、エビデンスにもとづいてその事業をより広範囲に実施することで、より大きな公益につなげることができます。

一方で、効果がなかった、想定していたものよりも効果が小さかった場合でも、そのエビデンスにもとづいて事業を見直し、改善点を模索する、もしくは別のアプローチに切り替えるなどすることで、ひいては受益者にとってより良い事業実施につながるのではないかと考えます。

ある研究者から「想定外の分析結果が出たときこそが頭の使いどころ」という話を伺ったことがあります。思わしくない結果が出たとき、そのような結果が出た原因を特定するために、事業内容や効果発現にいたるプロセスをつぶさに探索し、実際に現場で何が起きていたのかをデータや関係者から確認するなど、その事業により深く向き合い、考察することになります。想定通りの結果が出たときには見逃していた問題点も見つかるかもしれません。そういう意味では、効果が示されなかった場合の方がむしろ公益につながることもあるかもしれません。

研究者が関わるメリット

当機構ができることは、効果があった場合にその効果をきちんと示せるように評価デザインや調査を設計し、適切に分析することです。言い換えると、効果が示されなかった場合、もし評価デザインや調査、分析に問題があれば、示された結果自体が間違っているかもしれません。そういったことが決してないように、分析の前に最善の準備を行います。

当機構の理事は全員実証分析を専門とし、経験豊富な研究者です。効果検証の仕方には非常に多くのバリエーションがあり、それぞれ長所・短所があります。当機構は効果検証に関する専門知識や経験をもとに、依頼主の意向や与えられた分析環境の中で、可能な限り質の高いエビデンスを提供することを目指します。

研究者が関わるメリットは、専門知識や経験があることだけではありません。論文を書くことは研究者の仕事の一つですが、書いた論文は学会発表や学術誌に投稿する過程で多くの人から評価を受けます。つまり、他者からどのような評価を受けそうかを考えながら論文を書くことが基本的な姿勢で、論文に関するすべてのことを十分に説明できるように準備します。説明できない、あるいは説明があいまいで、説得力がなければ、論文は評価されません。

当機構は、このような研究者の姿勢をそのまま業務に持ち込みます。事業に活用されるには、エビデンスにも説得力が必要です。説得力を上げるためには、適切な評価デザインや調査、分析方法を選ぶだけでは不十分で、分析の詳細や結果の留意点を含め、報告書の中で十分かつ分かりやすく説明する必要があります。形態の違いはあれ、読者に納得してもらうという点で論文と報告書は共通しており、研究者の仕事しぐさをそのまま持ち込むことができると考えます。

ただし、当機構の業務は研究ではなく、論文を書くことが目的ではありません。論文として発表できるレベルの効果検証を目指すことはエビデンスの質を上げることにつながり、依頼主や社会にもメリットがあると考えます。依頼主が認める場合は論文にすることもありえますが、必ず論文にするわけではなく、ケースバイケースで対応する予定です。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
次回は業務②:社会調査の企画設計及び運営管理等に関する支援を紹介する予定です。どうぞ楽しみにお待ちください。