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不安と期待

2018年7月10日

それはユベントスが掲げる「改革」の中で、スタジアム建設、クラブロゴの大幅な変更に次いで、大きな一歩を踏み出した日だった。

CR7の移籍の噂が立ち始めた頃、友達や学校の先生にものすごく聞かれた。
「ロナウド、ユーヴェ行くの?!」
僕は決まってこう答えた「ありえない。ユーヴェに来る意味がわからない。」
それもそうだろう。ユベンティーノが長年夢見てきたCL制覇という目標を、ことごとく打ち砕いてきたあのCR7なんだから。

16-17S、CL決勝で2ゴール。翌17-18Sでは準々決勝1st.legにてユーヴェのホームで美しいバイシクルを叩き込み、2st.legではあの物議を醸した92分、PA内でのベナティアのL.バスケスに対するファールによるPK判定。講義したブッフォンの退場、そしてキッカーのロナウドは右上に叩き込み、またしてもユーヴェから夢を奪う活躍。結果、レアル・マドリードは前人未到のCL三連覇という偉業を成し遂げた。

悲しかった。憎かった。そして何より悔しかった。またも彼にチームに、彼に負けたのだ。サッカーはチームスポーツなはずなのに、絶対的な力を持った選手が存在することを改めて思い知った。
それと当時にユーヴェに足りないのもそんな絶対的な存在な気がした。

我々ユベンティーノの心を砕き、世界に力を知らしめたあのバイシクルに対して、拍手しかすることができなかったであろう現地のユベンティーノの反応が、彼の移籍に決め手になったというくらいだから皮肉なものだ。

数カ月後

日に日に【ロナウド、ユーヴェへ移籍】の記事への信憑性や期待値が増していく。胸が高鳴ったのは事実だし、Jメディカルに来てもまだ信じられなかった。
あのクリスティアーノ・ロナウドがユベントスに
それと同時に、なにかモヤッとした複雑な気持ちとユベントスの改革に対する不安も芽生えた。
その不安が今になって大きくなり、現実味を帯びてきた。

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ロナウドが加入する数ヶ月前にはジジ・ブッフォンが17-18S限りでユベントスを退団することが発表され、加入数日前には、PSGへの移籍が発表された。
ロナウド加入から約一ヶ月後、マルキージオの退団も発表された。
ユベントスのバンディエラが、二人も同時に居なくなってしまったことに心を痛めたユベンティーノも少なくないだろう。

さて、本題です。
僕の中で芽生えていた不安は大きく分けて2つある。

1、失う物と得る物
2、ロナウドはユベントスの手に余る諸刃の剣

この2つだ。

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1、失う物と得る物

みんな思っただろう。
ロナウドを獲得するなんてユベントスっぽくないし、ロナウドもユベントスの選手っぽくない。
それもそのはず。改革なのだからそれでいいんだ。
ユベントスは確実に強くなるんだ。
そう、それも事実。
ただ僕は、ユベントスのメンタリティを持った人が少なくなるこのタイミングで、ロナウドが加入することで勝者のメンタリティしか残らなくなるのが怖かった。
繁栄と衰退の波は、誰であってもどんなクラブであっても逃れられない。
イタリアの黄金期を彩った強豪クラブが軒並み衰退し、セリエA自体も衰退していった事実があるからこそ、Fino alla Fineの精神を失ったユベントスが、もし、また衰退してしまったら、と思うと不安で仕方ない。

僕は、ユベントスのメンタリティであるFino alla Fineは、負けている時や引き分けている時にこそ、勝つために、そして、負けないために発揮され、勝っている時や相手を圧倒している時、試合をコントロールしている時は勝者のメンタリティが発揮されると思っている。
ユベントスがメンタリティを維持できているのは、イタリアがカテナチオと呼ばれる堅守の国だからだと考える。

ロナウドは勝者のメンタリティを持っている。そのメンタリティがあるからこそ、世界最高の選手にまで上り詰める事が出来た。

これは紛れもない事実であって、世界最高の選手になるためには必要な事だ。
しかし、ここからは想定でしかないが、ロナウドが居なくなった時、絶対的な力を失ったユベントスも、繁栄と衰退の波に飲まれる可能性もあるわけで、そうなった時、Fino alla Fineの精神が無ければ再び舞い戻るのには、これまで以上に困難を極めるだろう。

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こんな不安を抱えながら数シーズン見てきたが、やはり、Fino alla Fineの精神は薄れてきているように見えてしまう。
昨シーズンからは、バルザッリの引退、リヒトシュタイナーの退団、キャプテンであるキエッリーニの負傷長期離脱によって、現在まで続く9連覇のスタートとなった無敗優勝を経験していて、コンスタントに出場出来る選手がボヌッチだけになった。(ジジはテクの控えなので)
そんな状態で試合でキャプテンマークを巻くことが多くなったボヌッチだが、残念なことにFino alla Fineの精神を感じられない怠慢なプレーも見られた。
もちろん、キャプテンとして、また、ディフェンスリーダとしてチームを引っ張って来たことは間違いないが、ミランに移籍したのを境に、なにか前のボヌッチとは変わってしまった気がする。
今のチームにおいて、その精神を体現出来ているのはボヌッチではなく、デリフトやデミラル辺りだろう。

ユーヴェらしさを保ちつつ、この現状を打開できる選択肢は多くはないだろう。

僕が思う方法はこれだ。

1.ロナウドにFino alla Fineの精神を持たせる
2.ロナウド中心のチームからロナウドを駒の1つとして戦えるチームにシフトする
3.ロナウドを脇役にするくらいの選手を作り上げる


1は、ロナウドが最大限活躍出来るのがあと数年であろう事を考えると、不可能に近い。なぜなら、ロナウドはほぼ守備に参加しないからだ。(ボールに直接関わる守備の話)
自分達が守備側の時、要するにサッカーというスポーツのシステム上、不利な状態で持つべきメンタリティを、ロナウドに持たせるのも難しいだろう。
ネガティブトランジションの彼の動きを見てても、足が止まり、ファールをアピールするだけで、プレスバックに積極的に参加しているイメージは無い。そもそもそういう役回りではないのだ。

2も難しい。なぜならロナウドだから。移籍金、年俸、経験値、実績。どれをとっても、今のユーヴェに所属している選手で残念ながら張り合うのは難しい。

1番可能性があるのは3つ目。
ロナウドに変わる存在になりうる選手。そう、ディバラだ。ロナウドに変わっても彼に依存するのであれば変わらない気もするが、彼もまた、居るといないとでは大きく違う。

ロナウドに依存するのとディバラに依存するので決定的に違うのは、周りの選手を活かせる幅にあると思う。
もちろん、今後ディバラがますます活躍し、成長を続ければの話。
(ディバラについてはまた今度気が向けばnoteに書くなりYoutubeで話すなりすると思う)

要するに
ロナウドに頼りすぎてたら彼がユーヴェからいなくなったあと、何も残らねえかもしれねぇぞ
ってこと。

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2、ロナウドはユベントスの手に余る諸刃の剣

さあ、長々とスカスカな頭で考えたことを書いてきたが、結局のところ
「ロナウドと共に成長してきたチーム」のレアルと
「王様ロナウドを活かすためのチーム」のユーヴェ
では圧倒的にチーム作りの難易度が違う。

例えるなら

上司と共に上質なチョコを使ったケーキを作りコンテストで勝ってきたレアル

コンテストで優勝するために作ってきたケーキにいきなり上司が
「この上質なチョコ使ってね」
ってケーキに合うかも分からないチョコを持ってきたユーヴェ

なのだ。
なんとも分かりやすい。
卓越した能力を持つ完成された選手が、移籍した途端輝きを失うの事があるのは、これが原因だと思う。
とはいえ、ロナウドはユベントスに来てからも結果を残してる。
が、決めてきたゴールは流れからチームで奪った点だけではなく、個の力で奪った点も多い。
それこそが戦術ロナウドの弱点であり、ロナウドが諸刃の剣であると考える理由だ。
ロナウドが居なければ何も出来ないチームになってしまった場合、ロナウドが抜けたあとそこから立ち直るのが簡単ではないことも、ロナウド退団直後のレアルを見れば、想像に難しくはない。

ロナウドを獲得した事で、ユベントスにとって最大のミッションは
「ロナウドという諸刃の剣を使いこなす事」になり、これを乗り越えた先に夢のCL制覇が有るように思える。

これはユベントスがCL制覇に近づいて居ると言えるのだろうか。
僕はそうは思えない。


ただ、

その剣を使いこなす事が出来るようになったら、きっとそれはCL制覇に大きく近づく過去最大の1歩になることだろう。その日が来ることを信じて、僕は不安な気持ちと共にこれまで通りユベントスを応援していく。
今はまだ、歩幅を合わせているだけ。
ユベントス、はこれまで以上の繁栄を手に入れることが出来るはずだと信じてる。

なぜなら我々が応援するチームはJuventusなのだから。

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長くまとまりのない文章になってしまいました。最後までお読みいただきありがとうございます。それじゃあこの辺で失礼します。

Keep it real👋

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