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質問で引き出そうとせずに話を続けてもらう

こんにちは、"_dawn_"です。
私の投稿に興味を持って頂きありがとうございます。今回は「質問で引き出そうとせずに話を続けてもらう」というテーマでお話します。
私は営業という職業柄、初めましてのお客さんと毎日お会いします。営業では「ヒアリングが大切」「お客様のニーズを深掘りしよう」とよく言われますが、お客様に多くをお話頂くには、ただ質問するだけでは上手くいきません。私はここの壁を乗り越えるのに大変苦労しました。それでも、自分なりに試行錯誤して、今は初対面のお客様にも沢山お話頂けるようになってます。
今回は、「質問で引き出すのではなく、話を続けてもらう」という態度と具体的なアクションプランをお伝えできればと思います。商談の場に限らず、人の話をじっくり聞きたい、対話相手にもっと話しやすい場を提供したい、と思っている方へお役に立てたらと幸いです。それでは、早速いってみましょう!


質問にはプレッシャーがある

一生懸命に質問する尋問営業

私が新規営業で苦戦したことの一つに「初対面の相手に自己開示してもらう」があります。自社の商材を一方的にアピールせず、ヒアリングでニーズを引き出そう、とはよく言われます。ですが、むやみやたら質問しても、お客様に警戒されてしまいます。私も、質問項目を準備して商談に臨み、一つ一つ丁寧に質問していった結果、気まずい空気になってしまったことが何度もありました。尋問になってしまうんですね。
一方で、初回商談でもお客様と早期に打ち解けてざっくばらんに話してもらえる営業もいます。これは単に人柄によるものなのでしょうか?

自由に話せる安心感を演出する

営業がお客様から信頼され課題感を引き出す…これには明確な技術があります。詳細は営業をテーマに発信されている方に譲りますが、純粋に「聞く」という観点では、「相手が話したいように自由に話せる」と感じてもらうことが大切です。
というのも、質問するという行為には、「相手に関心を示す」というポジティブな側面がある反面、「聞き手が欲しい情報を取る」という聞き手都合の側面もあり、ともすると相手に圧力をかけてしまうのです。極端な言い方をすれば攻撃です。なぜそのような感覚になるかというと、聞かれた側には以下の心理が働くからです。

  • 自己開示をしなければならない(パーソナルスペースに入り込まれる)

  • 説明責任を求められる(上手く説明できなかったらバツが悪い)

  • 質問に答えることに少なからず思考力を使う(シンプルにめんどくさい)

つまり、質問は相手にプレッシャーをかけるのであり、相手に楽に話してもらうためには、「自由に話せる安心感」を醸成しないといけない訳です。

芸人さんにヒントを得た聞き方の秘訣

では、どうすればプレッシャーをかけずに、相手に気持ちよく話し続けてもらえるのでしょうか?私がヒントを得たのは、「にけつッ!!」というテレビ番組からでした。

この番組は、千原ジュニアとケンドーコバヤシがただただ雑談をする…というシンプルな内容なのですが、どこかテンポが良く聞いていて小気味良い、楽しい番組です。
この対話の小気味良さは、どこからくるのでしょうか?営業で話の聞き方に苦戦していた私は、二人の「話し方」ではなく「聞き方」に注目して番組を聞くようになりました。
その結果見えてきたのが、彼らは、話を聞いている間に相手が話し続けやすいよう「合の手」を入れているということでした。話し手が一方的に話しているような感覚にならないように、かといって話し手のターンを奪わないように、手短なフレーズを挟み込んでいたのです。他の芸人さんでも漫才で同じような振る舞いは多く見られます。また、日常でも、コミュニケーション能力の高い方は、意識的にか無意識的にかはわかりませんが、これをやっていました。共通して、相手が話しやすいテンポ作りに長けていたのです。

話を続けてもらうアクションプラン「合の手」

ということで、今回ご紹介するアクションプランは、「合の手」を入れるです。改めてですが、今回の内容は「聞き手が聞きたいことを聞く」のではなく、話し手に「このまま自分の思い付いたまま、自由に話してもいいんだ」と思ってもらう態度が重要となります。その観点で、アクションプランを見ていきましょう。

合の手①:短いリアクションでテンポよく聞く

話し手からすると、発話時間が長くなると「ちょっと喋り過ぎかな?」と感じてくるものです。特に、聞き手のリアクションが見えないと、より一層不安になります。そのため、「あなたの話を聞いているし、興味を持っているよ」というニュアンスを出し続ける必要があります。そのために、以下のようなフレーズを使ってみては如何でしょうか。

  • 一言で感嘆する:「えぇ~!」「おぉ~!」「なんと!」「本当ですか!

  • 一言で賛同する :「やー、確かにッ!」「あぁ~間違いないッ!」

  • 一言で感想を言う:「すごッ!」 「ヤバッ!」「ウケるw」「しんどッ…!」「辛すぎッ…!」

上記のフレーズは、「うんうん」「なるほど」といった相槌に混ぜることで、テンポをよくできます。「ッ!」という、語尾に撥音で弾みを付けたり、短く切って締めるニュアンスが大切です。この言い方が結構大事で、聞き手が話すターンになりそうな間を作らないよう、一瞬カットインするイメージです。
また、相手が話してくれたことに対して、注目ワードですねと言わんばかりに単語だけオウム返しするのも使いやすいです。センテンスをまるごと復唱するとクドい印象ので注意しましょう。これらを踏まえた簡単な例文を添えます。

話し手「こないださぁー、高校の同級生と沖縄旅行行ってきたんよ。」
聞き手「沖縄ッ、いいじゃんッ。」
話し手「そうそう。で、基本那覇市内をメインで観光したんだけど、そこで食べたラフテーがめっっちゃ美味くてさ!」
聞き手「ラフテーねッ!」
話し手「そう、いや何が良かったってもう超トロトロでさぁ〜、本場のラフテーやっぱ最強だなって思ったわ!」
聞き手「間違いないッw」

こんな感じです。文字にすると大袈裟ですが、語尾を締める感じで発話すると自然でテンポよくなります。私は、この振る舞い方を商談のアイスブレイクで試して、各段にお客様が発話してくれるようになり、大きく効果を実感しました。
ありがちなのは、「沖縄いいじゃん!何人くらいで行ったの?」「羨ましい〜!やっぱ海とか入ったりしたの!?」「那覇でラフテーといえば、めっちゃおすすめの店があって!〇〇ってとこなんだけど行った?」と聞き手の関心に沿って返すことです。結果的に楽しく会話できれば何ら問題はないのですが、「聞く」という観点ではもっと良くできます。この場面では、話し手は「同級生と沖縄に行って、特別有名ではないかもしれないが、現地で食べたラフテーがトロトロで美味しかった」という体験を話したかったのです。それ以外の話を返すのは決してダメなことではないのですが、話し手本人に「話したいことを脱線せずに話せた」という感覚を持ってもらう、というのがこのアクションプランの本質です。話し手が自由に思いついたまま話せるようにリアクションに徹するという聞き方をぜひ試してみてください。

合の手②:共感や労い/承認する/感情の言語化でじっくり聞く

次は傾聴するときに使う「合の手」をご紹介します。相手が弱音を吐露している場面や、相談をしてきた場面で使うと、話し手にテンションを合わせてじっくりと対話できます。ここで大事なのは、相手は「ちょっと話しずらい内容を話している」という前提に立ち、次の言葉を出すまでの余白を作るということです。相手が話してくれたことに対して、以下のようなフレーズを使ってみてください。

  • 共感や労い:「わかるなぁ~。」「確かになぁ~。」 「それは悩ましいですね…。」「えぇ~、それは大変だわ…。」「シンプルにしんどいよね。。。」

  • 承認する:「そっかー…そう思ったんだね。」「〇〇さん的には~という考えなんですね…。」

  • 感情の言語化:「それが嬉しかったんだねー…。」「そこに腹が立ったんだね…。」

共感や労いフレーズは一般的かと思いますが、承認や感情の言語化は意外と使ったことがない方も多いのではないでしょうか。
ここでも言い方で重要な点が2つあります。一つは、いずれも一言に留めることです。「わかるなぁ~、私もうんぬんかんぬん~」と共感するあまりに自分の話を持ち出したり、自分がどう共感したかを詳細に話そうとすると発話がこっちのターンに移ってしまいます。あくまで、一言だけ差しはさむイメージで上記のフレーズを使ってみてください。
もう一つは、「〜」「…。」の部分です。上記のフレーズを言い終わった後、間が空くことを恐れずに余白や余韻を残してください。その余白に「受け止めてくれた感」が生まれ、話し手に「次の言葉をゆっくり待ってくれている」「まだ自分が続けて話してもいいんだ」というニュアンスが伝わります。話し手が「そうなんだよ、でさ、、、」と次の言葉を発するのを待つつもりで堪えましょう。ちなみに、私が商談でお客様と対話する際は、課題について話す場面で、よくこのトーンに移行しました。先ほどの「短いリアクション」がテンポを大事にしていたのに対して、こちらではペースを意図的に落とす感じです。

合の手③:疑問文を使わずに質問する

さらに応用編です。相手に続けて話をしてもらうと言っても、次々と違う質問をするのもイマイチです。同じ話題の中でも、それを深掘りしていく(=詳細や具体を聞く)ことも必要です。話し手は、いきなり個別具体の話までせず、聞き手が一定わかった気がするレベルでざっくり概要だけ伝えることがあります。そこに対して、より詳細を続けて話してもらう訳ですが、ここで疑問文を使わない聞き方ができると、相手にプレッシャーをかけずに聞きやすくなります。例えば、以下は使いやすいフレーズなのではないでしょうか。

  • 質問形式ではない聞き方をする:「というと?」「もうちょっと詳しく聞かせて!」

  • キーワードを理解できなかった風に復唱する:「○○…ですか?」と、ピンとこなかった風にキーワードだけ復唱し、補足説明が必要だと暗示する

  • シンプルに続きを促す:「それでそれで?」「それから?」

上記のアクションプランはいずれも、「私が聞きたいことを聞く」のではなく「あなたが伝えたいことを未だ受け取りきれていないよ」というメッセージを与えるフレーズです。あくまで話し手が話したいことに対してさらに聞く、という態度を表す聞き方なのです。

気の利いた台詞も察する力も要らない、ただ話を続けてもらうだけで相手の役に立てる

如何でしょうか。今回は「質問で引き出そうとせずに話を続けてもらう」という聞き方をお伝えしました。
ここでは、気の利いたフレーズとか、相手が何を話したいのか察するといった類のことは書いていません。あくまで、相手の話を遮らず、相手の気の赴くままに話してもらうという内容でした。人によっては「何をこんな当たり前のことを」と思うかもしれません。ですが、内向的でコミュニケーションに苦手意識を持っている方は、案外と意識できていないのではないでしょうか。以前の私であれば、特に気負っている商談の場で顕著でした。
そういうときは、背伸びして気の利いたことを言わなくていいし、無理に相手が話したいことを一生懸命察しようとしなくてもいいのです。
それでも、相手に「楽に話せるな」「話してよかったな」と思ってもらうために、もっとベーシックで明日からできるアクションプランが今回の内容でした。特別なコミュ力がなくっても、「あなたと話せてよかった」と感じてもらうことはできるはずです。私にもあなたにも、そんな機会が少しでも増えたら幸いです。

それでは、次回の記事でお会いしましょう!ではまた!

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