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中国大陸7都市ツアー記17(最終話)

【2023.7.31 羽田空港ー吉祥寺?】

(つづき)

羽田になんとか到着したとはいえ、まだ安心できるわけではない。


わたしの家の吉祥寺まで電車で帰るには、23時35分の電車に乗らなければいけない。

さあどうだろう。無理めな気がする(だってあと15分しかない)。

飛行機を降りる前から、

「わたしは先に行くね!お互いにグッドラック!」

と詩音ちゃんとゆう子さんに伝えて、

ドアが開くと同時に、めちゃくちゃ早歩きで手荷物受け取りのコーナーまでのなかなかの距離を(ときどき小走りになりながら)とにかく進みまくった。

そんな勢いですんごい"巻き"で到着したけれど荷物は全然出てこなくて、結局あとから来たふたりと合流(急いだ意味なかった)。

3人で、荷物が出てくるはずの空っぽのレーンをひたすら見つめる。

そして、荷物はなかなか出てこない(すべての乗客の荷物が)。

それに、楽器はどこから出てくるのだろうか。

近くの係員の人に聞いてみたけれど、なんだかよく分からない答えが返ってくる。(ここはもう日本だし、相手は日本人でことばは通じるのに、まだ中国の続きのような世界)

23時35分発の電車に乗るのは、あきらめた。

それでも23時50分発に間に合えば、中野まではギリ行ける。それにはなんとか間に合いたい。

疲れ過ぎていて、もはやもう吉祥寺まで帰れなくてもどうだっていいような気もしてくるが、長い"すごろくゲーム"のゴールまであと少しだし、がんばりたくもある。

しばらく待って、やっとこキャリーカートは出てきたれど、楽器はまだまだ出てこない。

ゆう子さんも詩音ちゃんもわたしも、最寄りの駅までの終電はもうとっくに逃した。

みんなそれぞれ行けるところまで行って、最後はタクシーで、ということになった。

最後まで、ヒリヒリするよ…



結局、ギリギリ、中野までの最終電車に駆け込みで間に合った(詩音ちゃん、ゆう子さんも、まあまあのところまで行ける電車に乗れたようだ)。

そしてそこから1時間、ヘトヘトで中野駅に到着。

ここからはタクシーで吉祥寺に帰るだけだ。

あと少しだ…

疲れた身体を引きずるように中野駅のタクシー乗り場に出た。


…そこは、終電後の人たちが行列していた。

ひーーーーーなんと……..

まだ全然終わりじゃなかった、、、

これ全員、"ひとり1台"の感じで乗っていくんだよね…

途方に暮れる。

なかなかすんなりとは終わらせてくれないこの中国ツアー。

長い……長いよ……..

この時点で、深夜1時過ぎ。

疲れた。。

でも、伊賀さんは今現在、まだ香港空港に居る。伊賀さんの方がなんなら過酷だ、伊賀さんオツです、と、じぶんの疲れを立て直す。

そこから辛抱強く順番を待って、なんとか無事タクシーに乗車。


早稲田通りを静かに進む運転手さんに、

「わたし今朝、中国の広州にいたんですよ」

と、その不思議さと距離感は伝わらないと思いつつ、つぶやいてみる。

運転手さんはやはり、そんなにピンと来ていないようだったが、なんとなく話を合わせてくれた。なんならそのくらいでいい。


そうして深夜1時半過ぎ、吉祥寺に到着。


朝8時半過ぎに広州を出発してから、約17時間。

遠かった。。

若い頃になんども、片道23時間くらいかけて各駅停車の電車で東京ー福岡の往復をしていたけれど、それとはまた違う種類の疲労感。


ともあれ、いつものコンビニでお酒を買う。

いつもの風景。

長い旅は、本当に終わった。


中国ツアーは最後の最後までハプニングだらけで、でもたぶん、こんなに心を振り回される旅はなかなかそうないだろう。

わたしの人生にとってかけがえのない旅だったとおもう。

こんなふうに少しずつ経験値が増えていって、いろいろなことに怖がらずに挑戦できたり対応できたり、ちょっとしたことでは動じない大人になっていくのだろう(もうすでにずいぶん大人だが)。

貴重な経験をありがとう。


旅から帰ってしばらくして、

中国ツアーどうだった?といろんな人に聞かれて、

楽しかったよ、とか、大変だったよ、とか、ライブ盛り上がったよ、とか、そんなことばだけでは到底説明できないほど、日々、濃い出来事の連続だったので、このたび改めてじっくりとnoteに綴ってみました。

ここまで読んでくださった方々、どうもありがとうございました(ときどき直接いただく感想もうれしくて励みになりました!)。


中国の人たちはみんなとってもパワフルで、ひとつひとつの土地や人々がそれぞれ魅力的で、なんだかその"大陸のパワーの渦"みたいなものに巻き込まれながら、旅の間ずっと、"生きてる"という実感をヒシヒシと感じ続けていました。

ことばがうまく通じなくても、たくさんの人たちと笑顔のやりとりを交わせて、美味しいもの(後半のお粥たち含め)を食べて、毎日演奏できて、振り返ると本当におもしろい旅でした。

なにより、たくさんのお客さんたちのキラキラのエネルギーをじかに肌で感じることができて、それはとても大きな宝物になりました。


また近いうちに、行けたらいいな。(できればもう少しゆとりのある行程でw)



この日の移動距離

広州南駅ー香港西九龍駅 約119km
香港西九龍駅ー香港国際空港 約32km 
香港国際空港ー羽田空港 約2,900km
羽田空港ー吉祥寺 約35km

計 約3,086km

中国大陸7都市ツアーの総移動距離

約10,381km

【完】

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