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麦茶をごくごく飲みながら。 『生まれた時からアルデンテ』

コナカの読書記録、第3回。
平野紗季子『生まれた時からアルデンテ』(平凡社、2014年)

こちらは、書店の棚でタイトルと装丁に惹かれて購入した書籍だ。
文章のリズムが心地よく、何度も反芻して読みたくなる。
冒頭の食べ歩きダイアリーには、こどもの目線で、辛辣かつ素直な感想が書かれていて楽しい。

文字から、筆者の食に対する熱量が強烈に伝わってくる。熱量というか、執念のような、すさまじく渇望する何かだ。
わたしは食への関心が薄いのだろうか。思いをめぐらせながらページをめくる。

【人の家の麦茶】という章があるのだが、ここでわたしは首を痛めそうなほど頷いた。友達のお弁当箱の卵焼きとか、アアア。

紅茶にはなくて麦茶にはある
境界がくずれてしまう あやうさの味。

平野紗季子「生まれた時からアルデンテ」, 平凡社,2014年4月, 67ページ

麦茶って、その人の生活を煮出したもののように感じる。紅茶は、まだ信用しているのよ。いや、麦茶に悪いなとは思うのだけれど。色々考えてしまう。
ある程度の距離感の人の家に行って、居心地がよくてつい長居してしまったとき、せっかくだしごはん食べていってなんて言われたら(突然の妄想タイム)。
家庭の食事で出す「好き嫌いの少なそうな、すぐに提供できるそれなりの気遣いの飲み物」って、麦茶なのでは・・・?
麦茶コース、まっしぐらだ。

・・・人の家の麦茶のことを考えるのは、これでやめよう。


というわけで(急カーブ、ギュイン)、今回の読書記録でした。

水分補給、しようね。

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