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言ってくれなきゃわからない〜素直に喜べなかったパリの思い出

小学生のころから海外に憧れていた私は、大学時代にバックパックを背負って20ヵ国以上を旅しました。

今回はそんな旅の思い出のなかから、ため息が出ちゃうエピソードを綴ろうと思います。

パリの街中を巡ったある日の夕方、私はかなり歩き疲れていました。
ですが、彼は歩みを止めません。

しかも、なんだか遠回りしているように感じられます。

「こっちから行ったほうが近くない?」
と地図を広げて訊いてみると、
「この道でいい」
と彼は答えます。

「足が疲れたから、バスに乗ろうよ」
と私が提案しても、彼は歩き続けます。

「どうして?」
と訊いても何も答えない彼の後ろを、私はブーたれながらついて行きました。

やがて……
目の前がパーッと開けました。



あ! エッフェル塔!

そっか、彼はこの感動を私に味あわせようとしてくれてたんだ。

頭では、わかりました。

それなのに……

私は素直に喜べなかったんです。

(キレイー!ここまで連れてきてくれたありがとう!!)
と口に出せないほど、疲れていました。

理由も言わずに歩き続ける彼に怒りを感じていたし、食費を節約するあまり、おなかも空いていたんだと思います。

私に心の余裕があったなら、こんな展開↓になったでしょうに。


私ときたら、あまりに喜び下手でした。

しかもね、そのとき、猛烈に思ったんです。

言ってくれなきゃ、わかんないよ!!
サプライズプレゼントも素敵だけれど、こんなに疲れていたら、喜べるものも喜べないよー(泣)

いやはや……
他責思考にもほどがあります。

彼だって、疲れていたに違いないのに、ね。

反応の薄い私に、彼はどんなにガッカリしたことでしょう。

私を喜ばせようしてくれた彼の気持ちを無碍にした自分に、ため息が出ちゃいます。

もしも、彼に再会する機会があったとしたら、
「あのときは本当にありがとう」
とハグしたいなー、なんて。

本当にやったら嫌がられるでしょうから、エアーハグで感謝の念を送っておきます、笑

「私も大人になって、〈喜び上手〉になったよ」
って伝えたら、どんな顔をするかしら?と思ったら、楽しくなっちゃった。

思い出させてくれて、ありがとう♪


「私が私である」ことの確信へ導く魔法使い
御影石 千夏


*あとがき*

チェーンナーさんのバトンリレー企画「人生は人喜ばせ合戦」のバトンを ふらおさんから受けとって以来、「喜ばせる」について考え続ける日々でした。
素敵な問いをくださって、ありがとうございます。

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