保育園の送り迎えをしていた十数年前のこと。

家族でお花見に行けないまま、桜が散り始めたのが惜しくて惜しくて……

「なんとか日が暮れる前に」
電動自転車の前と後ろに子どもたちを乗せて必死でこぎました。

坂道を登りきり桜並木が目前に広がった瞬間、涙がこぼれそうになったのは、きっと心に余裕がなかったせい。

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「ママ、見てー！」
舞い落ちる桜が絨毯のように広がっているのを、子どもたちが両手いっぱいに拾って見せてくれます。

楽しそうな声が桜色に広がる世界に響いて、荒すさんでいた私の心に温かい光が流れこみました。

「私だけが必死になって空回りしている」
そんな虚しさが吹き飛び、灰色に見えていた世界が桜色に輝き出したんです。

・あなたはよくやってるよ
・いつも見てるよ
・「〇〇でなきゃ」とがんばりすぎなくていいよ
・あなたはあなたのままで十分だよ

桜吹雪に応援されているように感じて、涙ぐんでいた私。

桜色に輝く豊かな世界を、いまでも映画の1シーンのように思い出すことができます。

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時間に追われて心まで失いかけていた私に、幸せなひとときを与えてくれたのは、桜と子どもたち。

今年も美しく咲いてくれてありがとう♪

雨にも負けず咲き続けてくれる姿に、力をもらっています。

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御影石 千夏

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