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地元民から聞いたリアルな税制事情(アルゼンチン)

2023年11月14日、世界一周旅行の幕が上がる。
南米に始まりじわじわと日本に近づいていく魂胆。
パートナーと共にだいたい3年ほどかけて巡るつもり。
旅情80%ぐらいのかんじで緩く書いてまいります。

激しい物価上昇の渦に飲まれるアルゼンチン。
財政事情というと堅苦しくて理解が難しい記事が多いけれど、地元民の話や旅の中の思い出を交えながらコミカルポップに書けたら思います。

※2024年3月頃の話です。
※多数人に取材したわけではありません。42日間の滞在で個人的に感じたことです。

アルゼンチンにはブルーレートが存在する。闇レートともいう。
ブルーレートとは銀行のオフィシャルレートに代わる非公式(違法)の市場レートのこと。
お得に両替できるため、怪しさはあるがブルーレートでの両替は旅人の定番となっている。
ドルを持ち込み、ブルーレートで両替してくれる場所でアルゼンチンペソに両替してから旅を楽しむ。
支払いにカードを使えば問題ないがカードの種類によっては莫大な手数料がかかったり現金のみの決済もあるのでアルゼンチンペソはある程度必要。

ちなみにアルゼンチンでは公式にドルの両替ができない。
アルゼンチン人がドルを持つことは違法とされている。

旅をする中、じわじわとアルゼンチンの財政が不安定だということが垣間見えた。
アルゼンチンはとにかく物価上昇が激しい。

まずスーパーでの買い物。
3日分くらいの食材を購入すると20000〜35000ペソくらい。
しかし一番大きい紙幣が1000ペソ。
つまり毎回20〜30枚の札束をレジで出してちまちま数える。
もちろんレジは激混み。お財布も爆発している、というか全く機能しない。
アルゼンチンの人はみんなビニール袋からお金を取り出していた。

これで日本円にして7万円くらい。でかい数字のお札を作って欲しい。

これは日本にいる友達に送ったポストカード。
切手の量が多い。

よりによって細長いポストカード(お洒落だと思った)

切手に占領されてほとんどメッセージを書けなかった。
エアメールといえどハガキ一枚、もう少し大きい封筒とか送ったらどれだけ切手を貼らないといけないんだろう。切手まみれになるだろうな。
5000ペソ切手とかを作ってもいいんじゃないのかと思うけれど間に合ってないんだろう。

そしてATM。引き落とし上限額が急激な物価上昇に対応していなくて
1回の引き落としに15000ペソ(ランチ2回分くらい)しかおろせない。
ほんの少し前までは15000ペソあれば1ヶ月くらいは暮らせていたんだと思う。
これの何が嫌かって、手数料は物価上昇に対応していて8800ペソかかる。
つまり、日本円に換算すると大体3000円おろすのに1600円の手数料がかかるといった感じ。
そんなの絶対に嫌だ。払いたくない!
ATMをいくつかまわったがどこも同じような条件で絶望の繰り返しだった。

そうなると旅人は本来怪しく思えるブルーレートで両替しよう!という気になる。
実際、偽札を渡されるなど被害に遭うケースもあるが私たちは難なく両替できた。

ブルーレートで両替してくれる人たちがたくさんいる「フロリダ通り」がアルゼンチンの首都ブエノスアイレスにある。
そこを歩いているだけで何人もの人に「カンビオ?カンビオ?」と声をかけられる。
「カンビオ/cambio」意味は両替。
声をかけてくる何人かに換金率を聞いて相場を確認した後、一番換金率のいい人に着いていくというのが全体の流れ。
あとはマンションの一室に連れて行かれちょっとドキドキしながら両替をしてもらうだけ。
ここでちゃんと枚数を数え、偽札でないことを確認することが大切。

両替してくれたお兄さんはピチピチの白Tに金のネックレスでポーカーフェイスといういかにもなヤンチャスタイル。
そんな人と密室でお金のやり取りをするのだから少し緊張した。
両替後、虫除けスプレーを振っていたお兄さんをみて蚊に刺されまくっていた私たちは「ねえ私たちにも振って!お願い!!」といってくるくる回転しながら全身くまなくかけてもらった。お兄さんは笑っていた。
あんなにポーカーフェイスだったのに別れ際には軽く手をひらりとさせ「チャオチャオ〜♩」だった。

旅人にはお得なブルーレート。
だけど両替してくれたお兄さんはどれくらい儲かるの?と思った。
そこでアルゼンチン人が公式でドルを持てない事を思い出した。
しかしアルゼンチンペソは不安定。稼いだお金はドルに変換して持っておきたいんだと思う。

これも地元の人に聞いたが、アルゼンチン人は海外でカードを使うと税金として買ったものの60%国に持って行かれるらしい。
旅行中もドルを持っていればお得ということだ。

アルゼンチンのインフレの原因を調べてて見つけたのが一時期銀行の金利が97%になったらしいということ。
例えば10万円銀行に預けると一年後には19万7000円になっている。
しかし物価は前年比240%らしく、金利97%でも損する国が出来上がっている。
物価前年比240%というと10万円で買ったテレビが一年後には24万円になる。
これはもう銀行に預けるより物で持っていた方がいいとなるかもしれない。

アルゼンチンのラ•リオハでとても仲良くなったアルゼンチンカップルから話を聞いた。
この国にはなんと150種類くらいの税金があるらしい。多すぎる。
例えば車のナンバープレートにも毎月税金がかかるらしく日本円で大体月2〜3万円。
アルゼンチンではナンバープレートの付いていない車をよく見かける。
みんな税金を逃れるためだったのかと知った。

そんな話を聞いている最中、アルゼンチンの男性のもとに電話がかかってきた。何かのトラブルだそう。
話を聞くと、部下が乗っているトラックが警察に止められ賄賂を請求されたらしい。
警察は働いている人を取り締まりなんらかの理由をつけてお金をとると言っていた。
売っている商品の許可証、運転免許書、営業許可証などくまなく提示させられ、そこに問題がないと次は健康診断書、さらには両親の健康診断書などを提出しろと言われるそう。
取り締まった際、法を犯していなくとも際限なく書類を求められ、賄賂を払う口実をつけてくるらしい。
そんな話を私たちは驚愕の表情で聞いていた。
30回ぐらい「ハァ〜〜〜!?」って言ったと思う。
アルゼンチンカップルは笑っていたけれど。

国は仕事をしている国民から税金を巻き上げ貧困層にお金を配っているそうだ。
貧困層からの支持が上がり政治家たちの暮らしはより潤うという魂胆。

2023年11月、アルゼンチンの大統領が代わり「法律ぜんぶ変えま〜す!」みたいなこと言っているのをニュースで見た。その時はとんでもない奴が現れたと人ごとながら思っていたけれど。
確かに、一掃して立て直した方がいいかもしれない。
大統領が代わりいい方向に変わっていくと思っている人が多いらしい。
ニュースだけだと何もわからない。

こうした事を仲良くなったアルゼンチン人が教えてくれた。
みんな笑っていた。
こんな状況が普通に存在してるのを目の当たりにするとこれだから旅やめらんね〜!となってしまう。
貧困層に出会う事はなかったからこんな軽い気持ちでいられるんだろうな。
のんきにアルゼンチン旅行を楽しんだけれどこの国には救われるべき国民は多数いるんだろう。
目の前で起こった事、実際に聞いた事ですらほんの一部でしかないんだろうけど、旅の醍醐味である異国への解釈が少しでも深くなった気がした。


プロフィール:
1996年、サブカルインドア人間として大阪にて誕生。
服飾専門学校卒業後テキスタイルデザイナーを務めるが都会的な暮らしや流行に嫌気がさし退職。
2021年、沖縄県の宮古島に移住。
趣味だったハンドメイドウィービングや料理の仕事に就く傍ら、フリーダビングにはまり毎日海で泳ぐ。
さらなる自然への興味と世界を深く解釈したい欲が矢を放ち、世界を駆ける。
ラジオとゲーム実況が好き。

良ければインスタグラムも覗いてみてください。
https://www.instagram.com/_maryo.san_

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