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建築情報学が本当に必要な世代 ──『建築情報学へ』勉強会からのレポート

2020年12月25日、書籍『建築情報学へ』(監修:建築情報学会)刊行!
好評をいただいており、発売からわずか1カ月足らずで重版となりました。読者の皆様、執筆・編集・制作に関わっていただいた方々に御礼申し上げます。

出版から半年という節目に、全国の有志学生による『建築情報学へ』勉強会 @arch_info_study の企画メンバーによるレポートを公開します。
出版前に発起され、約120名がSNSで連携し、一度も直接会わず複数回の勉強会を開催してきた前代未聞のコミュニティとは。
全4回・毎週更新予定。


100名以上のオンラインコミュニティ

われわれは、書籍『建築情報学へ』の出版を機に、全国の学生が主体的にオンライン上で集まり、それを読み解き、積極的に切り込んでいくコミュニティである。
発売前に発起し、コミュニケーションツールSlackでメンバーを募り、全国各地から総勢約120人もの学生が参加している。重要なことに、この勉強会メンバーはいまだ一度も実際に顔を合わせたことがない。
共同で本を読み込んでいくことが会の趣旨だが、この学問分野に興味を持っている学生が、お互いの存在を知ることができるプラットフォームを創出することがさらに重要であった。
建築情報学会の立ち上げに際し、その中心的なメンバーは、われわれ学生からすると十分に「大人」であった。しかしながら、学会のアクティビティや論文投稿をこれから支えていくのは、現在学生であるわれわれの世代だ。もしかすると、さらに若い世代なのかもしれない。建築情報学会という新しいプラットフォームが形成されていく過程で、学生がそこに切り込んでいけるよう、われわれが暗黙的に共有する問題意識を議論できる場をつくり出すことももうひとつの目的であった。

内容をビジュアライズし、理解を深める

Slack上のコミュニティは『建築情報学へ』の発売前に立ち上げ、そこから運営に携わりたい人を募集するかたちで勉強会についての議論を進めた。2020年12月末に書籍が発売された後、1月は勉強会運営のための会議を行った。
勉強会は、2月初旬から4月上旬にかけて全7回、毎週木曜日19時から2時間程度行っていた。コミュニティに参加している全員が勉強会に参加したわけではなく、毎回7〜8人程度がランダムに参加していた。
内容としては、特に『建築情報学へ』の第2章を扱った。その「Learn / Make / Connect」という3つの異なるテーマに対し、2回ずつ会を設定して進行していった。
1回目は、本書の内容について確認したいことや疑問点について共有することを大きな目的とした。各講についてそれぞれ5人が分担し、内容を要約するかたちで10分程度のプレゼンテーションを行い、全員の理解を深めていった。プレゼンテーションにおいては、なるべく図表や写真を準備することを重視した。本書に含まれる文字情報は膨大な一方、それらを文字だけで理解することは難しいと判断し、建築の実例であればその写真を探す、概念的なものであればダイアグラムに転換するという過程を通じて、より視覚的に理解を進めることを意図した(Slackでは、これまでのプレゼンテーションやmiroのまとめを見ることができる)。

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2回目は、内容の理解を前提として、さらにプラスアルファとなる情報の創出を目的とした。例えば、本書の注釈について深堀りしたり、掲載されている出来事を時系列に沿って並べてみたり、といったことがこれにあたる。
また、「Ⅲ Connect」を扱うパートでは、その著者の石澤宰さんをお招きし、われわれから直接質問を投げかける特別回も開催し、盛況となった。

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夏の再始動に向けて

春に『建築情報学へ』第2章を扱った勉強会を一通り終え、2021年の夏休み初めを目処に、さらに発展した企画を開催予定である。第1章の著者へのインタビューや、他の書籍の勉強会などを企画しているので、この議論の枠組みを是非利用してほしい。Slackへの参加は、以下のTwitterアカウントから。
https://twitter.com/arch_info_study

各担当クレジット
「I Learn」 南佑樹 池本祥子 近藤広隆 赤川英之 森本玄
「Ⅱ Make」 野田早紀子 赤川英之 尾形悠輔 鈴木尋斗 宮本凛
「Ⅲ Connect」 近藤広隆 宮本航 向阪大雅 池本祥子 南佑樹


書籍『建築情報学へ』(監修:建築情報学会)



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