millegraph(株式会社ミルグラフ)

2010年創業の建築・美術・デザインを中心とした出版社です。 http://www.millegraph.com/

第2章 軋轢の先に──古澤邸 立石遼太郎

遠い昔、遥か彼方の銀河系で…
ジョージ・ルーカス監督『スター・ウォーズ』

0 遠い昔、遥か彼方の銀河系で…

画面に対して、正対した文字が現れる。「遠い昔、遥か彼方の銀河系で…」。映画『スター・ウォーズ』はいつもこの一文から始まる。
一瞬、間が空いて、あのファンファーレ。ファンファーレのあと、おなじみのテーマが流れ、正対したタイトルロゴが現れる。タイトルロゴがズームアウトし、オープニング・クロー

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レクチャー&ディスカッション  《静かなレトリック》と「建築におけるフィクションについての12章」  立石遼太郎

「語りえぬものについては、沈黙せねばならない」ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン
僕の修士制作である《静かなレトリック》(2015)は、弁論・叙述の技術である修辞学の形式を借りて、「建築における語りえぬもの」について語ろうとする、新たな建築の語り口を発見する試みでした。《静かなレトリック》において考えていたことを踏まえ、これから「建築におけるフィクションについての12章」で新たに考えていくべきこと

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第1章 誰も乗り越えてはならない──青森県立美術館 立石遼太郎

意味作用の行き来は、《ファーンズワース邸》がそうであるように、いわばタネもシカケも現わされているにもかかわらず、生まれるイリュージョンとしてある。
ぼくたちは、表面しか見ることができない。しかしその表面から、ぼくたちはいつも、実際には見えていない裏側を想像している。裏側とは、そのものの実際のあり方である。ぼくたちは、その表面からいつも、そのものの実態を想像する。
(中略)レトリックつまり説得術を発

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連載「建築におけるフィクションについての12章」序章 立石遼太郎

フィクションの輪郭/建築の語り口
本連載は、“建築におけるフィクションとはなにか”あるいは“建築におけるフィクションの対義語とはなにか”について考えていくことを目的としている。月に1回、ひとりの建築家の作品を取り上げ、1年間で計12の作品を通じて、“フィクション”という、わかっているようで実はかたちの定まっていないものに輪郭を与えつつ、同時に建築という曖昧模糊としたものにある特定の語り口を与えたい

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閑谷学校 永遠と現在を行き来する建築 評者:藤原徹平

2017年夏に刊行した書籍『国宝・閑谷学校|Timeless Landscapes 1』について、建築家・藤原徹平氏による書評(約5,600字)を公開します。
『住宅建築』2018年2月号に掲載されたものから、大幅に加筆され、独自の津田永忠論にもなっています。

閑谷学校を造営した津田永忠のことがいつからかずっと気になっている。岡山藩随一の切れ者で、岡山藩200年の歴史のなかでも最も傑出した藩政家

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それは、からからから……という、朝方、雨戸が開け放たれた時の音、だろうか 評者:中川武

2017年夏に刊行した書籍『国宝・閑谷学校|Timeless Landscapes 1』について、建築史家・中川武氏による書評(約4,200字)を公開します。何かのメディアから依頼があったものではなく、半ば自発的に書かれたものです。本の評に留まらず、建築史家ならではの閑谷学校論にもなっています。

美しい本との出会い

建築が今でも希望であり続けていることを、静かに、過不足なく、しかし、余すところ

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