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SNSのバズが現実世界に集結。初のリアルイベント「#あぁアレね展」開催に込めた「餅屋」の想い

こんにちは。SNS時代のプロモーション企画集団「餅屋」です。

私たちは日頃、SNSで影響力を持つインフルエンサーとタッグを組み、コンテンツを共創したり、広めるまでのプランニングを行っています。

そんな私たちがSNSの世界を飛び出して現実世界で楽しむ展示会を開催しました。その名も「 #あぁアレね展 」。

SNSで日頃私たちが見かけるコンテンツの中には、大きなバズを起こして広く知られるようになったもの、発起人はわからないけれどよく耳にするフレーズなどが存在します。そういった「あぁアレね!」なものを一挙に集めて展示しちゃおう、というのが本展示会の意図です。

展示会は去る11月26日〜28日の3日間で開催。カルチャーの生まれる街・原宿の「デザインフェスタギャラリー原宿」をお借りして実施しました。

延べ280名ほどにご来場いただいた今回の展示会。実際に会場でご覧いただいた展示の内容、開催に踏み切った理由などを本記事でご紹介できればと思います。

ようこそ、「#あぁアレね展」へ

まずは展示会場の様子を写真と共にご紹介します。ご来場くださった方は「こんなのもあったなあ」と思いながら、初めてご覧いただく方は「あぁアレね!」とつぶやきながら見てくださったら嬉しいです。

今回の会場はもともと白い壁に包まれた無機質な空間。その中に並ぶ展示品は、SNSの世界から飛び出してきたこともあってなんだかシュールな空気をまとっています。さて、その展示品を一つずつ会場での順路に沿って見ていきましょう。


※ここからはあえて作品の解説をせず、会場と同じく展示作品とキャプションのみをお届けします。

【殺伐としたTLに...】
コメント・イラスト・その他がまるで一致しておらず、その矛盾が見た人に気の抜けた笑いを誘うミーム。最近では、荒れているTL(タイムライン)に癒やし画像を投下する例もある。


【バズったやつ】
Twitterにはとある1ツイートが爆発的にバズ(拡散)が起こり、フォロワー数が急増したり、一夜にて有名になるTwitterドリームが存在する。そんな伝説的なバズの元ネタ/該当アカウントのみなさんを展示させていただきました。


【アマゾンの奥地へ向かうボード】
アマゾン自体が謎の多い地域であり、多くの調査隊が向かっています。1970〜80年代にテレビ番組にて使用されたフレーズが元ネタとされている。現在では、何か疑問に感じることがあったらとりあえず向かう場所=アマゾンとしてミーム化しています。



【聞こえますか...あなたの頭に...直接語りかけています...】
テレパシーのように頭や心に直接「聞こえますか・・」と語りかける体裁のミーム。近年では、好きなものなどをオススメするときにも使われ、企業アカウントなどの宣伝でも使用されることが増えてきました。


【〜って女子高生が言ってた】
「嘘ツイート」「大喜利ツイート」の代名詞。カフェなどで説得力のあることや、本質を突くような鋭い意見を女子高生が言っていた、という体裁で発信するミーム。


【バズったけど宣伝することないので、〇〇教えて!】
バズった投稿に便乗して宣伝するというミームがあるが、元ネタではバズっても敢えて宣伝行為をせず、リプライ欄で「美味しい牛肉を食べられる店の情報」を募ったところ、大量の情報が寄せられたというもの。今回はみなさんのとっておきの「美味しいお店」の情報を募集しました。

グルリと会場を周遊する形で、展示品とキャプションそれぞれをご紹介しました。
元ネタが気になる際にはTwitterでぜひぜひ検索してみてください。

今回の展示会はリアルな空間で実施したですが、餅屋はSNSプロモーション企画集団と銘打って日々インフルエンサーやプランナーと共創を行っています。そんな餅屋がSNSの世界を飛び出し、現実世界にチェックインした理由とはなんでしょうか。

そして、記念すべき第一弾の展示会のテーマにミーム化したコンテンツを選んだのはなぜか。その志を、餅屋の発起人であるふくま まさひろに尋ねました。

SNSが主戦場の餅屋だからこそ生み出せるリアルな空間

ふくま まさひろ  
テテマーチ株式会社 CCO(Chief Communication Officer)
Social Contents Studio『餅屋』代表
企業のSNSコミュニケーションの企画提案、及び自社のマーケティング企画等を兼務。アドテック東京2019・2020公式スピーカー

── 展示会の準備、おつかれさまでした。餅屋としては今回が初めてのリアルイベントですよね?

ふくま:そうですね。長いことイベントを開催したいと思っていたので、やっとこうして開催できて嬉しいです。

── 餅屋は、SNSを土壌に活動するプロモーション企画集団として活動してきました。リアルイベントを開催したいと思ったのはどういうきっかけだったのでしょう?

ふくま:コロナ禍に突入したことが一番大きいですね。僕自身、リアルイベントや人が集まれる空間が好きだったので、そういった場がパタリと無くなってしまったのが寂しかったんです。だから、人が集う場を作りたいなと思っていて。

そうして構想を広げていた中で、せっかくやるなら来てくれた人が楽しめる、エンパワーメントされるようなものをと考えて生まれたのが今回の展示会です。

── 今回はミーム化したコンテンツを取り上げて展示するという、ネットとリアルが融合したような発想に着地しています。どういった経緯でテーマを決めたのでしょう?

ふくま:餅屋が得意とするソーシャル上でのコミュニケーションやコンテンツをなんとか現実空間でも実現できないかと考えたのが始まりですね。最初は、今は「密」と言われてしまうコロナ以前は当たり前だった風景なんかを描いて展示するみたいなアイデアなんかもありました。

チームでの雑談から始まった企画だったので、「こんなことはできるかな?」みたいにアイデアをみんなで広げてワクワクしながら話し合っていました。その後、どういったものならSNSという餅屋の強みを活かしてリアルな展示を行えるだろうかと検討して、たどり着いたのがネットミームです。

── ネットミームという切り口から、展示品はどのように選定を?

ふくま:ミーム化していると思われるコンテンツをとりあえず洗いざらいに出し合いました。その中で展示に向いているものを探して見つけた、という流れです。「〜〜って女子高生が言ってた」っていうテンプレートで世の中の真理みたいなことをつぶやくフォーマットをよく聞くから、実際に女子高生に言ってもらおうか、みたいな(笑)。

Twitterでものすごくバズったものの中で展示できるものは商品や実物をお借りして展示しよう、とか。アマゾンの奥地に向かえそうなものを作ってみよう、とか。現実空間に置けそうなものはすべて用意する勢いで準備したんです。

オリジナルの展示ボードを用意して、いかにも奥地へと向かいそうな雰囲気に……!

ふくま:今回は展示会のタイトルを「#あぁアレね展」としたので、「あぁアレね!」と思ってもらえるかどうかを意識して展示を準備していきました。訪れた人に納得してもらえたら良いなと思ったし、せっかくなら展示の最後にはミームの世界に入り込む体験までできたら良いかなって。

── 「バズったけど宣伝することないので、〇〇教えて!」のコーナーは来場者体験型のミームでしたね。

来場者の手によっておすすめのおいしいお店リストが。いろいろな紙、ペンで描かれるのもなんだかインターネットっぽい

ふくま:そうですね。最も有名なミーム説もあるくらい、来場者のほとんどが「あぁアレね!」と理解を示してくれて、たくさん書いて帰ってくださいました。最終日には200件くらいのリストになっていましたし。

── ちなみに、ふくまさんのイチオシの展示ってどれですか……?

ふくま:僕のおすすめは「〜って女子高生が言ってた」です。女子高生がなんとなく雑談をしているような雰囲気が伝わるように映像を作って、声優さんに出演をお願いして音声を録って。すごく作り込んだんです。

ヘッドホンを装着すると、辛辣な切り口のセリフが女子高生(役)の声で再生されます

ふくま:3分ほどの音声からは次々と辛口なコメントが飛び出すんですが、それらも一つひとつオリジナルで考えました。ヘッドホンを付けないと聞けないというギミックも、女子高生の会話を盗み聞きしているような多少の罪悪感を表現したものです。

── 展示品とささやかなキャプションというシンプルな展示内容でしたが、その奥には細かな思考が埋め込まれていますね。その余白を楽しめるのもインターネットらしさなのかもしれません。初の展示会開催、振り返ってみていかがですか?

ふくま:想像していたよりも、リアルで反応を見れる機会ってありがたいものなのだと感じました。僕たち餅屋はSNSが戦場なので、どうしても「いいね」を始めとした、タップ一つで行えるアクションばかりを見てしまう。

けれど、その「いいね」には人の数だけ感情があるし意見もある。「(嬉しいから)いいね」「(楽しいから)いいね」「(ハッピーだから)いいね」など、いろいろな感情から一つのアクションに帰着するんです。そういった感情まで含めた反応を見る機会はやはりリアルならではだなと感じます。

ネットミームを現実世界で表現するという展示を行ったことで、SNS上での反応がどんな感情のもとに生まれているのか、その片鱗を知る機会になりました。

おかげで、これから餅屋としてクリエイターと共創しながら企画を作り上げる際も、ただ「いいね」を稼ぐのではなく、どういう感情を抱いてほしいのかも含めた、奥行きのある設計が必要なのだと実感しました。すごく学びが多かったです。

── 日頃、SNSにまつわる企画に触れている餅屋ならではの視点なのかもしれないですね。また展示会を開催したいという気持ちもありますか?

ふくま:もちろんです。今回は実現できませんでしたが、本来であればインフルエンサーとの共創を強みとしている僕らとしては、さまざまな方を巻き込んで展示作品をつくるような取り組みもしたいと思っているんですよね。

今回は初ということもあり、まずは開催してみるという成功体験を積むのが大きな目標でした。次回以降は、今回の展示会を基に、より一層質の高い体験をリアルでも生み出せるように頑張っていきたいです。



取材・文:詩乃

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