七井咲燈

小説が好き。ドラマ、映画、お笑いも好き。          ちょっと笑えたり、ちょっと…

七井咲燈

小説が好き。ドラマ、映画、お笑いも好き。          ちょっと笑えたり、ちょっとあたたかい気持ちになれたり、少しでも心動くものをかきたいなあ、と思っています。   よければ読んでみてください!

最近の記事

腐った嫉妬/ショートショート

何度もパソコンに指を打ちつけていく。 何万文字と集まったそれを提出し、結果発表の日を待つ。 「落ちたかな〜」 ここ何年も、納得のいく作品を提出していない。 ただ書いて、送る。それすらしなくなったら、完全に無職になるような気がするから。 「話題沸騰中の小説。書いたのはなんと20歳!」 俺よりずっと若い奴が、同業でも他の職業でも活躍してテレビで紹介されているのを見るとどうしようもない何かが湧き上がってくる。 その正体は嫉妬。 でも、俺は嫉妬できるほどの身分ですらな

    • 毒抜きドラム/ショートショート

      軽音楽部の見学に来た。 昨日見に行ったカルタ部とは雰囲気がえらい違いだ。 少し怯えながらも、私がドラムをしてみたいことを顧問の先生に伝えた。 「ドラム?いいよね〜。かっこいいよね〜」 顧問まで、カルタ部とは雰囲気が違う。 やはり軽音楽部は私には早かったか。 私にドラムを教えてくれるのは、3年の先輩だった。 部活動紹介で見たバンドで、ドラムをしていた人だ。 「ドラムやりたいって言う人、毎年1人いるかいないかとかなんだよね。だから嬉しいよ」 「は、はい」 丁寧

      • 真夜中万華鏡#毎週ショートショートnote裏お題

        部員が全員帰り、私は先生と軽く談笑してから部室の鍵を閉めた。 「また明日ね!」 「さよーなら」 先生と別れ、私も帰ろうと足を一歩前へ進めた。 だが、窓の景色を見て止まった。 久しぶりに意識してみたかもしれない。 1年生の時からずっと見える景色。建ったり壊されたりがあった。少しは景色が変わっている。 ただの電気が、ここから見るとまるで万華鏡のように綺麗だ。 廊下を進んでいくと変わる景色。 「例えが突飛?」 でも、幼い時に見た万華鏡のような感動を感じたのだ。

        • 放課後ランプ#毎週ショートショートnote

          暗闇に月が浮かんでいる。 「ごめーん、遅れた!」 「先生〜」 「ほんとごめん!始めよう」 部室の電気を消し、中心にあるランプのみをつけた。 その周りをぐるりと部員が囲っている。 「さっそく、私から」 ホラー部。ここ定時制高校に一昨年からできた部活だ。 ホラー映画や肝試し、怖い話なんかをする。 夜に学校がある、を生かした部活。 「いやぁ、ホラー部って聞いた時はなんだそりゃって思ったけど案外いい部になってるよね」 「先生、提案した時ぎょっとしてましたもん」

        腐った嫉妬/ショートショート

          崩れるチョーク/ショートショート

          カッ カッ カッ ガリ ボロ カッ カッ ガリ カッ カッ 黒板にチョークが触れるたび、崩れるチョーク。 どんな筆圧で描いてるんだ。 深い緑の黒板に白い豪快な字があらわれる。 カッ ガリ ボロ ボロ カッ カッ カッ ガリ ボロ カッ 次の日、早くに学校に着くと、担任の先生が黒板前の床を掃除していた。 「いつもしてるんですか?」 「他の先生に気持ちよく使ってほしいからね」 あの先生、確かに気持ちよく使っている。

          崩れるチョーク/ショートショート

          木洩れ中/ショートショート

          電車に乗っていて、揺られている間。何をしていればいいのか考えてしまう。 スマホを触っていればいいのだろうが、ほとんどの人がスマホを触っているので、なんだかスマホに人生を乗っ取られている気分になる。 では、小説や漫画を読んでいればいいのか。でも、私はそれを電車内で読むと酔ってしまう。 電車内で気持ち悪くなるほど嫌なことはない。 残った手段は結局窓の外を眺めることで。 だんだんとスピードが落ちて、駅に止まる。 そこの柱に、なにやら紙が貼ってあって、それを見ると『木洩れ

          木洩れ中/ショートショート

          花が羨ましい烏/ショートショート

          真っ黒な姿をした烏が、色とりどりの花壇を見ていた。 花壇にある花たちは、私が丁寧に育てているもので烏が近くにいるのは少しだけどきどきする。 でも、烏はそれを観るだけで咥えたり突いたりはしない。 その瞳は、なんだか輝いているように見えた。 「羨ましいのかな」 いつからいたのか、娘が私の背中に隠れながら言った。 確かに、羨ましいのかもしれない。 私が真っ黒な姿をした烏なら、鮮やかな花たちに憧れるかもしれない。 「カア カア」 見上げると、烏が数羽空を飛んでいた。

          花が羨ましい烏/ショートショート

          深煎り入学式#毎週ショートショートnote

          入学式。 信じられないほど緊張して、お腹が痛い。 インスタで春休みのうちから友達作りに勤しんでいた中学の同級生。 私はインスタで繋がるのが怖くてやっていなかった。 知らない顔の同級生。 これから、この人と仲良くなりたい。この人は苦手。この人は元気いっぱいで、この人は1人でいるのが好きなのかな。 そうやって、仲良くなれそうな人を見定めていく。 そうしてるうちに、みんなどんどんグループを作って最後に私は1人になる。それがいつもの私。 けど、今日は違う。 頑張って

          深煎り入学式#毎週ショートショートnote

          愛の意味/ショートショート

          2月14日。 好きな人にバレンタインを利用して告白したり、意識させたり。 友チョコや義理チョコを配って楽しんだり。 それぞれの楽しみ方があるけれど、私は彼のために精一杯愛を込めて本命を作る。 マカロン、ドーナツをつくって、可愛い箱に詰めていく。想いがこもってることを伝えたいので、他にも色々詰め込んで可愛く仕上げる。 「よしっ」 それを持って、学校に行く。どんな反応をするだろう。喜んでくれるかな。 緊張して、箱を持つ手が震える。 教室に入り、想い人にそれを渡す。

          愛の意味/ショートショート

          オチとかつけるの苦手。

          オチとかつけるの苦手。

          卒業

          卒業した。 卒業式は信じられないほどつまらなくて、退屈だった。 オトナのための式で、私たちのことなんて考えてない式だった。 卒業証書の受け取りで、特にふざける人もなく、ただ同じことが繰り返される時間がずっと続いた。 音楽も相まって、眠たくなる。 左手、右手、お辞儀。左手に持って振り返る。 めんどくさいルールを何度も練習させられたので、誰もそれを間違えたりしない。 もちろん、私も。 信じられないほど長い校長の話。 時計を見れば10分しか経っていない。友達と話す

          まっくろなアゲハ/ショートショート

          小学校にはとくべつな場所がある。 てい学年はしらないだろう場所。 たいくかんうら。 わたしはここで、すてきなものを1つみつけるゲームをまいにちひらく。 あきになると、おちばがたくさんになって、さくさく音がなる。 ひかげもできてるし、ちょうどいい風もあたる。 すてきなものをみつけるにはいい日な気がする。 校ていから聞こえるみんなのうるさい声をむしして、あたりを見てまわる。 あるくたびにさくざくさくざくと音がなって、やっぱり楽しい。 今日はこの音に決めようかな、

          まっくろなアゲハ/ショートショート

          会員制の粉雪#毎週ショートショートnote

          『あなた!この広告は1度しか流れないので最後まで是非!』 広告ってなんで全体的に怪しいのだろうか。 そう思いながらも、“1度しか流れない”と聞くと最後まで聞いてしまう。まんまとハマっている。 『このあたりは全然雪が降りませんよね。だからといって、雪が降っているところまで行くと移動でお金、宿にお金と費用が莫大に…』 まあ、確かに雪はふらないけど。 脱毛とか、口臭とか、痩せるとか、そういう広告じゃないの?なんで雪の話? 『そんなお悩みを抱えたあなたに朗報です!なんと雪

          会員制の粉雪#毎週ショートショートnote

          明けましておめでとうございます。(今頃???)

          明けましておめでとうございます。(今頃???)

          走る/ショートショート

          寝坊した。 寝坊した? 寝坊したっ!!!!! 全力で走るのはいつぶりだろうか。きっと小学生ぶりだ。 冬の全力疾走。 周りの人々は私を変な人、とでも言いたげな目で見つめてくる。 変な人で結構。私は寝坊したのだから。 それにしても、夏じゃなくてよかった。 汗で身体中がベタベタにならなくて済む。 最初の段階ではそう思っていたけれど、走って30秒ほどで気がついた。 ーあれ、冬の全力疾走、きつくない? 冬の凍るような空気が口の中に入って肺に届けられる。 走ること

          走る/ショートショート

          スタバとJK/ショートショート

          JKというのは、皆揃ってお金持ちなのだろうか。 街中で見かけるJKはスターバックスを片手に持っている。飲み物にだす金額としてはかなりお高めなスターバックスを、そんなほいほい買えるお金をJKは持っているのだろうか。それとも、スターバックスしか買っていないのだろうか。 俺なんか、期間限定が美味しそうすぎて年に3回くらい買うくらいだ。しかも毎回、店内の客と店員さんのキラキラ具合に調子が悪くなる。でもやっぱり美味しい。 美味しいけど、そんなしょっちゅう買ってはお財布に優しくない。

          スタバとJK/ショートショート