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プラタナスの木

いまこの道を歩いて
振り返れば
思い出されるのは
ほんの束の間のあのとき
虹がかかった公園
水たまりにうつる空
プラタナスの木から
こぼれ落ちる日の光
葉は風に揺れて金色に煌めく
始まりの予感に
心が躍り
止まらずに進むと決めたあのとき
あなたはそばにいて
迷わずに
この手をとってくれた
約束はしなかったけれど
胸のなかでそっと誓ったことがある

いまこの道を歩いて
振り返れば
思い出されるのは
迷いながらも選びとってきた軌跡
友よ、写真たての中の私ちには
ずいぶんと埃がかぶってしまった
でもいまでも拭きとれば蘇る
それは失われたものだとしても
そこに確かにあったということだろう
あなたへの想いを心の片隅において
悲しみも、寂しさも、喜びも、愛も
すべて抱えて 歩いてきた
そのひとかけらでも
あなたも同じであればよいと願いながら
脇道のマロニエは
春にはピンクの花を咲かせ
秋には食べれない渋い実を落とすんだ
そう そんな季節(とき)があった
そう振り返る私は いまでは
すべてが楽しかったように思えるのだ
私はあなたと出会い、
私を発見し、自由を手にし、
自らの道を自分の手で選びとって
前を進むことができたのだから

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