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終わりのない夜の淵

眠れぬ夜をいくつ重ねたか
暗闇のなか 冴える目で
己の輪郭もつかめぬまま
ライトから垂れ下がる紐を
じっとりと眺める
きみの寝息が聞こえた気がしたけれど
それは時計の針の音だったかもしれない
麻痺した体からは とうの昔に
痛みは消えたというのに
枯れたはずの理由のない涙が今夜も滴る
早く日が昇って欲しいと
毎日 こい願う
なのに夜明けの白い光が怖い
悲しいのではなくて 苦しい
寂しいのではなくて 虚しい

春に若葉が芽生え
夏に生い茂り
秋に色を染め
冬に風とともに散るように
愛も流転するというのに
受け入れることも
進むこともできずに
同じ地点に立ち止まり続けている
わたしの道をてらす人
愛おしい人
愛することも 失うことも
知らなかった 幼い道化
夢もちりぢりに 血が滴る
夜が明け 日が昇るなら
せめてこの身をゆだねてしまいたい

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眠れない夜に

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