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安定志向が一歩踏み出すためには? ゆぴさん流・挑戦のハードルを下げる方法

やりたいことが生まれても、うまく行動に移せない。そんな方は多いのではないでしょうか? 私も、なかなか一歩目が踏み出せない人間です。

今回お話を伺ったのは、ご自身の「やりたいこと」を軸にフリーランスライターとして活動されているゆぴさん。

2022年には自身の体験をもとにしたエッセイを出版するなど、活動の幅を広げています。フリーランスとしてどんどん新しいことにチャレンジしている彼女ですが、上昇志向が強いタイプかと思いきや、実はすごく安定志向なんだとか。

そんなゆぴさんが、やりたいことを叶えるためにどんな一歩を踏み出してきたのか、お話を聞きました。

「知る」だけでハードルはぐんと下がる

【プロフィール】Webメディア・新R25編集部を経て2019年に独立。取材やコラムなどの執筆を手掛けるほか、生きづらい世界をいい感じに泳ぐために日々発信をする。著書『書く習慣~自分と人生が変わるいちばん大切な文章力~』は2万部を突破しベストセラーに。新刊『ポンコツなわたしで、生きていく。』発売中。(Twitter:@milkprincess17)

ーーはじめに、これまでの経歴と現在のお仕事を教えてください。

新卒で入社した会社では、ぬいぐるみの営業をしていました。約1年間営業をした後、クリエイティブディレクターとして広告代理店に転職。その後、社内転職でWebメディアの編集部へ異動し、社会人3年目でフリーランスライターとして独立しました。

現在は、取材記事やコラムを中心に執筆をするかたわら、グラフィックレコーダー、声優などの仕事もしています。最近では、『書く習慣』『ポンコツなわたしで、生きていく。』などの自著の出版にも力を入れています。

ーー安定した環境を手放してやりたいことにチャレンジするってすごい。安定志向の私にはなかなかできないことなので、尊敬します……。

いやいや! 私も本当は安定志向な人間なんですよ。

「これまで持っていたもの全部捨ててチャレンジします!」という人もいると思いますが、私はそこまでの覚悟はできないです。

学生時代は「休学したら就職に響くかも」と思い、興味があっても留学できなかったし、転職するときも間を空けずに次の会社へ入りました。空白期間を作ると今後のキャリアに穴が空くんじゃないかと怖くて……。

今でもそんな安定思考なところは変わりません(笑)。

ーーでも、ゆぴさんは現在世間的には“不安定”といわれるフリーランスとして活躍されていますよね。その一歩はどうやって踏み出したんですか?

私も以前は、「フリーランスの働き方は不安定で怖い」と思っていました。フリーランスというのは、選ばれし特別な能力を持っている人にしかなれないものだと思い込んでいたんです。

でも、とある社外のコミュニティに入ったことで、それが覆されました。そこには、フリーランスとして働いている方がたくさんいて、私が想像していたフリーランスとはいい意味で違った。失礼かもしれないけれど、意外と普通の人が多かったんですよ。

そこで、フリーランスのリアルな働き方を知り、フリーランスでも安定的に働いていけるイメージが徐々に持てるようになっていきました。

ーー「知る」ことでイメージがついていったのですね。

私たちは“知らない”から怖いと思ってしまうし、“知らない”と人生の選択肢にも入れることができないんですね。

私の場合、とにかくいろんなフリーランスの人に会って、詳しく話を聞くところから始めました。

フリーランスの働き方を知っていくうちに、自分がフリーランスになったときのイメージもできるようになりました。そのイメージを実現するために、自分にできることを少しずつ始めていったんです。

「勝手にやってみる」を重ねて仕事に繋げる

ーー実際に、どんなことから始めたのでしょう?

いきなり会社員を辞めるのは怖かったので、しばらくは会社員を続けながら副業としてフリーランスの働き方を試していきました。

はじめは実績がゼロだったので、まずは仕事とは関係なく、勝手にいろいろやってみることからスタートしましたね。たとえば、参加したイベントのレポートやグラレコを勝手に書いて、SNSにアップしていました。そうすると、「仕事としてやってみない?」と声をかけてもらう機会が徐々に増えていって。

自分が作ったものを誰もが見られるところに提示しておくことは、自分のスキルをアピールすることになるんですよ。そうやって勝手にやっていたことが仕事になり、仕事が次の仕事を呼び……というサイクルを回してお仕事を増やしていきました。

ーー「勝手にいろいろやってみる」ことで仕事に繋がるんですか……!?

好きなことややりたいことを仕事にしたいなら、1番の近道だと思いますね。

そもそも、相手にきちんと提示できる成果物がないと仕事は依頼してもらえないもの。「この人はこんな文章が書けるんだ」と知られて初めて候補者に上がると思うので、駆け出し時の報酬は度外視していました。

あとは「まわりに言っておく」ことも仕事に繋げるひとつのポイントだと思いますね。「やりたい!」と心のなかで思っているだけだと、誰にも伝わらないけど、口に出すことで叶う可能性が出てきます。

私も、たまに知り合いの編集さんから「こういうジャンルに興味のあるライターさんがいたら紹介してください」と言われることがあるんです。そのときに思い浮かぶのは、やりたいことを常日頃から言っている人なんですよね。

やりたいことがあるなら、口頭はもちろん、TwitterやnoteなどのSNSでも積極的に言っていくことがおすすめです。

ーーゆぴさんの場合、最終的には副業としてどのくらいお仕事をされていたんですか?

副業を初めて半年間で6社ほどの会社とやり取りをするようになっていましたね。

これも安定志向だからこそ、です(笑)。1社だけだと不安なので、時間がかかっても意図的に複数社からお仕事をいただける環境を整えました。最終的には、本業と同程度の収入を得られる目処がついたので独立しました。

ーー副業から少しずつ始めれば、安定志向でも現実的に独立を考えられるようになりそう。

そう、安定志向は副業からスタートするのがおすすめです! 副業なら、「やっぱり自分にフリーランスは無理だ」と思ったら辞めればいいし、副業での収入が安定しなくても、本業があるから不安になりづらい。

それでも副業を続けられたら、だんだん自信がついて「私でも独立できるんじゃないかな?」と思えてくるんです。

自分のやりたいことを見つけるには?

ーーそもそもやりたいことがなくて悩んでいる人もいますよね。そういう人はどうしたらいいのでしょう?

多分、「好きなこと」や「やりたいこと」を難しく考えすぎちゃっていると思うんですよね。人に誇れるようなすごいことでなくちゃいけないとか、誰よりも詳しくなきゃいけないとか。

やりたいことが見つからなくて悩んでいるなら、「誰かに頼まれなくても勝手にやっているようなこと」から考えてみるといいんじゃないかな。

外食のたびにごはんの写真を撮っちゃう人は、グルメやレビューが好きなのかもしれないし、髪の毛の色を頻繁に変えている人はパーソナルカラーやファッションに興味があるのかもしれない。小さなことから膨らませていけばいいんじゃないかと思います。

あとは、「ヤダ」に素直になることも大事ですね。

ーー「ヤダ」? 

「ヤダ」に直面して、わかってくることってたくさんあるんですよ。

結局、好きか嫌いかなんてやってみないとわからない。いろいろやっていくうちに何が好きで何が嫌いかがわかってきて、感情の解像度が高くなっていくんじゃないかと思います。

私自身、振り返ってみるとターニングポイントのもとになっている感情は「好き」よりも「ヤダ」という気持ちでした。

ーーゆぴさんは、「ヤダ」とどのように向き合ってきたのですか?

新卒で入った会社では、アナログな作業がヤダ、人と話さないといけない営業がヤダ、というようにどんどん「やりたくないことリスト」が溜まっていきました。

そこで、「じゃあどんな仕事ならヤダを解消できるの?」と考えたときに、いろんな制作に関われそうな広告のクリエイティブディレクターへのキャリアチェンジを決めたんです。

でも、仕事をしていくうちに「Web広告は形に残るものじゃない」と知り、また「ヤダ」が発生。改めて考えた結果、辿り着いたのが、ライターという仕事だったんです。

私も以前は、自分のことをあまりわかっていませんでした。でも、いろいろやっていくうちに「ヤダ」が出てきて、そこを掘り下げていくと「好き」や「やりたい」にたどり着くようになっていったんですよね。

ーー「ヤダ」の感情を大事にしてきたから、「好き」も見つけられたんですね。

そもそも、「ヤダ」を我慢してもいいことがないと思っていて。
私はモーニング娘。さんが大好きなのですが、彼女たちの『自由な国だから』という曲のなかに、「自由な国だから私が選ぶよ」という歌詞があるんです。それを聴いて衝撃を受けました。

「たしかにそうじゃん!」って(笑)。

以前の私は、「嫌だな」って思いながら営業をしていたけど、それは誰かに言われて始めたわけでも、誰かに強制されていたわけでもないんですよね。

自分で勝手に「営業職」の面接を受けて、勝手に入社して、嫌だと言いながらも勝手に働いている。結局、全部自分の選択だったな、と。コンビニで買った新商品が苦手な味だったけど、もったいないからとしぶしぶ食べ続けている、みたいな(笑)。
大前提、わたしたちは何でも自由に選べる。であれば、時間は有限なんだから、「ヤダ」じゃなくて「好き」を選択していきたいですよね。

未来を変えるために、「明日の自分」を変えてみよう

ーー実際に「やりたいこと」がわかったら、何から始めたらいいでしょう?

私はよく、「理想と現実のギャップを知るワーク」をしていますね。

まず、自分が現在やっていることを書き出します。たとえば「ライター」の仕事でも、「企画」「編集」「ライティング」とあるように、細かく書くのがポイントです。

次に、理想の状態を書き出します。こちらも現状と同様、具体的に書きましょう。たとえば「月に10本安定して記事の依頼がある」「サウナの記事を書けるライターになる」とか。

理想と現実が明確になったら、そのギャップを埋めるために明日からできることをリストアップします。「編集さんに企画提案をする」「サウナのメディアをリストアップする」などですね。

それと同時に、「やめること」も考えていきましょう。「興味のないジャンルの執筆をやめる」「請求書作成を外注する」など、明日からできることと手放すことを一緒に書いて、時間の使い方を変えていくようにします。

先ほども言いましたが、時間は有限ですからね!

ーー 一歩踏み出すために、まずは明日からできそうなことを探していくのですね。

「未来」って別に遠い話じゃなくて、1分後、1時間後だって未来じゃないですか。つまり、今この瞬間の過ごし方がそのまま未来に繋がっていくんだと思うんです。

未来を変えたいなら、今の時間の使い方を変えないと何も変わらない。

「いつかムキムキになりたい」と思っていても、思っているだけで運動しなかったらいつまでもムキムキには近づかないですから(笑)。でも、今1分でも多く運動すれば、少しずつ未来は変わっていくはずです。

ーーありがとうございます。最後に、安定志向だけど「本当は思い切って夢に一歩踏み出してみたい!」という方にアドバイスをお願いします。

やっぱり、「知る」ことからスタートするといいと思います。私も、「勇気を持って一歩踏み出した」のではなく、知っていくうちに自然と踏み出せるようになったんです。

極論を言えば、私がフリーランスになれたのは、フリーランスの働き方を「知った」だけ。いろんな人に出会ったり本を読んだりして知識を自分の中に入れるうちに、自然と選択肢は広がっていきます。

そのうえで、明日から1時間だけ、1分だけでも時間の使い方を変えてみてください。それだけで、未来は変わっていくと思いますよ。

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