▼8月18日（17日深夜）

日付が変わっても寝つけずにいたわたしは、ようやく眠りに落ちそうだったその瞬間、閃いてしまった。

コーヒーソーダってあんまり聞かないよね？

なぜ急にそんなことを思ったのかわからない。でも、閃きというのはそういうものだ。コーヒーとよく並べられる飲みものとして紅茶があるが、あれはティーソーダとして飲まれることもある。でも、コーヒーを炭酸で割ったものって見たことない。

いや待て、わたしは元来、炭酸が苦手だった。今はお酒（ビールやサワーの類）限定で楽しめるようになったけれど、素面のときの飲みものにわたしが炭酸を選ぶことは、まず無い。
炭酸事情に疎いわたしだから知らないだけで、世の中にはコーヒーソーダなるものが存在するのかもしれない。

でも、カルーアだって炭酸で割るとは聞いたことがないし、大概ミルクかオレンジジュースと合わせるものだけど、紅茶のリキュールならそのどちらとも相性が良い上に、炭酸割りもおいしそうだと容易に想像できる。

いや待て、わたしはどこのバーテンでもない。まして家で作ったことのあるカクテルの種類なんて、両手で数えられるほどだ。
炭酸事情に疎いわたしだから知らないだけで、世の中にはカルーアソーダだって存在するのかもしれない。

…と同じ言い回しが再び登場したあたりから、興奮を抑えきれず眠れなくなるかと思いきや、記憶がない。要はそのまま寝ついたようだった。

▼8月18日朝

むくり。おはよう。

冷蔵庫を開ける。昨夜仕込んだ水出しコーヒーが、おいしそうな色になっていた。ちなみにコーヒーの水出しには、とある人から教えてもらったコールドブリュー用パックを使っている。

この方がものをおすすめするときの文章は熱量が高く、つい惹かれてなんでも試したくなるのだが、バリエーション豊富な（おすすめの守備範囲が広くいらっしゃる）ため、10の情報を得てやっとこさ1つ動き出すような亀さんのわたしには、すべてを試すことは叶わない。恥ずかしながら、ひとえにわたしのキャパシティの問題である。

そんな中、選びに選んで試すことにしたこのパックは、本当に丈夫で使い勝手がいいです。JUNERAYさん、教えてくださりありがとうございます。

さて、しかし今朝のコールドブリューは、口に含むと心なしか濃い。寝すぎたかな…。目覚めの一杯にしては少々刺激が強いため、あとで飲もうと、そっと冷蔵庫に戻した。

ここでわたしは思い出す。コーヒーソーダについて考えていたことを。

googleで「コーヒーソーダ」を検索してみた。するとどうだろう、出るわ出るわ、コーヒーソーダについて書かれたページがヒットした。
ああ、やっぱり炭酸事情に疎いわたしだから知らないだけで、世の中にはコーヒーソーダなるものが存在するのだ。昨夜からもう三度目となるこのせりふが、もはや断定の形で登場した。

かの有名なスターバックスコーヒーではコールドブリューソーダが売られているらしいし、サントリーからはエスプレッソーダというものが出ているらしい。ただしサントリーのそれは2012年のニューリリース情報なのだが、検索して１ページ目に上がってくるサイトとしては、かなり古くないだろうか。

一抹の不安とともに検索結果の１ページ目を最後まで見たわたしが、目にしたもの。それは、

関連キーワード：コーヒーソーダ まずい

である。他にもいくつかの関連ワードが載っていて、その文字からすぐに検索結果へ飛べるようになっているが、関連ワードの筆頭とも言える一番上を、なんと「まずい」が占めていた。

不人気なのか？だってわたしも見たことなかったんだもんな。続きを調べてみたい気持ちもありつつ、なんだかコーヒーソーダが不憫に思えてきて、そっとページを閉じた。

▼8月18日昼

そして、はたと気づく。冷蔵庫にペットボトルの炭酸水があるではないか。炭酸嫌いのわたしには珍しいことだけれど、たまに自宅でカクテルを作って飲むことがあって、この炭酸水はそのために昨日買ってきたものだった。

コーヒーソーダがおいしいか否かは、この際どうでもいい（よくないけど）、どうせ昨夜から水出ししたあのコーヒーはわたしには濃いのだ、割ってちょうどだろう。これが所謂、利害一致。(?)

そんなわけで、濃く仕上がってしまったコーヒーに、炭酸を注いだ。

一見するとただ薄まっただけで、元の色を知らない人にしてみれば薄まったとすらわからない、おそらくただのコールドブリューである。

でも幸いなことに、飲むのは作った本人だ。シュワシュワしていることは予めわかっているから、むせる心配もない。いざ口にして、しばらく思考が停止した。

これはまずいのか？

否、わたしはこの味を評価することができない。なぜならばこれは未知の飲み物だから。

せめて甘くするべきかもしれない。無糖では刺激が強すぎる。濃いと思って割ったコーヒーなのに、なんだかより一層濃くなってしまったかのようだった。

シロップを常備していないため、溶けにくいのは承知の上で、はちみつを頑張って溶かした。うんうん、この味ならなんだか知っている気がする。糖分控えめのヘルシーなコーラ？（笑）

市販の炭酸飲料には実に多くの糖分が入っているのだなあ、と、いらぬところで感心してしまった。ともあれ、はちみつのおかげで飲み干せた。糖は偉大なり。

最後に、少し余ったコールドブリュー（ソーダを入れていない元の状態）に、はちみつを加えたけれど、結局はそれが一番おいしかったよね。
「コーヒーソーダ まずい」、やっぱり検索してみようかなあ…。

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