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地域で違った!ラグビーW杯2023フランス観戦ツアー①

15日間で予選プール3試合を観戦した今回のツアー。現地で観戦する魅力、地域の雰囲気などをお伝えします。なお、試合自体には触れません!

ニース編 日本対イングランド

日本対イングランドの前日は、ウェールズ対ポルトガルの試合がニースで開催されたこともあり、街には、ウェールズ人、イングランド人がいっぱい。トラムに乗っても、観光地に行っても英語スピーカーが目立ちました。そこに桜ジャージを着た人がちらほら。ニースという観光地の地の利、シルバーウィーク3連休ということもあって日本人が多かったのはもちろんなのですが、結構な数の外国人も桜ジャージを着ていて、桜ジャージの世界的な人気ぶりがうかがえます。
桜ジャージを着ていると、「ジャパン!」「Good Luck!」「日本チームは大好きだよ」「2019年のワールドカップには日本に行ったよ!」とたくさん声をかけられました。

ラグビービレッジにはラガマルくんの姿も。どうやって飛行機に乗ったの…?

ウェールズ人とイングランド人は犬猿の仲。だから、ウェールズ人は、日本対イングランドで「日本を応援してる!」と、いうわけですね。
ウェールズ対ポルトガルをパブリックビューイング会場で見ていたのですが、イングランド人とウェールズ人が至るところで飲んだ勢いで絡み合ってました。まあ、冗談半分なのでしょうけども。

とにかく、街にはイングランド、ウェールズ、ポルトガル、日本とそれぞれのジャージを着ている人があふれて、「これがW杯の会場だー!」という雰囲気でした。

試合後の誘導がないなんて…

試合会場の「Stade de Nice」別名「アリアンツ・リビエラ」は、トラムでの移動がメイン。収容人数約3万6000人。ここが95%ほど埋まった感じでした。

「必勝」の日の丸ハチマキを地元の小学生に配っている日本人のおじさんが

試合終了後、どーっと人の波がトラムの駅へ押し寄せ、誰も列を作らない!ほとんど誘導もなしでちょっと身の危険を感じるレベル。

私たちは20分ほどでトラムに乗れたのですが、前に座ったイングランドのおばあちゃんは、手首から出血していました。人の波に押されて、フェンスかどこかでケガをしてしまったようです。

前日のウェールズ対ポルトガルでも、もっと危険な状態だったと誰かが話していました。

フランスってこんなの?大きなスタジアムがいっぱいあって、サッカーもラグビーも人気で、誘導にも慣れてるんじゃなかったの?

観戦1試合目にして、やや不安が残る試合後の誘導でした。

リヨン編 ウェールズ対オーストラリア

日本戦2試合の間が10日も空くので、日本戦以外にもう1試合は観戦したいと思って取ったチケットがこちらでした。

リヨンはフランス第2の大都市。リヨンに着いたのは試合のない平日でしたが、街にはラグビーやワールドカップの気配はほとんどなし!地元のスポーツショップに行っても、サッカー、バスケットのコーナーが大きく、ラグビーコーナーは「一応あります」程度。

まあ、2019年の東京も、丸の内や有楽町のファンゾーンこそ「ラグビー色」でしたが、それ以外では、ラグビーファン以外は普通に暮らしていましたよね。リヨンのような大都市だと、こんなもんなんだなと納得でした。

ところが、試合当日の昼間、街の真ん中にあるポール・ボキューズ市場に行ってみると、そこはウェールズ人とオーストラリア人でいっぱい!お客さんからは英語しか聞こえてこない空間になっていました。大きな声で話しながら、みんな、白ワインやビールを浴びるように楽しく飲んでいました。

私たちはこの日は空港ホテルにチェックインしたのですが、ホテルのバーでも、ウェールズ、オーストラリアのジャージを着た人が、わいわいと飲んで、すでに出来上がってる感じ。

トラムの中はウェールズ人でいっぱい

ここでも、「日本人か」「2019年の日本のワールドカップは素晴らしかった」と何人にも声をかけられます。

日本戦ではないので、さすがに日本人の姿はスタジアムにも、ほんの少し見かける程度。だから私たちの桜ジャージ日本人は目立ち、至るところで、「ジャパン!応援してるよ!」と多くの人に声をかけられました。電車の中では、「2019年には広島にも行ったのよー」と声をかけてきたおばさんが、「ウェールズを一緒に応援してね!」と国旗をくれました。

もちろん、ウェールズ、オーストラリア以外に、現地のフランス人ラグビーファンにも楽しみなカード。あるフランス人からは「ジャパンのジャージには、フランスの花が入ってるんでしょ!一緒に写真を撮ろう!」と声をかけられました。

フランス人ファンと一緒にパチリ


この日の試合は、ウェールズの圧勝。オーストラリアは2敗目を喫し、予選リーグ敗退が濃厚に。試合後も大盛り上がりのウェールズ人が大声で歌っていました。

日本戦はすべて3万人規模のスタジアムですが、リヨンは5万8000人の大規模スタジアム。しかも、サッカー&ラグビー専用。日本の国立競技場や日産スタジアムは6万人規模ですが、陸上競技トラックがあるので、観客席からピッチが遠いのですが、リヨンではどの席からも試合がすぐ近くに見えるのが最高でした。しかも、観客席はほぼ屋根があって雨でも濡れない仕様。日本にももっとこんなスタジアムができるといいなと願ってやみません。

5万8000人規模のスタジアムは存在感が違う!こんなところにもポール・ボキューズが

規律あるリヨンの誘導


この日の来場者数は5万5296人でほぼ満席。この人数が試合後に一斉に移動したらヤバイなあ、しかも、ラグビーワールドカップはこの日が初戦だし…と、ニースでの試合後の混雑が頭をよぎったのですが、リヨンでは混乱は一切なし。さすが、5万8000人のスタジアムでいつも試合をさばいてるだけのことはある!

今回のワールドカップでリヨンだけは、スタジアムと地元の交通局(?)が、駐車場行き、街の真ん中のターミナル行き、スタジアムとの間にある中くらいのターミナル駅行と、行き先別のオフィシャルチケットを事前にネット販売していました。(ほとんど検札しないんですが!笑)そして、トラムは行き先別の列にちゃんと並ぶシステム。ホームに人があふれ過ぎないように、順序よく誘導され、私たちは混乱なくトラムと空港行の特急電車を乗り継いでホテルに戻れたのでした。フランス人にも秩序はあった。笑

屈強なアーミーのお兄さんお姉さんがたくさん動員されているのも日本との違いでしょうか。日本だと警官だけで自衛隊は出ていなかったですが、フランスではポリスよりも、銃を持ったアーミーが印象的でした。

銃を持ったアーミーは、3人一組で行動。どの街でもちょくちょく見かけました

トゥールーズ編 日本対サモア

日本代表の拠点でもあり、チリ戦、サモア戦と2試合を開催するトゥールーズは、自治体からの日本歓迎ムードを感じました。地下鉄の駅などにも、日本チームのポスターが貼ってあったり、「ようこそ」と日本語で書いてあったり。

地下鉄の通路に、日本代表のポスターも
市庁舎には、日本ろサモアの国旗が。この広場で日本代表のセレモニーもやってましたね


ただ事前に「トゥールーズはラグビータウンだよ」と聞かされていた割には、ジャージを着ている人が多いわけでもなく、「ジャパン!」と声かけられることもほとんどなく、街の人はそれほど盛り上がってないのかな?ラグビー感はそれほど感じられないなと思いかけていたのですが…試合会場で、あっさり裏切られました。

私たちのラグビー観戦ツアーもこの日が最後で、せっかくだからラグビーワールドカップの雰囲気を十分に浴びようと、試合の2時間以上前に会場に着いたのですが、明らかに、ニースともリヨンとも違う!

雰囲気は地元の夏祭り


とにかく、トゥールーズの地元の人の数が多い!なぜ地元の人だとわかるのかというと、地元ラグビーチーム「スタッド・トゥールザン」のジャージやTシャツを着ている人が多いから。トゥールザンは、デュポンやヌタマックといったフランス代表のエースたちが所属する、フランスのプロリーグトップ14の最強チームなのです。

そして、フードトラックの量もニースやリヨンよりもケタ違いに多く、地元人がフードとドリンクを買って、スタジアムの周りの芝生でピクニックモード。いや、夏祭りモードかな。私たちも、ピザ窯のあるフードトラックで、PANUOZO(ピザを半分に折ったサンドイッチ)を買ったのですが、おいしい!

フードトラックでピザ窯

トゥールザンファン、うるさいw


スタジアム内の席に行ってみると、夫の隣は1人で観戦に来たフランス人のおじさん、私の隣は小学校低学年くらいの子供2人と両親の4人組、後ろは大声でヤジを飛ばすフランス人のおやじ3人組と、ぐるっと地元の人に囲まれました。

私の隣に座ったパパは、両親にテレビ電話をして、「ワールドカップの日本戦に来たよ~見て、この観衆!」という感じ(フランス語だから聞き取れないけどw)で、ぐるーっとスマホを一周させて、スタジアムの雰囲気を伝えようとしてました。

後ろの3人組のおやじが、とにかくうるさい!彼らが叫ぶたびに、周りのフランス人が笑いながらこっちを振り返ります。(私たちは何を言ってるのか理解できない)日本がトライを決めると、「ジャポーン!!!」と叫び、前の席の夫の肩をたたき、「飲め!!!」とビールを押し付けてきました。
夫のとなりのおじさんも、私たちに話しかけたくて仕方ない様子で、「ジャポン」と何度も握手を求めてきます。そして、自分もビールをごちそうしたくなったようで、ハーフタイムには2杯買ってきて、夫にプレゼント。ビール1杯だけのつもりだった夫は、期せずして3杯のむことになったのでした。


ヤジを飛ばす3人組と、その後、ビールをおごってくれたおじさんと


そして、試合中に、誰からともなく、「トゥール―ザン!トゥールザン!」とコールがかかる。スタジアムが「トゥールザン」コールの嵐なのです。試合は日本対サモアなのに。笑

ああ、この人たちは、本当にラグビーが好き、そして、トゥールーズが好きなんだな、これがラグビータウンということか、と心底思ったのでした。

この日の動員数は3万1794人。リヨンのような事前販売チケットもなく、また、ニースにもあった特別直行トラムもなく、しかも、スタジアムの最寄り駅は橋の向こう側。3万人が一度に出ると、橋の上は危険なのでは?という心配は無用でした。

地元の人もいっぱいで超満員

日本がサモアにギリギリで勝利を収めて興奮冷めやらぬ中、フランス最後の日ということもあり、私たちは選手たちがスタジアムを一周するのを見届けてからスタジアムを出ました。すると、スタジアムの外で、みんな飲んでる!まだビールも売ってるし、フードも売っていて、店じまいの気配なし。多くの人が、試合の余韻に浸って楽しんでいるではありませんか。トゥールーズの人にとっては、ここは日常の飲み屋の延長なんだなというのを感じました。

大勢の人がスタジアムの外側で飲んでいるので、それが緩衝剤的な役割となり、一斉に橋を渡って駅に向かうという危険がなく、スムーズに駅まで到着できるのです。いやはや、何も特別なことではなく日常なのですね。

おみやげに、スタッド・トゥールザンのTシャツやポロシャツを買って帰りました。いつかこの街に、デュポンやヌタマックの出場するトップ14の試合を見に来て、「トゥールーザン!」と地元の人と一緒に応援してみたいなと思います。

現地で観戦するということ

試合を見るだけなら、テレビだけで十分です。選手の顔も、ボールもはっきり見えて、解説も聞ける。移動時間もゼロ。

時間とお金をかけて現地で観戦する意義は、勝利の喜びを会場のファンと共有することが大きいのです。しかし、それだけではなく、いろんな街で、いろんな国から来た人と交流したり、現地の人たちと溶け込んでその空気も感じられるのが何よりも楽しい。今回のラグビー観戦ツアーでは、そのことを強く感じました。

4年後は、オーストラリアだ!

勝利の喜びを、選手と会場と共有できるのが何よりの醍醐味

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